2022年4月15日 (金)

通勤電車シリーズ 205系 48 川越・八高線からの撤退

八高線八王子~高麗川間は、1996年3月16日に電化開業し、103系3000番台、3500番台、201系、209系3000番台が投入されました。埼京線開業時の1985年9月30日に電化された川越線高麗川~川越間とともに八王子~高麗川~川越間が一体で運用されるようになり、八高線は高麗川を境に南北に系統分離されました(2023/5/7文章修正)。

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1033500-56-020102

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2002/1/2 拝島 103系3500番台 ハエ56編成

103系3000番台は何度も登場していますが、72系のアコモデーション改造車、3500番台は編成不足を補うために103系0番台からの改造車でした。3000番台の側扉は半自動の場合、手動開閉式だったのに対し、3500番台では押し釦開閉式でした。

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2093000-61-101231 2010/12/31 高麗川 209系3000番台 ハエ61編成

209系3000番台は八高・川越線向け単線仕様車となっており、列車交換時の長時間停車を考慮し、客用扉が通年で半自動扱い可能とされ、ドアスイッチが装備されました。

205系の改造車、3000番台は2003年より投入されました。

当初はTcMM'T'c4両編成7本が投入される予定でしたが2004年10月16日のダイヤ改正で埼京線の東京臨海高速鉄道りんかい線相互直通運転用に車両が急遽必要となった関係で改造は5編成となりました。2本分は東京臨海高速鉄道70-000形全車10両編成化に伴う編成組み替えの際に余剰となった70-000形の先頭車4両と中間車2両の計6両をJR東日本が購入し、2005年3月、中間車2両を新規に製造し、4両編成2本を組成、209系3100番台(ハエ71,72)編成としました。これら7編成の投入により、103系3000、3500番台は廃車となりました。

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それから13年、山手線にE235系が投入され、E231系500番台が中央総武緩行線に転属、E231系0番台が八高・川越線に改造の上、転属することとなり、2018年7月に205系3000番台が運用離脱・廃車、一部は富士急行に譲渡されました。また209系3000番台4本も2019年2月で運用を終えました。
さらに2022年3月のダイヤ改正ではワンマン運転が開始され、それに先立って209系3100番台も2012年12月25日に運用離脱、2022年1月9日の特別運行を以って運行を終了しました。

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2022年2月22日 (火)

通勤電車シリーズ 205系 21 E231系500番台(ヤテ517~527)の山手線への投入による動き part1 ヤテ8,44,46の転出

2003年度2003年11月末までにE231系500番台がヤテ527編成までの14本が製造されました。以降、年度末までには常磐線快速用にE231系0番台が集中的に製造されています。編成表データでは2004年3月にE231系500番台が2編成追加されていますが、これは2004年度にカウントされているようです。

これらの製造に伴う205系の転出ですが、ヤテ28,29,30の3本に続いて、8,46,44,31,6,7,47,48,49,50,10,5,43といった順序で運用離脱し、これまで同様にサハ204はヤテ7までと48,50、10,5,43は編成番号と同じ車番、47は-901、49は-42が川越電車区の205系埼京線編成に組み込まれました。それにより捻出されたサハ205に関しては後日まとめて触れます。

今回の記事では4種類5編成の編成に関わったヤテ8と今後の武蔵野線転用の嚆矢となったヤテ44,46編成の転用についてみてゆこうと思います。

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 2003年度 ヤテ8,44,46編成の転出 

ヤテ8の残り10両のうち、中央のMM'-23ユニットは運転台を取り付け、南武支線用1000番台、第3編成に改造されました。ただ、編成番号はワ3ではなくワ4となりました。

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2009/2/28 八丁畷 ワ4編成
これまでの2編成とは違い、側扉の窓のサイズは小型となりました。

