1981/11 北陸へ 3 485/489系特急 その2 489系「雷鳥」
昨日の記事で記述しましたように特急「雷鳥」は当初は大ムコの481/5系で運用されていましたが、1971年に碓氷峠協調運転用に新たに489系が開発され、大ムコ、そして金サワに配置されると本来、信越本線の特急「白山」用の489系も「雷鳥」の運用を担当するようになりました。
まずは489系の開発の経緯ですが、信越本線横川 - 軽井沢間の碓氷峠には66.7パーミルの急勾配が存在し、電車でも補機の助け無しに自力で通過することは不可能でありました。当時は台枠・連結器の強化などをする通称横軽対策をしてもEF63重連の助けを借りても8両が限界でした。急行用165系に協調運転の装備を加えた、165系900番台、後の169系が登場し、12両での運用が可能となりました。そこで、485系にも同様の装備を追加し、新たな系列として登場したのが489系であり、直流特急電車においても183系1000番台に同様の装置を追加し、協調運転を可能としたのが189系です。
余談ですが、169系登場時の系列番号は167系の後であったので、順序通り169系としたようですが、489系や189系の登場時は487系や187系はなく、末尾9がいつの間にか碓氷峠協調運転バージョンという暗黙の約束となってしまい、7をとばして9となったようです。
さて、489系の配置を年代別に見てみると、
TcM'MTsTsTdM'MM'MTc 6M5Tの11連の編成で
1971年7月3日にクハ489-2, モハ488,489-4,5,6, サロ489-3,4, サシ489-2,クハ489-502
1971年7月5日にクハ489-1, モハ488,489-1,2,3, サロ489-1,2, サシ489-1,クハ489-501
の2編成が大ムコに配置となっています。
この第一陣の11連の編成は481/5系編成と共通運用のため、編成内容を揃えてあり、「白山」の協調運転の訓練に使われる一方で、「雷鳥」や山陽/九州の臨時特急に使用されたようです。
1972年1月18日にはクハ489-4 (504)編成、2月8日には-5 (505)編成、2月10日には-3 (503)編成が配置され、さらにサハ489も1~4が追加、さらにサシ181-102, -103から改造のサシ489-101,102も同時期投入されています(サシ489は1~4まで)。
<サシ489-101, 102への改造>
調理室側回送運転台を増設。
種車の181系のため枕ばりの低いTR69C形台車を改造の上で床面高さを調整。
1972年3月の改正で「白山」が特急として運行開始になり、本来の目的での運用が始まりました。
TcM'MTsTsTdM'MTM'MTc 6M6T 12連の編成形態となり、485系とは運用が分けられました。
この頃は4本の489系編成のうち、3本を使用して、向日町‥大阪1850(雷鳥)-2310富山‥金沢 金沢700-(白山)-1334上野1425-(白山)-2053金沢 金沢‥富山655-(雷鳥)-1110大阪1230-(雷鳥)-1640富山1715-(雷鳥)-2130大阪‥向日町 といった運用を行っていました。
1972年10月からは貫通型先頭車-200,-600台が増備され、11月までに2編成 -201(601), -202 (602)が配置されています。モハ488は200番台となりましたが、モハ、サロ、サシ489は0番台のままで、サハは仙台から転入した2両(サハ481-1,2)が改造されてサハ489-51,52となっています。さらにこのサハ489-51は1973年3月に改造され-251となっています。クハ489-203 (603)も製造されていますが、中間のモハは1ユニット(489-22, 488-207)で予備車的増備だったようです。
485系のモハ484と同様にモハ488もこの時期にモデルチェンジをして、新たに200番台となっていますが、何が変化したのか違いを挙げますと、
モハ488-1~15は1971~1972年に東急車輌、近畿車輌で製造されました。50/60Hz両用の主変圧器、主整流器などの交流関係機器を装備しています。冷房装置は屋根上にキノコ形のAU12(2ユニット入り1台と1ユニット入り1台)を搭載し、室内には床置式のAU41を客室両端に3台搭載しており、台車はDT32Aを履き、空気バネパンク装置付きとなっています。一方、モハ488-201~227は1972~1974年に東急車輌、近畿車輌、日立製作所で製造されました。冷房装置が集中式 AU71Aに変更されており、床置式冷房装置 AU41と業務用室が廃止され、定員は8名増の72名となっています。1974年以降に製造されたモハ488-216~227は 座席が回転クロスシート(ベンチシート)から簡易リクライニングシートに変更されています。台車はDT32Eを履いています。
