1974,1975 北海道へ 3 電車特急 789系基本番台
特急「いしかり」以来、北海道の電車特急は道央の札幌~旭川、そして千歳空港、室蘭の連絡を中心に整備されてきました。1988年3月の青函トンネル開通以来、津軽海峡線関係は本州側のJR東日本の車輌による「はつかり」、JR北海道の快速「海峡」で運用されていましたが、2002年12月の東北新幹線延伸開業(盛岡駅 - 八戸駅)を契機に、八戸駅 - 青森駅 - 函館駅間の列車体系を再構築し、同区間の運転系統を特急列車として統一する方針が採られました。
当初は、道央地区のエル特急「ライラック」などで使用されていた781系電車の転用も検討されましたが、20km以上におよぶ連続勾配や高湿度など青函トンネル内の過酷な走行条件に鑑み、新形式の特急形電車を開発する方針が採られ789系が製造されました。2002年12月1日のダイヤ改正より、特急「スーパー白鳥」として営業運転を開始しました。2005年と2011年にも追加製造され、対本州連絡運用の主力車両として用いられています。
<車体>
ステンレスを用いた軽量構体で、運転台を含む前頭部のみ普通鋼製です。ダルフィニッシュ加工が施された平板を用い、従来のステンレス車体に見られたビード加工はされていません。車体断面はキハ261系気動車と共通で、客室窓下辺から上方が台形状に窄まる形状です。客用扉は中間車では片側1箇所、先頭車では片側2箇所に設け、中間車では客用扉を2箇所に増設可能な準備工事がなされています。
前頭部の形状はキハ261系の意匠を基本としますが、中央下部はキハ283系気動車に類似する絞込みの大きい形状を持ちます。増解結を頻繁に行うことから前面に貫通扉を設け、車両間の通り抜けが容易に行える構造です。前照灯・補助灯はキハ261系の横配列から縦配列に変更されました。標識灯は運転室の風防内に左右各1灯を設けました。正面の愛称表示器は幕式、車体側面の行先表示器は3色LED式です。
2両または3両単位の編成を複数組成して使用するため、中間車のうち編成の端になる車両には、構内運転のための簡易運転台を設けました。 先頭車となる車両には車掌スイッチと連絡ブザーをドア横に設置しました。
外部塗色は前頭部と客用扉を含む部分がJR北海道のコーポレートカラーである萌黄色(ライトグリーン)、前頭部の塗装境界部にはマゼンタの帯、客用扉の塗装境界部には津軽海峡の地形図をデザインした帯を配しました。前頭部側面には "HEAT789"のロゴマークが配されています。
常時高湿かつ騒音の大きい環境の青函トンネルを走行するため、車体は板厚を増して防音防湿が図られているほか、客用扉などの気密性を強化しています。また、トンネル内は12‰の勾配が続くことから、編成中の電動車の比率を多くして列車全体の出力を確保し、上り勾配区間でも最高速度140km/hでの連続走行を可能としているほか、万一1組の電動車が故障してもトンネルからの脱出が可能な構成としています。また、同区間の下り勾配走行に備え、抑速装置として回生ブレーキを装備しました。
制御機器は731系電車のシステムを用いています。シングルアーム型パンタグラフを搭載し、IGBT素子を用いたVVVFインバータ装置でかご形三相誘導電動機N-MT731形 (定格出力230kW) を制御します。床下は防雪カバーで覆われ、車両端部の連結面直下にも着雪防止のカバーを設けました。車体傾斜装置は装備しないが、装備のための準備工事がなされています。
台車も731系電車のものを基本とした軸梁式ボルスタレス台車 N-DT789形・N-TR789形で、車輪径は 810 mmです。
特急「スーパー白鳥」の運用に入った789系 2010/10/24 奥羽本線 千刈踏切
<運用>
40両全車が函館運輸所に配置され、
特急「スーパー白鳥」(函館駅 - 新青森駅)
回送列車として、新青森駅 - 津軽新城駅間の奥羽本線を走行します。
HE-100 番台編成と HE-200 番台編成で構成される6両編成が基本ですが、多客期には青森方に HE-300 番台編成を増結し、8両編成で運転されます。この増結車には785系300番台(NE-303編成)も共通で使用されます。また、HE-300 番台編成の代用として HE-100番台 編成からサハ789形を外し、これに HE-200 番台編成を2編成増結した 2+3+3両 の旧形態の編成で使用することもあります。
増結は必ず青森方に行われ、函館・新青森方のクロハ789形は常に編成の端となります。
編成番号は2両・3両単位で付番され、識別記号「HE」を冠し「HE-104」のように表します。
こちらは2010/12/3の改正で廃止された「つがる」の運用に入った789系 2010/10/24
2006年3月18日の編成増強時に、本州内のみの運行となる特急「つがる」(青森駅・弘前駅 - 八戸駅)の運用が設定されましたが、東北新幹線の全線開業に伴うダイヤ改正により2010年12月3日限りで同列車は運転を終了し、本州内のみの運用は消滅しています。
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