奇数寄りMM'-22,T-15,,16の4両は八高・川越線用3000番台、81編成に改造されました。大宮工場で改造は行われ、竣工は2003年10月29日でした。そしてもう一つのMM'-24ユニットは-3002ユニット(2003年8月23日竣工)として昨日の記事のT-55,56から改造されたクハ205/204と編成を組み82編成となりました。今回の3000番台はそれまで同線で活躍していた103系3000番台にあやかったものかと思います。

1033000-53-030505-2 2009/2/28 八王子 103系3000番台 53編成

1033000-55-020102 2002/1/2 拝島 55編成

2053000-81-180601 2018/6/1 川越 81編成

ヤテ8編成の両端先頭車は翌年度の転出編成と合わせて最終的に武蔵野線M13編成になります。具体的にはヤテ43編成由来のMM'-129 からのVVVF化改造-5025、ヤテ9編成由来のMM'-27のVVVF化改造-5026と埼京線から捻出されたサハ216,217による8連でまさに寄せ集め編成でした。

続いて44,46編成は以降の転出するヤテ編成のパターンによく見られた武蔵野線用改造で10両のうち、偶数側MM'ユニット以外の8両がそっくり武蔵野線用TcMM'TTMM'T'cの8連となり、偶数側MM'ユニットは翌年度以降の転出編成と組む形となりました。VVVF化改造はヤテ44編成が大宮工場、ヤテ46編成は郡山工場が担当し、前者が2003年10月29日、後者が2003年10月18日に竣工しています。

205-m3-090607 2009/6/7 越谷レイクタウン M3編成
山手線から6扉車とモハ1ユニットを抜き、残りのモハユニットをVVVF化改造した1号編成

205-m4-180430-2 2018/4/30 新座 M4編成

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2022年2月10日 (木)

通勤電車シリーズ 205系 14 埼京線恵比寿延伸と京浜東北・根岸線からの撤退

1996年3月16日のダイヤ改正で埼京線は恵比寿まで延伸されました。

1985年9月30日に赤羽~大宮間が開業し、赤羽線に乗り入れ、池袋~大宮~川越間で運転を開始、新宿駅の貨物発着線にホームと引き上げ線1線を新設、1986年3月3日には新宿まで運転区間が伸びていました。ただ、恵比寿駅には折り返し対応の設備がなかったため、編成は大崎まで回送後、折り返していました。そのためこの延伸により、205系10両編成4本が必要となりました。

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表1 1996年3月改正、12月改正に向けた205系編成の川越電車区への転属

3本は京浜東北・根岸線に残存していた浦和電車区の80,81,82編成を転用、あとの一本は山手線山手電車区のヤテ42編成を予備車見直しにより捻出しました。かくして浦和電車区の205系配置は無くなり、1989年10月から6年半弱の京浜東北・根岸線での205系の活躍は幕を閉じました。さらに同年12月の改正で埼京線にもう一本の205系10両編成が必要となったため三鷹区のミツ20編成(本来、埼京線向けに製造されていた編成)が転属しました。この際の転属には浦和電車区から103系1編成を武蔵野線に転属、武蔵野線から201系6連2本を三鷹区に転属させるという玉突き方式が採られました。

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表2 1997年4月1日時点の山手電車区の編成表 

サハ204の連結組み合わせが2月3日の記事の状態とは変わっており、42編成の転出で-902が休車状態になりました。この11両編成52本とサハ1両の573両が2002年からのE231系500番台、山手線投入によるいわゆる「大転配」の原資となります。

三鷹区にはクハ205/204-103先頭のミツ21(元ナハ7+元ウラ5の一部)、-104先頭のミツ22、-105先頭のミツ23編成が残り、2000年度にはミツ14,15,16編成に改番されます。

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表3 1997年4月1日時点の川越電車区の編成表

本来、川越電車区に新製配置されるはずだったクハ205/204-95,-97先頭編成を取り込んだ1~25編成と浦和電車区、山手電車区からの転属組の順番で1~30に編成番号が整理されました。

205-28-141025 2014/10/25 五反田 浦和電車区より転入したハエ28編成

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2011/10/29 新大久保 山手電車区より転入したハエ30編成

