1975/10 真鶴~湯河原へ 4 EF65 500F形について
続いてEF65 500F形です。
東京発着のブルートレインを撮り始めた頃のことですが、鉄道雑誌を読んでいて、いわゆるP形と同じ塗装をしていながら、重連総括制御機能を持ち、重量高速貨物列車を牽引する500F形なる集団が存在し、日夜東海道、山陽路で貨物列車を牽引していると知ったときは驚きでした。そしてその機関車を初めて、今回のメインテーマである湯河原撮影旅行で見たときは驚き、またラッキーだったと感じました。何せ当時貨物列車の運行に関する情報は殆どなく、偶然1086レを牽く姿にであえたのでしたから。
EF65 500F形は1965年 - 1966年に高速貨物列車牽引用として17両 (513 - 526・532 - 534) が製造されました。
牽引定数1,000tの貨物列車を100km/hで牽引する必要から、P形を基本に、重連総括制御機能・空気管付き密着自動連結器・連結器の自動復心装置・編成増圧装置・電磁自動空気ブレーキへの指令機能などを追加した区分です。
外観上、3本の空気管コックと3種の電気連結器が前面下部に設けられてホースやジャンパケーブルが装着され、さらに連結器も上部に自動復心装置を付加した空気管付き密着自動連結器であるため、スマートなP形とは一変して複雑かつ物々しい印象となりました。
一次車
昭和39年度第5次債務で513 - 517号機が製造されました。東海道本線などの貨物列車増発用を名目としていています。全車が東京機関区に配置され、P形一次車とともに寝台特急牽引に当たりました。
0番台2次車と共通のCS25A抵抗バーニア制御器を搭載していますが、界磁制御器はCS26Aに改良されています。
この頃はPとFの17両が区別無く東京発のブルートレイン牽引を担当したようですが、私はこれまでFの牽く東京発着のブルートレインの写真は見た憶えがありません。さらにこの時期には一般形の60-64号機も予備機として東京区所属となっていたようですね。1966年3月25日ダイヤ改正に合わせてPの増備車として527-531号機が落成するとF形は吹田第二機関区に転出になりました。
EF65 517号機牽引貨物列車 1086レ
二次車
昭和40年度第2次民有で518 - 526号機が製造された。山陽本線広島 - 幡生間貨物列車完全無煙化用を名目とし、吹田第二機関区に配置されました。
加えて昭和40年度第2次債務で532- 534号機が製造されました。同じく山陽本線広島 - 幡生間貨物列車完全無煙化用を名目としているが、東京機関区に配置されました。
518号機以降、抵抗バーニア制御器がCS25AからCS29に、532号機以降はブレーキ増圧回路が編成増圧仕様から単機増圧仕様に変更されています。後部標識灯が新形となり、誘導手摺が長くなりました。復心装置装置にカバーが付きました。
1966年10月からは、レサ10000系の特急貨物列車「とびうお」「ぎんりん」の牽引にF形(吹田第二機関区所属)が充当され、600 t 以下の牽引定数の列車は単機で、600t以上1000tまでの牽引定数の列車は重連運転で、それぞれ運用されました。ただし、これはあくまでもEF66形が落成するまでのつなぎ的な役割でありました。
1968年10月にEF66形量産車が登場・運用入りした後は新鶴見機関区に転属し、東北・上越方面の高速貨物列車牽引に充てられ、EF15形など旧型電機を淘汰しました。
積雪地区での使用に際し、一部の車両につらら切り、ホイッスルカバー、スノープラウといった簡単な耐雪耐寒装備が施され、顔つきが一段と厳めしく変貌しました。ただし、寒冷地運用では貫通扉が設けられていないため、冬季の多雪地域での重連運用の折り返し時に一旦車外に出なくてはならないことや、凍結防止用ヒーターなどの耐寒耐雪装備が不十分でトラブルが多発したこと、ジャンパ栓受がスカートに左右非対称の配置で搭載されているため、デルタ線の通過などで車両の向きが変わる運用に充当しづらいなどといった難点が存在したとのことです。
