1976/1 福島へ 3 赤い交流電気機関車たち 6 EF71
EF71形は1968年の奥羽本線米沢 - 山形間交流電化ならびに既存の直流電化区間であった福島 - 米沢間の交流電化切替に伴い、急勾配を有する板谷峠での牽引定数を極力確保する必要からEF70形に続く動軸6軸の「F形」として開発された形式です。連結器の強度と勾配条件から列車重量は最大650tを想定しましたが、ED78形のみの重連運転では出力不足が懸念されたことからF形大出力機の開発・製造が求められました。
ED75形やED76形500番台などと同一の意匠で、重連運転を恒常的に行うため正面に貫通路を設けたほか、冬期の窓ガラス破損を防ぐため正面窓上部にはツララ切り、窓の周囲にはプロテクターを取り付けるボルトを備えていました。全長は18,500mmに達し、側面の通風口は片側7組ありました。
主電動機は国鉄新性能電気機関車の標準形式である直流直巻電動機MT52形の電機子絶縁強化タイプとなるMT52A形を6基搭載しました。交流専用のため端子電圧が上げられ、1基あたりの1時間定格定格出力は450kW・総定格出力2,700kWとなり、これは国鉄交流電気機関車の最大値となりました。
制御方式はED78形と共通のサイリスタ位相制御で、動軸を6軸としたことから回路構成を一部変更し、主変圧器の2次側を6分割として6組のサイリスタブリッジを配置する構成とされたほか、弱め界磁とその関連機器も設けられていません。主電動機の接続は2個直列3並列の固定接続です。列車暖房用電源は主変圧器の3次巻線から供給されました。
台車は前後のものはED78形とほぼ同一の仮想心皿方式を採用するDT129形を、中間台車は車体と台車側受の間にコロを挿入して曲線区間での横動を許容したDT137形を採用しました。
板谷峠の厳しい線路・気象条件に対応する保安装置としては、停電や故障によって電力回生ブレーキが使用不能になった場合自動的に非常ブレーキを作動させる機能を持たせたほか、EF63形と同じく下り勾配での暴走を防ぐ過速度検知装置や勾配上での長時間停車を想定し空気ブレーキをかけた状態でロックする転動防止装置と主電動機回路の短絡による非常ブレーキ装置を備えました。また、冬期の架線凍結に備え前位側のパンタグラフを必要に応じ上昇させられるような構造としました。
ED78形とは機器の共通化がなされ、KE77形ジャンパ連結器2基を通し両形式相互の重連総括制御が可能でした。
なお、本形式とED78形の板谷峠における牽引定数は以下のとおりです。
EF71形単機…450t
ED78形単機…300t
ED78形重連…540t
EF71形とED78形の重連、もしくはEF71形重連…650t
<形態区分>
1968年 - 1970年に製造された1次形と1973年に製造された2次形に分類されます。
1次形 昭和42年度2次債務 奥羽本線福島 - 米沢間交流切替
同線米沢 - 山形間電化開業
1~5 東芝 1968年
1976/1/2の福島機関区訪問の際に庫の中で写した1号機です。
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EF71 1 データ
EF711 東芝府中工場=5105000-1 1968-07-06 E100.8tBBB(1067)
車歴;1968-07-06 製造→ 納入;国鉄;EF711→ 配属;東北支社→1968-07-06 配置;福島→
1986-02-07 廃車;福島→ 保存;福島県福島市「JR 福島機関区」;EF711→
移管保存;宮城県利府町「JR 東日本利府駅」;EF711→
移管保存;宮城県利府町「仙台総合車両センター」;EF711
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EF71 4 の写真はED71の記事で掲出済みです。
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EF71 4 データ
EF714 東芝府中工場=5105000-4 1968-08-12 E100.8tBBB(1067)
車歴;1968-08-12 製造→ 納入;国鉄;EF714→ 配属;東北支社→1968-08-12 配置;福島→
1987-04-01JR 東日本;EF714→ 配置;福島→1993-06-01 廃車;福島運転所
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6~11 三菱重工業・三菱電機 1968 昭和43年度5次債務 団体列車増発
福島駅で臨時特急「つばさ51号」の牽引機交替 1976/1/2
同特急に乗車した1974.3の旅の際の写真(7号機)は2012/11/16の記事に
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EF71 7 データEF717 三菱重工業三原工場=1627/890= 三菱電機 1968-07-22 E100.8tBBB(1067)
車歴;1968-07-22 製造→ 納入;国鉄;EF717→ 配属;東北支社→1968-07-22 配置;福島→
1987-04-01JR 東日本;EF717→ 配置;福島→1993-07-01 廃車;福島運転所
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12 東芝 1969
昭和44年度3次債務 寝台特急「あけぼの」運転開始
13 東芝 1970
2次形 昭和47年度2次債務 寝台特急「あけぼの」増発
14・15 東芝 1973
福島機関区にて14号機 標識灯が変化しているのでイメージが少し変わって見えます。
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EF71 14 データ
EF7114 東芝府中工場=5110771-1 1973-10-12 E100.8tBBB(1067)
車歴;1973-10-12 製造→ 納入;国鉄;EF7114→ 配属;東北支社→1973-10-12 配置;福島→
1987-04-01JR 東日本;EF7114→ 配置;福島→1993-09-01 廃車;福島運転所
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<運用>
1968年10月1日のダイヤ改正直前の9月22日に交流への切替工事が完了した福島 - 米沢間で運用を開始し、翌9月23日からは山形まで運用範囲を拡大しました。全機が福島機関区に配置され「津軽」に代表される急行列車や普通列車・貨物列車のほか、1970年夏から運転を開始した寝台特急「あけぼの」の牽引など広汎に使用されました。当初はED78形牽引列車の補機として福島 - 米沢間での運用が大半でしたが、車両運用の関係から1970年以降は旅客列車を中心に本形式のみで福島 - 山形間を直通運転することも多くなり、編成重量の関係から重連運転を必要とした一部の列車を除くと本務機と補機の区別が曖昧なものとなりました。
純粋な補機としての運用はキハ80系を使用していた特急「つばさ」への投入があります。同列車での補機運用は1970年に大出力機関搭載のキハ181系に車種変更で一旦は解消されましたが、連続勾配下や高速運転での過負荷運用によりキハ181系の機関過熱や故障が多発し列車の遅延や運休が続出したため、1973年以降は負荷軽減のため再度本形式による補機運用が再開されました。当該運用は1975年11月の奥羽本線全線電化完成による「つばさ」485系電車化で終了しました。
国鉄分割民営化時には1を除いた全機が福島運転所(旧・福島機関区)所属のまま東日本旅客鉄道(JR東日本)に承継。引き続きED78形とともに運用されましたが、客車夜行列車の統廃合や貨物列車の削減などで運用は狭まっており、末期まで残った板谷峠越え普通列車運用では、わずか2・3両ほどの短編成客車列車を大出力の本形式が牽引するという不経済な事態も見られました。
1990年より福島 - 山形間標準軌化による山形新幹線建設工事が始まり、同年8月31日には福島 - 米沢間の単線化に伴い定期夜行列車での運用が消滅、以後も残った普通列車と貨物列車(山形 - 漆山間)、臨時列車などの運用]も1991年8月26日をもって終了しました。一部は東北本線で臨時運用に投入されたが、一般勾配では過大とも言える大出力かつ特殊設計であるがゆえに他線区への転用が難しく、1993年までに全車が除籍され形式消滅しました。
今回、本稿を纏めるにあたり、Wikipediaの記事を参考に致しました。またいつものように機関車の個別データはいつものように沖田祐作著 国鉄機関車表を利用しました。
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