205-7-120921-2 2012/9/21 浮間舟渡 三鷹電車区より転入したハエ7編成

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2022年2月 2日 (水)

通勤電車シリーズ 205系 8 京葉線の全通と通称「メルヘン顔」編成の投入

1990年3月10日のダイヤ改正で三期に渡り建設工事が進められてきた京葉線、東京~蘇我間が全通となりました。1986年3月の部分開業以来、スカイブルー(青22号)の103系が投入されてきましたが、路線の延伸で輸送力を増強するためと「東京ディズニーランド」「幕張メッセ」などと相まってイメージアップのため、このタイミングで投入された205系10両編成12本はフロントマスクのスタイルもディズニーキャラクターを意識したFRP(Fiber Reinforced Plastics :繊維 強化プラスチック )成形品で覆う構造なって登場しました。 前面のライト周りと側面の帯色は赤14号(ワインレッド)なりました。

103-307-050528_20220201100401 2005/5/28 舞浜 103系 307編成

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表 京葉線本格開業に合わせて投入された205系の編成と車両番号

後部標識灯がLEDとなり、機器面では簡易モニター装置が計器盤に配置されました。ATCは設置されていないため乗務員室仕切り壁は薄く、仕切り窓も拡大されています。床面の主電動機点検蓋は廃止されました。

205-1-091025-2 2009/10/25 ケヨ1編成

103系は新製配置された205系とともに活躍を続け、2002年の205系転入でも生き残り、2005年山手線から量産先行車4本が転入した際に運用を終了しました。

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2022年2月 1日 (火)

通勤電車シリーズ 205系 7 中央・総武緩行線・京浜東北線へも投入

昨日の記事でも少し触れましたが、1988年12月5日、午前9時30分頃発生した東中野駅(下り線、大久保駅方面からのカーブ)での列車追突事故で乗客1名、追突した側の運転士1名が亡くなり、103系201系各10両編成の衝突側から最も離れた両先頭車両(ラシ336編成のクハ103-278、ミツ6編成のクハ201-3)以外の18両が衝突のショックによるテレスコーピック現象で台枠が損傷し、廃車となりました。

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表1 三鷹区への暫定新製配置

これらの車両の補充用に当時、埼京線用に製造中だった205系2編成が三鷹電車区に予定を変更し暫定配置となり、ミツ6・ミツ23編成となりました。ミツ23編成は1990年5月に三鷹区から、当初の予定通り、川越区に転属しました。

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表2 浦和区への新製配置

1989年10月には京浜東北線用にも205系が投入されることとなり、クハ205/204-104~107先頭の10両編成4本が浦和電車区に新製配置されました(ウラ1~4編成)。保安装置はATC対応でした。103系時代の塗色は東海道・山陽緩行線と同じでしたが、205系の帯色は青25号となりました。ジャンパ栓受けは車体に取り付けられました。ATC装置は転出した103系から流用され、205系用に改造され搭載されました。
1990年にさらに2編成、老朽車取り換えの名目で新製配置されました(ウラ5・6編成)。尾灯は電球からLEDに変更となり、モータの点検蓋が廃止され、ATCは新品が搭載されました。
1991年、山手線の6扉車組み込み11両編成化に伴う編成不足に対処するためウラ4編成が帯色をウグイス色に替え、ヤテ35編成として山手電車区に貸し出され、同年4月から11月までの7か月間運用されました。

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表3 浦和区からの転属、編成の解体、サハの新製

1993年2月、205系を脅かす209系の登場、京浜東北線等への新製配置でウラ1・2編成ミツ22・23編成として三鷹電車区へ転属、ウラ5編成のTMM'Tと南武線中原区のナハ7編成を合体させた編成がミツ21編成となる変化がありました。一方、ウラ5編成のTcMM'とMM'T'cは中間に最後の新製サハ205-232を挟み、カマ26編成となり、活躍の場を横浜線に移しました。ウラ5編成の先頭車を含む6両が横浜線に行ったのはATCの関係からでした。