EF65 520 品川
EF65 522 京都
EF65 523 品川
EF65 524 北府中
雑誌(直流電気機関車 EF65 イカロス出版)の記事によりますと、524と525号機のスカート各コックの上部にはコックの用途を示す「銘板」が取り付けられていたそうです。銘板には元ダメ管、ブレーキ管、ツリアイ管などと書かれていたそうです。
EF65 532 鶴見
1978年7月のPF形の投入によって運用を置き換えられたP形・F形は貨物列車牽引運用に転用され、再び東海道・山陽本線に復帰し、一般貨物列車の牽引に充当されました。
国鉄分割民営化を目前にした1986年11月には、沼津機関区、稲沢第二機関区、高崎第二機関区に分散配置されていたF形が高崎第二機関区に集中配備されました。
国鉄分割民営化では17両すべてがJR貨物に継承され、高崎第二機関区に配置になりました。
2008年3月のダイヤ改正では、JR東日本管内でのATS-P保安装置使用開始によってJR貨物所有の500番台は全車運用を離脱し、廃車となりました。
湯河原での写真に絡めてEF65 500Fの歴史も振り返って見てみましたが、500F形が本来の目的で活躍できた期間は誕生後2年間くらいで、その後はEF66が誕生し、直流区間の重量級高速貨物牽引の歴史はEF66~EF200~EF210と引き継がれてきていますね。
500F形の誕生とそのたどった歴史はEF60の500形がブルートレイン専用機として一時は輝かしい任を与えられたにもかかわらず、高速性に欠けたことからEF65の誕生と共に短期間でその役を追われ、一般形と同じ後生を辿ったのと似ているように感じます。
幸いなことにEF65 500Fの中でも520号機が碓氷鉄道文化村で活躍していた頃の姿そのままに保存展示されているのは嬉しいことです。
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コメント
« 1975/10 真鶴~湯河原へ 3 EF65 一般型について | トップページ | 1975/10 真鶴~湯河原へ 5 EH10について »
管理人様、おはようございます。
素晴らしい特集が続きますね☆~。
500F型・・・特急色を纏いながら貨物牽引が主体?だったような気がしますが、管理人さんの記録から旅客も牽引してた事を知りました。 なるほど・・・、特急色を纏ってた筈だと謎解きしてもらってスッキリしました。
青い機関車にクリーム色の配色が絶妙なEF65型、オールマイティな活躍だった形式なので、更新色とは言え、当時の思い出を甦らすのに現存の新鶴PFを撮りに行くのが今一番の楽しみです。
素晴らしい記録の数々に感謝いたします、ありがとうございました。
投稿: ゴンパパ | 2012年11月21日 (水) 10時47分
ゴンパパさま、こんにちは。
今回もコメントありがとうございます。
ゴンパパさまとたかさんさまのブログも大変興味深く拝見致しております。
国鉄時代の貨物機関車の歴史を一度きちんと整理しておこうと思って、湯河原撮影旅行に引っかけて書いたのが今回の特集ですが、湯河原の写真より、それ以外の写真の方が多くなってしまいました。明日にはEH10も載せようと思っています。
今朝、実はEF15の記述に宇田賢吉氏の「鉄路100万キロ走行記」のEF15に関する部分を載せさせて戴きました。機関車の解説はもちろん重要ですが、実際に運転されていた方の経験談は非常に興味深いものがあります。
それから、こちらからお願いですが、もし可能でしたらゴンパパ様のブログの方でもEF60の初期タイプ(クイル式駆動で登場したタイプ~14)の特集を写真付きでお願いできないでしょうか、以前からやぶおさんの掲示板で樽形ヘッドランプケースのEF60の写真を見せて戴いており、是非たっぷりと見たく思いますので。
投稿: B767-281 (クハ415-1901) | 2012年11月21日 (水) 12時49分