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2013年3月13日 (水)

1974,1975 北海道へ 3 電車特急 781系

今回は781系電車とそれを使用した特急「ライラック」「ホワイトアロー」「すずらん」について触れようと思います。

まずは781系の車輌に関してですが、国鉄が北海道用として1978年に設計・製造、2007年まで運用された交流専用特急形電車です。

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1991/8/20 苗穂にて

交直流・交流車両の主変圧器の絶縁油として一般的に用いられていたポリ塩化ビフェニル (PCB) は1972年、公害防止のための製造が禁止となり、代替品の確保が課題となりました。北海道最初の交流式電車であった711系の主変圧器も例外ではなく、新形式車両の計画は頓挫しました。暫定策として、当時PCB対策が完了していた485系の各部を酷寒地向けに仕様変更した485系1500番台1974年に製作し、昨日の記事で記述したように1975年7月に特急「いしかり」として運用を開始しました。

485系1500番台は冬場において北海道特有の零下10度を下回る低温や、乾燥した細かい雪質に起因する故障が電気、機械関係ともに頻発し、L特急の運行そのものが危機的状況に追い込まれるに至り、恒久的な耐寒対策を備えた特急形車両の開発は喫緊の課題となりました。その後、PCB不使用に関する技術的問題も解決され、北海道総局の要望をできる限り盛り込んだ、気候に適応した車両として製作されたのが781系です。

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1991/8/20 苗穂にて

<車体>

耐寒対策として車内保温のため窓を小型化し、断熱材と主電動機冷却風洞の空間を確保するため、711系の仕様に準拠する設計をとりました。客用扉は他の特急形電車と同様、幅 700mm の片開き扉を片側1箇所に設け、ステップやドアレールのヒーターは強化されています。

先頭車両の前面運転席窓下部分は走行中の着雪を防ぐため、485系より丸みを帯びています。灯火類は正面下部左右に前照灯・標識灯を各1灯設けるほか、運転台上部中央に2灯の前照灯を設けました。灯火類は着雪による「隠ぺい」を防ぐため、露出形で、電球交換も外ハメ式とされました。

電動車のクモハ781形・モハ781形では、車体側面向かって左側(1・4位側)側面上部に「雪切室」(ゆききりしつ)を設けました。主電動機冷却風取入時に雪を分離するためのもので、車体床面下部の風道を経由して主電動機を冷却する構造は711系と同一のものです。

空調故障など非常時の換気のため、客室窓の一部は開閉可能とされました。各車両の両側車端から2番目の窓上部 1/3 が内側に開く内傾式の機構であったが、アルミサッシによる冬季の結露が避けられないことと、保守や見栄えの観点から、量産車では採用されず、試作車も後に一般的な固定窓に改造されています。

室内換気は屋根上に2基搭載した、雪切機能を備えた「新鮮外気導入装置」を用いる強制換気方式で、各車の車体側面幕板部に設けられた外気取入口(片側2箇所)から吸気し、天井長手方向に設けられた吹出口から空気を室内に供給します。車内の気圧を高め、雪の吸い込みを防止するための仕様で、従来車両にあった自然通風式の通風器は装備しません。冷房装置は集中式ユニットクーラーのAU78形を屋根上に1基搭載し、電源は主変圧器の3次巻線から直接供給されます。

外部塗装は他の国鉄特急形車両と同様、クリーム4号地に窓回りなどを赤2号としているが、前照灯・標識灯部横の赤帯は高い位置に配し、正面愛称表示器まで回して雪中での被視認性を向上させました。

<電装機器・制御系>

国鉄新性能電車の標準構成である電動車のMM'ユニット方式を採らず、「電動車・付随車ユニット」(MTユニット)を組みました。パンタグラフ・主変圧器・主整流器など電源供給に関する機器を付随車側に搭載し、電動車側には制御装置などを設けています。これは特急列車用として車体設備や機器設計を再検討した結果、711系に比して重量増となったこと、および 床下に機器を極力配置しないとする耐雪設計のためで、「Alternating Current」(交流)の頭文字である「A」を含んだ「TAc'」と「TA」の記号(「'」は偶数形式を表す)が、国鉄で初めて用いられています。このことから、新造特急形車両としては初めての制御電動車である、クモハ781形が設定されています。

主変圧器(TM13D形)主整流器(RS39B形)は非PCB仕様として新たに設計され、主電動機は711系と同様の他力通風方式で、417系電車で採用された絶縁強化仕様の直流直巻電動機MT54E形を用いました。

制御方式は711系を基本とするサイリスタ位相制御です。同制御方式では力行制御用の抵抗器は不要で、711系では発電ブレーキを省略していた。本系列では屋根上にブレーキ専用の抵抗器を搭載して高速域から強力に作用する発電ブレーキを装備し、711系で問題のあった制輪子・車輪の摩耗低減を図りました。

なお、北海道の深刻な雪害の対策は、冷却気循環系に負圧部を作らないことで実現しています。485系1500番台ではそれが不徹底で、北海道の乾燥した粉雪に対応しきれず、隙間から舞い込んだ雪が機器の熱や装備されたヒーターで解ける浸水絶縁不良で運行できなくなったが、本州転属後は問題は発生しませんでした。

<台車>

台車は711系のものに小改良を施した DT38A形・TR208A形で、インダイレクトマウント式空気バネの枕バネと円筒案内式の軸箱支持装置、密閉形円錐コロ軸受けは共通の仕様です。