モハ489については番台こそ変わってはいませんが、エアコン、台車、シートの変化は相手のモハ488の変化に対応する形で変化していました。
<サハ481-1,2~サハ489-51, 52~サハ489-251, 252への改造>
サハ481形に横軽協調装置を搭載を行いサハ489形50番台に改造改番。
翌1973年にCPを取付250番台に再改番。
1973年3月には金沢運転所(金サワ)に489系が配置されることが決定し、-1,-2, -201の編成が転属になりました。5月には大ムコのサハ489-1,-2,-4が-201,-202,-204に改造され、-4, -5編成と-203の予備車が金沢に転出しています。9月には-202編成も転出しています。1974年4月25日の時点で最後まで残った-3編成が金沢に転出となり、大ムコにおける489系の配置はなくなりました。(1986年11月以降、-303の編成が大ムコ配置となった時期もありました)。
一方、-204以降の編成は金サワに新製配置となり、1973年3月に-204 (604), -205 (605)が配置され、今回はフル編成バージョンでモハ489-23~28, モハ488-208~213, サロ489-15~18, サハ489-5,-6, サシ489-7,8となりました。同時期にサハ489-3が-203に改造されています。1973年7月にはモハ489-29, 30, モハ488-214, 215, サロ489-19, 20、サハ489-7, 8が追加新製配置され、-203編成の中間車欠損分が補充され、全てが編成を構成するようになりました。
<サハ489-1~4の201~204への改造>
サハ489-1 - 4には当初CP未搭載であったが、1973年に吹田工場で取付施工と改番を実施した。取付理由は250番台と同じであり、これによりサハ489-1 - 4は以後欠番となる。
1974年3月から4月にかけては非貫通タイプにモデルチェンジしたクハ489-300 (700)台の編成が2編成(-301, -302)と予備車分(-303)が新製配置になり、7月に欠損分の中間車が新製され、さらに-304編成が追加され、全14編成が就役しました。
金サワにおける489系は、「白山」の運用を担当する489系専用のグループと1974年以降、配置された485系との混成の12両編成グループに分かれ、混成グループは「しらさぎ」「雷鳥」の運用を担当しましたが、時代によってサシの存在などから、「雷鳥」の運用は両グループ間で動きがありました。さらに後年、長大編成のサービス電源を安定化させるため、3MG方式が導入され、サロ489形1000番台が10両追加され、さらに6M6T編成を8M4T化する措置もとられ、編成替え等の大きな変化がありますが、それらに関しては後日「白山」の記事で記したく思います。
ボンネットタイプの0番台、500番台のクハは連結器カバーの状態で見分けるのが容易ですが、-200, -300番台のクハはEF63と連結しないエンドのクハは片渡り構造のため、ジャンパ栓が同タイプのクハ(クハ481-200, -300, クハ489-600, -700)に較べて少ないため見分けることが可能です。といっても写真の条件でジャンパ栓の判別が容易な場合に限られますが。
京都駅に進入する489系12連の特急「雷鳥」です。自信を持って489系と言えるのは、奇数エンド(非協調エンド)クハ489-200のジャンパ栓、正面左下が典型的な片渡りタイプとなっているからです。
上の写真の逆側のエンドですが、EF63と連結するためのジャンパ栓(協調制御用KE70形ジャンパ連結器)が付加されているのが見えます。
大阪駅に到着した「雷鳥」の奇数エンドで、ジャンパ栓による判別は難しいですが、489系200番台クハと思われます。
新大阪を出発する貫通型クハの雷鳥ですが489系と思われます。
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