205-21-940801-edit_202201311439011994/8/1 西荻窪 205系 21編成

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1982/1/30 中野 301系

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1982/1/30 西船橋 103系1200番台

カナリア・イエロー帯の205系の登場で同じ線を走っていた地下鉄東西線直通車両の301系103系1200番台は誤乗トラブルが相次いだため、帯色を青色に変更する事態となりました。

205-910526 1991/5/25 田町 ビデオからのキャプチャー


205-27-120107 2012/1/7 武蔵浦和 ハエ27編成←元ウラ3(80)編成 埼京線新製配置車には無いジャンパ栓受けがあるのが特徴でした。

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2022年1月28日 (金)

通勤電車シリーズ 205系 5 南武線への投入

多摩川の川原で採取した砂利を運搬する目的で川崎を起点に東京府南多摩郡稲城村までの路線として1919年5月5日付けで鉄道院に申請されたのが南武鉄道の始まりで、1920年1月29日の免許交付後、終点は立川まで延長されました。申請は上平間の村会議員秋元喜四郎が発起人代表で、免許交付後は株式会社になりますが、建設工事のための資金集めは難航しました。そんな折、浅野セメン(現在の太平洋セメント)が奥多摩から産出する石灰石の川崎の工場までの輸送ルートとして目を付け、1923年9月30日、南武鉄道株式会社の筆頭株主となりました。
1927年3月9日に川崎~登戸間、貨物線の矢向~川崎河岸間が開通、同年11月1日には登戸~大丸(現、南多摩)間、1928年12月11日には大丸 - 屋敷分(現・分倍河原)間、そして1929年12月11日に分倍河原 - 立川間を開業、全線が開通しました。1930年3月25日には支線の尻手 - 浜川崎間も開業しました。 目黒にあった競馬場の府中移転を誘致したり、稲田堤の桜や久地の梅園をPRしたのも南武鉄道の企業努力の結果だったそうです。
日中戦争から太平洋戦争に向かう時期、川崎の人口増加、軍事関連企業の集中で南武鉄道は軍需路線としての性格が強くなって行きました。さらに石灰石輸送関係から浅野財閥系の奥多摩電気鉄道、青梅電気鉄道、南武鉄道、鶴見臨港鉄道、4社間で合併も協議されますが、まず鶴見臨港鉄道が国有化され、1944年4月1日には戦時買収私鉄指定で南武鉄道が国有化されました。軍需工場が多い地域を走っている関係で南武線沿線は大戦末期連合軍機の空襲を受け、1945年11月には所属41両のうち、稼働19両という状態になりました。

79920 撮影年月日不詳 尻手 引退間近のクハ79920番台

101-830219 1983/2/19 尻手 冷房改造101系

1950年代からの高度成長期、沿線の人口は私鉄との乗換駅を中心に増加の一途をたどり、国鉄は1960年代後半に車両の6両化と全線の複線化を完了、軌道も800t貨物列車の通過に耐えられるよう強化されました。1972年から101系が投入され、1978年には旧型国電が引退しました。

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表 1989年3月からの南武線への新製投入

205系の次の新製投入先に選ばれたのは横浜線同様に輸送需要の急増著しい南武線でした。1989年3月11日のダイヤ改正を機にTcMM'MM'T'cの6両3編成が投入されました。クハは非ATC仕様でしたので、東海道・山陽緩行線用と同じ運転台背後のスペースが拡大し、仕切り部の窓も大型化されました。保安装置はATS-BとATS-Sが装備され、1990年にはATS-Pが実装されました。同年秋に4本、1990年夏から秋にかけて、7本、2本と計16編成が投入されました。

製造メーカーは川崎重工1社が担当しています。モハユニットでいうとなんと南武線に投入された車両だけでなく-231から-406まで、クハ-86から-149までは全て川崎重工で製造されています。

1991年、205系16編成の新製投入と103系編成の転入などで101系は一掃されました。1991年、205系第7編成が中央・総武緩行線用に三鷹電車区に転属となり、1993年2月には編成番号は1を開けて2~7に繰り下げられました。

