1975/10 真鶴~湯河原へ 6 EF58とEF65 500P形について
続いて今回は、旅客列車編です。
まずEF58牽引の客車列車では、3月の改正であさかぜ下り2号、上り3号の廃止で新たに登場した14系寝台特急「いなば・紀伊」と小荷物列車が走っていました。
前面が電柱に被るミスショットですが、
遅れてやってきたEF58 5(浜)牽引 上り「いなば・紀伊」 2004レ
EF58 94(宮)牽引 荷32レ この列車は旅客列車と言えるのかは?ですが。
EF58に関しては写真が多いので、「銀河」などの特集時に再度触れたく思います。
そして、EF65 500形P牽引のブルートレインが「出雲」「瀬戸」「あさかぜ1号」のラッシュ前到着組と「あさかぜ2号」「富士」「はやぶさ」「みずほ」「さくら」と走っておりました。
3月の改正で「出雲」「富士」「はやぶさ」は大ムコから転属した24系24形(★)客車になりました。「瀬戸」「あさかぜ1」号は20系編成共通運用、「あさかぜ2号」はナロネ22を編成内に組み込んだ特別編成でした。「さくら」「みずほ」は1972年秋以来の14系編成で、「さくら」は長崎・佐世保、「みずほ」は熊本・長崎と分割併合可能な14系の特性を生かした運用でした。今回の撮影では「あさかぜ2号」から「さくら」まで写すことが出来ました。
EF65 531号機牽引 あさかぜ上り2号 10レ
カニ21をラストに東京を目指す上り「あさかぜ2号」 10レ
EF65 512号機牽引 上り「富士」 8レ
EF65 536号機牽引 上り「はやぶさ」4レ
EF65 535号機牽引 上り「みずほ」 6レ
EF65 537号機牽引 上り「さくら」 2レ なぜか隻眼
当Blogではこれまでに東京発寝台特急列車のうち、特急「さくら」、「はやぶさ」、「富士」については個別にそれぞれの列車の登場から廃止までの歴史に触れて参りましたが、ここで1956年11月の「あさかぜ」の誕生から2009年3月の「はやぶさ・富士」の廃止までの東京発着寝台特急列車の歴史をもう一度振り返って見たく思います。
1956年(昭和31年)11月 東海道本線の全線電化が完成。
東京駅 - 博多駅間に、1944年(昭和19年)4月に廃止された「富士」以来12年ぶりとなる特急列車「あさかぜ」が運転を開始。
1957年(昭和32年)7月 「あさかぜ」が好評であったことから、それの補助列車として「あさかぜ」に下りは30分先行、上りは30分後発する時刻で、東京駅 - 博多駅間に臨時特急「さちかぜ」が設定される。
1957年10月 「さちかぜ」は好評であったため定期列車に格上げされ、同時に長崎駅発着となる。
「さくら」が不定期特急となる。
1958年(昭和33年)10月
「あさかぜ」はそれまで寄せ集めの旧形客車で運行されていたが、この改正で国鉄初の固定客車編成でありその車体色から後に「ブルートレイン」と呼ばれるようになった20系客車に置き換えられ、装いを新たにした。
それによって余剰となった客車を使用して、東京駅 - 鹿児島駅間に特急「はやぶさ」が設定された。
「さちかぜ」の名前が「あさかぜ」と紛らわしく誤乗が絶えなかったため、「平和」と改称。
不定期特急「さくら」廃止。
1960年7月 6月に一等車が消滅したことから、それまでの二等車が一等車に、三等車が二等車になった。またこの時、「はやぶさ」が20系客車化され、運転区間も東京駅 - 西鹿児島駅間に変更される。
客車特急では、東京駅 - 熊本駅間に不定期ながら実質毎日運行の「みずほ」が新設。「みずほ」は既に登場していた「あさかぜ」・「さくら」・「はやぶさ」の補助的性格の強い列車で、客車も20系ではなく旧形の一般客車の寄せ集めであり、格差が目立った。
1962年6月 広島駅まで山陽本線の電化が完成。
「みずほ」が定期列車に昇格。
1963年6月 「みずほ」に20系客車が導入される。同時に大分駅まで乗り入れる編成を連結開始。
1965年(昭和40年)10月
「さくら」は運転区間を東京駅 - 長崎駅・佐世保駅間に変更
1968年(昭和43年)10月 「ヨン・サン・トオ」と後に年月をとって呼ばれることになる大改正がこの時行われた。
「あさかぜ」 東京駅 - 博多駅間に1往復増発されて2往復となる。
「はやぶさ」 運転区間を東京駅 - 西鹿児島駅、長崎駅間に変更。
1969年(昭和44年)5月 等級制度が廃止され、それまでの一等車はグリーン車、一等寝台車はA寝台車となり、二等車・二等寝台車はそれぞれ普通車・B寝台車となった。
1970年(昭和45年)10月
急行「安芸」が特急「あさかぜ」に格上げされて下関駅まで運行することとなり、「あさかぜ」は3往復となる。
1972年(昭和47年)3月 山陽新幹線が岡山駅まで開業したことにより、大規模なダイヤ改正が行われた。東海道の列車では、以下の様に変更した。
以下の急行列車が特別急行列車に格上げ。
「瀬戸」 東京駅 - 宇野駅間 ただし、1往復に統合。
「出雲」 東京駅 - 浜田駅間
1975年(昭和50年)3月 山陽新幹線が博多駅まで開業したことにより、大規模なダイヤ改正が行われる。
「あさかぜ」は東京駅 - 博多駅間の1往復が臨時列車に格下げ、これにより、「あさかぜ」定期列車としては2往復に減便。
「はやぶさ」は東京駅 - 西鹿児島駅間に、「みずほ」は東京駅 - 熊本駅、長崎駅間に運転区間を変更。
