1975/10 真鶴~湯河原へ 3 EF65 一般型について
続いてEF65です。
EF60形に続く平坦線区向け国鉄直流電気機関車の標準形式として、1979年までに国鉄電気機関車史上最多となる308両が製造されました。
今回は一般形です。
車体EF60形四次車(84号機以降)(参考としたWikipediaでは"EF60形3次車"としていますが本稿では敢えて四次としました)をベースにしつつ、走行系は歯数比を16:71 (1:4.44) から18:69 (1:3.83) へ変更、さらに新設計のバーニア付き電動カム軸式制御器を搭載することで、高速走行性能と牽引力の両立を図っています。まず歯数比を変更するにあたり、起動時の抵抗器を増強する必要があり、制御機器・制御方式関係はEF64をベースにして簡略化を図ったようであります。
一次車
昭和39年度第1次債務で中央線電化・増発、山陽本線貨物列車電化・増発、東海道本線などの増発用を名目として1 - 47号機が製造されました。EF60形四次車との外観上の相違点は、屋上モニタ屋根の形状の変更等に留まり、大きく変更されていない。製造会社は1-18 (川崎車輌)、19-35(東芝電気)、36-47(汽車会社)。
EF65 一般型トップナンバー 1977.9.23 富士
EF65 5 牽引貨物列車
二次車
昭和39年度第3次債務で中央線電化・増発用の名目で48 - 57号機が製造された加えて、昭和40年度第1次民有で中央線電化および山陽本線貨物列車電化・増発用を名目に58 - 72号機が製造されました。
大宮工場に保管されている59号機 エンドで塗色が変わっている
抵抗バーニア制御器をCS25からCS25Aに変更しているほか、スカート上部にあった通風孔が尾灯上部に移動している。製造会社は48, 67-72(川崎車輌)、49-52, 58-62(東芝電気)、53-57, 63-66(汽車会社)。
EF65 72号機 1985.4.18 京都
三次車
昭和40年度第2次債務で宇野線完全無煙化用、東北本線等の増強用を名目に73 - 76号機が製造されました。加えて、昭和41年度第1次債務で信越本線長岡地区無煙化および長野原線電化開業用を名目に77 - 84号機が製造されました。製造会社は73,74,77(東芝電気)、75,76(日本車輌)、78-80(汽車会社)、81-84(川崎車輌)。
尾灯まわりの形状が見直され、抵抗バーニア制御器をCS29に変更しています。このCS29制御器の搭載は0番台の73-76ではなく、500番台の518~531の方が早かった様です。また、入換時に背の高い誘導係に対応するため、手掛けが上方に20cmほど延長され、機関士側のスカート部分に足掛け用の切り欠きが設けられました。
EF65 73号機 新鶴見
EF65 75号機 新鶴見
三次車のうち77-84号機は製造後まもなく浜松工場で1968年6月から9月にかけて改造されP形に編入され535-542のなったため同機らの一般形としての写真は極めてレアではないでしょうか。
四次車
昭和43年度第4次債務で信越本線直江津 - 宮内間電化開業用(18両)、赤穂線電化開業用を名目に85 - 104号機が製造されました。製造会社は85-94(汽車会社)、95-104(川崎車輌)。
三次車以前と比べて、以下の大きな変化が見られます。
•主電動機を電機子絶縁の強化を図ったMT52Aに変更
•界磁制御器をCS26からCS26Bに変更
•抵抗バーニア制御器をCS29からCS29Aに変更
•避雷器をLA15AからLA15Bに変更
•貨物列車の高速化に伴い、非常ブレーキを使用した際に作動する単機増圧ブレーキの追加
•ATS電源未投入防止、警報継続装置の新設
•主電動機風道のスライド式化
•車体前面の補強◦1967年9月30日に発生した、踏切で立ち往生した8tトラックと寝台特急「あさかぜ」(EF65 502牽引)の衝突事故により運転士が死亡した事故を受けて施工。既存車両にも同様の工事がなされました
•乗務員室内の整備
EF65 86号機 高崎機関区
EF65 95号機 1980.12.12 京都
五次車
昭和43年度第5次債務で東海道・山陽本線貨物・荷物列車増発用、山陽本線瀬野 - 八本松間補機増強や東北・信越方面の貨物列車増発用を名目に105 - 120号機が製造されました。製造会社は105-110 (汽車会社)、111-113 (日本車輌)、114-120 (川崎車輌)。
四次車との大きな違いは見られません。
EF65 113号機 新鶴見機関区
EF65 116号機 2006.11.18 甲南山手
EF65 117号機 既にリタイア? 新鶴見
EF65 120 牽引貨物列車
六次車
昭和44年度第3次債務で121 - 132号機が、同年第5次債務で133 - 135号機が製造されました。製造会社は121-127 (汽車会社)、128,129 (日本車輌)、130-135 (川崎車輌)。
運転台前面ガラスに熱線入りガラスを採用し、全面デフロスタに変更され、ワイパーも強力形のWP50とされた。また、一人乗務に備えてEB装置・TE装置の設置がなされました。
なおEF67の100番台はEF65のこのグループから改造されており、番号の対応は
EF67 101, 102, 103, 104, 105 <= EF65 134, 131, 133, 132, 135 になっているそうです。
EF65 121号機 1985.4.18 京都
EF65 122号機 品川
今回は原色で活躍するEF65一般形の写真を載せましたが、2001年からデジカメで本格的に鉄復帰してから、JR貨物更新塗装になって初めて撮った機関車も結構あります。それらは後日、別の機会に掲載できればと思います。一般形で残念だったのはトップナンバーが保存されることなく解体されてしまったことですね。(テキスト部分の記載は直流機関車EF65 イカロス出版 と 国鉄電気機関車EF65形 Wikipediaの記載をベースに記述しています)
先日、EF15の際にご紹介した「鉄路100万キロ走行記 宇田賢吉著」(グランプリ出版)にEF65に関する宇田氏の感想も書かれています。
EF65は貨物列車の速度向上時代に出現し、その適応性のために長期間に渡って製作、使用された。モーターは国鉄標準としてEF60からED75まで広く採用されたMT52なので出力はEF60とかわらない。EF65の持つ適応性は2つある。ひとつは速度特性であり、定格速度45~72km/hは最高速度が75km/hの貨物列車に合致しており、設計段階ではもう少し高速性能を重視する予定であったが、そうすれば貨物列車の主力が95km/h担っても十分活躍できたはずである。二つ目はノッチ進めを自動進段にしたことであり、機関士は電機常務で必須条件として諦めていた電流計注視から解放された。これで前方注視や信号確認に専念できることとなった。
CS25主制御器は初期故障が相次ぎ、研修陣を悩ませた。システムは電車で採用しているのと変わらないが、制御段数が増加して大形になったためか誤動作の回数が多かった。一般形73号機、F形518号機から2本のカム軸に専用のモーターを装備したCS29が搭載された。CS25搭載車輌も2基のカムモータータイプに改造された。空転検知装置はEF60の主回路電圧比較方式から、各軸の速度比較方式になって検知感度は上昇した。その代わり、空転時の守護神であった再粘着装置は省略され、ノッチ自動戻しを行うのみとなった。
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