205-2-091226 2009/12/26 尻手 上記のような事情から編成番号2となった南武線新製投入第1号編成

205-8-080329 2008/3/29 府中本町 第8編成

205-16-110508 2011/5/8 矢向 電留線で休息する第16編成

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2001/12/31 尻手 205系新製投入後、しばらくの間共存した103系

南武線の車両を受け持つ中原電車区には1987年4月1日時点で103系(6連14本)、101系(6連17本)が継承されました。同年度中に習志野区から101系9両が転入、103系6連1本が松戸区へ転出しました。1988年度に205系が新製配置され、3系列による運転体制となり、1989年度には全車冷房化が達成されました。1991年1月20日、川崎~立川間での101系運転が終了しましt。1992年度には量産が開始された209系6連1本が加わり、その後、しばらくは103系の微減が続き、2002年度、山手線のE231系500番台化の開始で205系が大量に転入し、2004年12月に103系は淘汰されました。

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2022年1月27日 (木)

通勤電車シリーズ 205系 4 阪和線への投入、横浜線への進出

1988年春は発足から1年が過ぎようとするJR各社にとっては独自の方向性を打ち出し始めた時期であり、青函トンネル開業や瀬戸大橋の開通と日本列島が鉄道でひとつに結ばれる、当時のキャッチフレーズ「1本列島」の時期でした。

まだ早春の2月22日、JR西日本は近畿車輛が製造した205系1000番台、4両編成5本を阪和線に投入しました。国鉄時代に東海道・山陽緩行線に投入された0番台とは違いJR西日本独自で開発した車両でこの番台ならではのユニークな点がいくつかありました。この件に関しては2019年3月13日記事で触れいていますので、今回は触れません。

73-edited 1978年頃 八王子 発車を待つ東神奈川行

103-54-790923 1979/9/23 八王子 京浜東北線から転属してきたクハ103-500番台先頭の磯子行

103-54-810426 1981/4/26 橋本 ウグイス色の高運転台クハ103 54編成

東日本では山手線の205系化完了後、続いて投入されたのは横浜線でした。北関東で生産された生糸を横浜港に運搬するために建設された路線で1941年4月に全線電化されていましたが、1979年まで72系電車が走っており、京浜東北線や山手線から転属した103系が活躍する路線でした。

1988年9月29日から蒲田電車区に配置された7両編成7本が営業運転に就きました。
今回投入された車両の特徴は
(1) 前面に路線・種別表示幕の設置
(2) 側扉窓の上下寸法の拡大
(3) 保安装置はATC6(根岸線)、ATS-B(横浜線)を搭載
(4) 列車無線のアンテナが防護無線タイプに

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表 横浜線に新製投入された205系 1988年9月~1989年3月

これまでは1編成は単独メーカーの製造でしたが、車種により、あるいは2組のモハユニットが別々のメーカーによるケースも出てきました。
またMM'-230とT-145は国鉄時代からの伝統を持つ大船工場による製造です。205系ではこれら3両の他、500番台のモハユニット(2組:512、513、クハ(Tc/T'c513)の製造も担当しました。東急車輛製造から構体ブロックを購入し、工場内で艤装・内装組み立てを行うノックダウン生産方式でした。

さらに1989年2月までに18編成が投入されました。第8(H8)編成以降では側窓外側への取っ手が追加され、車外から窓の開閉が可能なように窓枠が変更されました。前面行き先表示幕に路線表示を追加した2段幕も登場しました。

205-h1-120512-2
2012/5/12 長津田 H1編成

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2011/9/25 東神奈川 H8編成

1988年9月から1989年2月の僅か半年の間に205系25編成が投入され、捻出された103系は京葉線、武蔵野線へ転用され、1989年2月26日に「さよなら」運転が行われました。

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2022年1月26日 (水)