東京駅 - 米子駅間に新たに寝台特急「いなば」が新設。この時急行から特急に格上げられた「紀伊」と名古屋駅(運転停車)まで併結して運行されることとなった。
「あさかぜ」は東京駅 - 博多駅間の1往復が臨時列車に格下げ、これにより、「あさかぜ」定期列車としては2往復に減便。
「はやぶさ」は東京駅 - 西鹿児島駅間に、「みずほ」は東京駅 - 熊本駅、長崎駅間に運転区間を変更。
東京駅 - 米子駅間に新たに寝台特急「いなば」が新設。この時急行から特急に格上げられた「紀伊」と名古屋駅(運転停車)まで併結して運行されることとなった。
1978年(昭和53年)10月 このときのダイヤ改正で「いなば」は「出雲」に統合される。
1984年(昭和59年)2月 このときのダイヤ改正で「紀伊」・「比叡」廃止。
1991年(平成3年)6月 ブルートレイン「みずほ」の食堂車営業を終了。
1993年(平成5年)3月 ブルートレイン「あさかぜ」・「はやぶさ」・「富士」・「さくら」食堂車営業を終了。
1994年(平成6年)12月 「あさかぜ」の東京駅 - 博多駅間1往復と、「みずほ」廃止。
1998年(平成10年)7月 「瀬戸」と「出雲」のうち1往復が285系電車化され、同時に「出雲」は伯備線経由となって東京駅 - 岡山駅間で「瀬戸」と併結運転されることになり、それぞれ「サンライズ瀬戸」・「サンライズ出雲」となった。
1999年(平成11年)12月 「はやぶさ」と「さくら」が東京駅 - 鳥栖駅間で併結運転となる。
2005年(平成17年)3月 「あさかぜ」、「さくら」が廃止。「富士」と「はやぶさ」が門司駅まで併結運転となった。
2006年(平成18年)3月 東京駅 - 出雲市駅間の寝台特急「出雲」が廃止される。これで、東京駅発着で単独運転する寝台特急列車が消滅した。
2009年(平成21年)3月 寝台特急「はやぶさ」「富士」が廃止、東海道本線全区間を走行する客車寝台特急は消滅した。(Wikipedia 東海道本線優等列車沿革の記事を参考に記述しています)。
あさかぜの登場からおよそ20年弱の1975年3月の改正で東海道ブルートレインの歴史もそれまでの右肩上がりの路線から凋落路線に転換していることがよく分かります。1984年の「紀伊」廃止を嚆矢に1994年には「みずほ」が消え、2005年には「あさかぜ」が消えと歯が抜けるように列車が廃止されて行きました。その間に285系による「サンライズ出雲」や「サンライズ瀬戸」の登場もあり、彼らは現在も走っていますが、在来線における長距離列車の衰退傾向はまだまだ続くのではと思われる昨今です。
一方、牽引機に目を向けるとEF58に始まり、EF61が牽引した時代を経て、1963年12月、ブルートレインの編成増でEF58で瀬野八本松の勾配を越えるには補機が必要になることから、一般形と性能は変わらないが20系との電話回路やカニ22のパンタを緊急時に下げられる制御機能を付加した初めて専用機としてEF60500番台が登場しました。しかし速度は相変わらず95km/hであり、これを110km/hに上げるために後継機EF65500P形が開発され、1965年に任を譲りました。
<EF65 P形について>
一次車
昭和39年度第3次債務で501・502号機が製造されました。中央線電化・増発用を名目としています。なお、501号機は500番台では唯一、1966年から1967年にかけて0番台と同じ一般塗装だった時期があり、その塗装で寝台特急を牽引しています。
加えて、昭和39年度第5次債務で503 - 512号機が製造されました。東海道本線増発用を名目としています。
ただし、実際には寝台特急牽引用として投入されたため、全機が東京機関区に配置されました。
同時期製造の0番台2次車と同様、抵抗バーニア制御器はCS25Aです。
二次車
昭和40年度第2次民有で527 - 531号機が製造されました。山陽本線広島 - 幡生間貨物列車完全無煙化用を名目としていますが、一次車と同じく全機が東京機関区に配置されました。
抵抗バーニア制御器がCS25AからCS29に変更されています。
改造編入車両
1968年に寝台特急増発に伴う不足分を補うため、当時竣工したばかりの0番台3次車の内、昭和41年度第1次債務で製造された77 - 84号機が改造され、535 - 542号機として500番台P形に編入されました。
稲沢第二機関区に所属する7両が浜松工場で1968年6月から9月にかけて改造され、改番後に東京機関区に配置されました。
主な改造項目を以下に示す。いずれも改造時点での500番台P形車の標準装備である。
カニ22形電源車に搭載されているパンタグラフの昇降スイッチの取り付け
20系客車との通話用としてKE59ジャンパ連結器の取り付け
電磁ブレーキ指令用としてKE72ジャンパ連結器の取り付け
ブレーキ増圧装置の取り付け
EF65500P牽引の時代は長く続きましたが、連日の長距離高速運用で台枠に亀裂が見つかったことで、新製EF65 1000番台 PF形に交替したのが1978年7月-8月、さらに1985年4月のダイヤ改正で「はやぶさ」にロビーカー連結で牽引定数が大きくなり、高速性を維持するためにEF66が東京~下関間の牽引を担当するようになり、2009年の廃止まで続きました。
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