通勤電車シリーズ 205系 3 東海道緩行線への投入、民営化後の山手線向け製造

国鉄時代末期、首都圏では埼京線の1985年9月30日の開業に続き、1986年3月3日には京葉線西船橋~千葉みなと間が暫定ながら開業しました。これに合わせて103系70両が山手電車区から京葉運輸区に転属になっており、その分、205系7編成が新製配置されました。

国鉄時代には首都圏の山手線以外に、7両編成4本が関西の東海道・山陽緩行線向けに明石電車区に投入されました。1986年11月1日のダイヤ改正から営業運転に入っていますが、こちらはATC機器非搭載タイプであったため、運転室背後の仕切りの厚さが80mmから50mmとなり、客室スペースが拡大しました。ラインカラーは京浜東北線と同じ「青22号」(スカイブルー)でしたが、帯色は「青24号」となりました。これら4編成の関西での活躍は2019年3月9日10日11日12日の記事で触れいていますので、今回は触れません。

かくして国鉄時代には山手線用340両、東海道・山陽緩行線用28両が製造され、それぞれJR東日本、JR西日本に継承されました。

205-43-020427 2002/4/27 田町 JRになって製造されたロットのうち、41,42編成は1990年代に川越区に転出したため、最も若い43編成

民営化後、JR東日本では山手線の103系を完全に205系に置き換えるため増備が続けられましたが、民営化したといっても経営見通しは決して明るいものではなかったため、車両の新製は極力抑えられ、新製する車両においてもコストを下げるための設計変更が行われました。その内容は
(1) 従来、編成中に3基搭載されていたMGを2基とし、非搭載となった中央のモハ204に、電源誘導装置を搭載する。
(2) 励磁装置を全波整流から半波整流方式にする。
(3) 主抵抗器の箱数を減らす。
(4) 客室荷棚を網棚からパイプ式にする。
既成車に関してもMG搭載数を減らし、余ったMGは新製車に回しました。

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表 国鉄民営化後、山手線向け205系の製造、投入

20編成の新製で205系化は完了しました。車輛番号に関しては、1~34編成までは、クハは編成番号と同じ、モハユニットは(編成番号x3-2,-1,-0),サハは(編成番号x2-1,-0)という法則性がありましたが、関西に投入した4編成の分で法則性が崩れるのを嫌い、表のようにクハは41番から(39・40欠)、モハユニットは121番から(111~120欠、サハは81番から(73~80欠)となりました。

尚、41編成は新製配置後後、予備車見直しの関係で1990年に、42編成は1995年にそれぞれ山手電車区から川越電車区に転属となっています。

メーカ別にみるとこれら20編成は日立製作所、川崎重工、東急車両製造の3社だけで製造されています。

205-60-020427 2002/4/27 五反田 60編成 山手線向け最終編成

山手線の205系化により、103系の1963年から四半世紀に及んだ山手線での活躍は1988年6月25日で終了し、品川電車区ではこれを記念するイベントが開催されました。さらに103系はこの時点でも非冷房車が残っていたため、205系化によって冷房化率が100%になったのもこのタイミングでした。車輛が統一されたため列車の運転速度向上も達成され、ラッシュ時の列車運転本数1本削減も実現されました。その結果、上記のように41編成が1990年7月に転属となりました。

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2022年1月25日 (火)

通勤電車シリーズ 205系 2 量産車の投入、国鉄民営化、103系の転出

4社で製造された205系量産先行編成4編成が運行を開始して約半年後の1985年9月30日、埼京線池袋~大宮間が開業しました。このための車輛転配として、山手線に205系量産車、18編成180両が山手線用に山手電車区に投入され、それまで山手線で活躍していた103系18編成180両と赤羽線用の5編成50両が川越電車区に転属となりました。量産車の製造では量産先行車の製造に関わった4社以外に近畿車輛が新たに加わりました。

205-08-030304 2003/3/4 恵比寿 第8編成

103-790707 1979/7/7 十条 池袋~赤羽間で運行されていた時代

205_0520
表1 1985年9月末までに山手線用に投入された205系量産編成(18編成)

157-4

撮影年代不詳 東京 157系「あまぎ」

205系2次車は性能面は量産先行車と同じで、側窓が一段下降式となりました。国鉄車両の一段下降窓の採用は157系以来となりますが、157系の場合は鋼製車体であったため雨水による腐食の発生が問題となりましたが、205系はステンレス車体のためその問題はありませんでした。ただ、窓下にバランサを設ける必要が生じ、側扉開閉装置との干渉が懸念されましたが、問題はなかったようです。

 

205-33-020427 2002/4/27 五反田 第33編成

205_2134

表2 埼京線開業以降、国鉄時代に山手線に投入された205系(第34編成まで)

昭和60年度第一次債務で製造された第30編成以降は台車の軸受を密封式両つば円筒ころ受けに変更したDT50D、TR235Dに変更となりました。
 国鉄最後のダイヤ改正、1986年11月時点での編成表データによると山手線(山手電車区)には103系編成が21本配置されており、そのうち10両全車両が冷房車なのは4編成、サハ2両が非冷房なのが1編成、5,6号車モハユニット非冷房が9編成、サハ2両と5,6号車モハユニット非冷房が4編成、5,6号車モハユニットと偶数よりサハ非冷房が3編成といった構成でした。

103-15-3b-2 撮影時期不詳 御徒町 103系10両編成のうち両端3両が冷房車の編成

 一方、川越電車区には103系が24編成配置されており、11編成は5,6号車モハユニットが非冷房、5,6号車モハユニットと4号車サハが非冷房が1編成、サハ2両と5,6号車モハユニット非冷房が12編成といった構成でした。

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2022年1月21日 (金)

通勤電車シリーズ 103系 32 武蔵野線 part3

1996年12月に武蔵野線の103系はすべて8連化されましたが、このタイミングで1986年から10年間武蔵野線で活躍していた201系6連3本は中央線に戻りました。思えばこの時期は鉄道よりも旅客機の時期で201系の活躍にも全く気付かず、後から撮り逃がしたことを後悔したものでした。同時に青梅・五日市線との共通運用も終わりました。その後も103系の転入は続き、103系8連33本、205系8連5本という体制が続きました。

103-23-021229

2002/12/29 新松戸 E23編成


2002103

表 2002年4月1日現在の豊田電車区 武蔵野線用103系 オレンジ色に塗ったセルは1997年4月1日時点のデータに対して変化した車両
両側クハタイプの編成はE30以降が追加となる一方でクモハタイプの編成からE30編成が消えています。

103-16-050528

2005/5/28 舞浜 E16編成

205系に関しては後日の記事で触れますが、1991年10月から投入された武蔵野線オリジナルタイプ顔の5本体制でしばらく推移しました。その後、103系廃車計画の進行とともに2002年から中央・総武緩行線に投入された205系10連の制御方式をVVVF化し、8連化(4M4T)した2編成が投入されたのを嚆矢に置き換えが本格化しました。さらに2004年3月12日には武蔵野線担当車両は八王子支社豊田電車区(八トタ)から千葉支社京葉車両センター(千ケヨ)に移管されました。

103-15-050730

2005/7/30 新秋津 E15編成

記憶にありますが、武蔵野線の新秋津~新小平~西国分寺間には東村山トンネル、小平トンネルといった長大トンネルがあり、101系から103系になった頃はその騒音の大きさに驚かされたものでした。205系になることで、さらにVVVF化で電動車の両数が減ることでその騒音もだいぶ下がったように思えますが。

2005年12月に京葉車両センターの103系は完全に205系に置き換えられ、JR東日本に残された103系は常磐快速線だけになりました。2006年3月に成田~我孫子間での運用が終了した後、2007年に仙石線、多賀城駅付近の連続立体交差化工事の関係で郡山総合車両センターに留置されていた103系が復活しましたが、この運用も南武線の205系1200番台の転属で、2009年10月に終了となり、完全に消滅となりました。

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