<量産車での変更点>

試作車で結露の原因となった開閉窓を廃止したほか、正面の愛称表示器・側面の行先表示器・客用扉のガラス支持方法をHゴムから押え金に変更した。クモハ781形・クハ780形では運転台直後の屋根上排気口を廃止しています。台車は形式の変更はないが、ボルスタアンカーの高さを変更して振動特性を改善しました。

続いて、781系の運用の歴史です。

1978年11月3日試作車(900番台)6両編成1本が完成し札幌運転区に配置され、翌1979年3月19日から「いしかり」として運用を開始する。

1980年6月に量産車6両編成3本(18両)が製作され、同月中に485系を完全に置き換えました。

同年10月1日に室蘭本線・千歳線(室蘭 - 白石間)の電化が完成し、本系列は6両編成4本(24両)が追加製作されました。同日のダイヤ改正で「いしかり」に代わり「ライラック」が室蘭 - 札幌 - 旭川間を直通運転する列車として設定されました。

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国鉄特急塗装でデビューした頃の781系 特急「ライラック」 1983/8/23 札幌

1984年2月1日:急行「かむい」「なよろ」を「ライラック」に格上げし3往復増発。「ライラック」は札幌駅 - 旭川駅間で10往復運転。

1985年3月14日:「ライラック」の東室蘭駅 - 室蘭駅間が各駅停車に変更。

1986年3月3日:千歳空港駅 - 札幌駅 - 旭川駅間で「ホワイトアロー」が運転開始。 特急「ホワイトアロー」設定当時は781系電車で運行。
781系は中間車2両の先頭車化改造を実施し、6両編成5本+4両編成3本の体制で列車本数の増加に対応した。 

11月1日:今回のダイヤ改正までに6両の先頭車化改造を追加実施し、6両編成はすべて4両編成化(12本)されました。これにより座席指定席は半室のみとなった。「ライラック」は札幌 - 旭川間を1時間等間隔(14往復)とする運行体制が採られました。ただし、多客時には2編成連結の8両編成が充当されることもありました。「ホワイトアロー」は大半の列車を苫小牧駅発着とする。停車駅は千歳空港駅と札幌駅のみとした。「ホワイトアロー」がエル特急に指定される。

1987年4月のJR発足では、試作車6両・量産車42両の総数48両がJR北海道に承継された。

1988年3月13日:「ライラック」に千歳空港駅(現在の南千歳駅)発着系統の設定がなされる。

1990年9月1日:新型車両785系電車運用開始に伴い「ホワイトアロー」を新型車両を投入して「スーパーホワイトアロー」に名称を変更。 これにより、781系による「ホワイトアロー」の運転は終了しました。

1992年の新千歳空港駅開業にともなうダイヤ改正で「ライラック」は新千歳空港 - 札幌 - 旭川間の「ライラック」と札幌 - 室蘭間の「すずらん」に系統分割された。「ライラック」の札幌 - 新千歳空港間では、一部の列車を快速「エアポート」として運行しました。

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781系 特急「すずらん」 2002/8/25 札幌

1998年4月11日:785系の「ライラック」が定期運用を終了。これに伴い、「ライラック」は12往復、「スーパーホワイトアロー」は15往復となり「スーパーホワイトアロー」が運転本数の上で逆転しました。

2001年7月1日:「ライラック」の指定席としてuシートを全列車に導入。

2002年3月16日:新千歳空港駅へ乗り入れる列車を、それまで札幌駅 - 旭川駅間の運行であった「スーパーホワイトアロー」と入れ替え。「ライラック」は札幌駅 - 旭川駅間のみの列車となりました。 「スーパーホワイトアロー」の編成を自由席車4両とuシート車1両の5両編成へ統一されました。 781系での「エアポート」運用は終了しました。

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ボディの赤い線はuシート装備の車輌
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札幌駅に進入、出発する781系 JR北海道塗装の特急「ライラック」 2002/8/25

2003年には「ドラえもん海底列車」に使用するため、6両が札幌運転所から函館運輸所に転属しました。

2005年8月2日 - 7日、2006年8月2日 - 6日には、青森ねぶた祭に合わせて臨時特急「ねぶたエクスプレス」を函館 - 青森間で運転しました。函館運輸所の6両編成を充当し、東日本旅客鉄道(JR東日本)エリアに乗入れました。本州での781系による営業運転の唯一の事例となりました。

2006年3月18日
:夜行特急「利尻」「オホーツク」9・10号の季節列車への変更に伴う代替置として「スーパーホワイトアロー」・「ライラック」を増発。

本系列の老朽化による取替用として789系電車(1000番台)2007年に製作され、同年10月のダイヤ改正から使用を開始しました。これに伴う785系電車などの転配により、本系列は「ライラック」「すずらん」などの定期運用をすべて終了しました。同年10月28日のイベント列車運用を以って営業運転での使用を終了し、函館運輸所の「ドラえもん」編成を含め11月27日までに全車が廃車されています

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コメント

クハ415-1901さん、こんにちは。
いかつい感じの783系電車・・・
いかにも北海道の厳しい気候に耐えられるような頼もしさを感じた車両でした。
やはり何と言っても、国鉄特急色が一番しっくりきます。
485系の1500番台がいまなお現役で見られるのに比べると、
29年の人生は、少し短かったかなあという気がします。

やぶお さま、おはようございます。

485系1500番台は本州に戻ってからは、一部不幸な事故廃車もありましたが、本当に長生きしていますね。
北海道の場合、特に電気車の場合は、長期にわたる稼働、メンテナンスが大変なのかも知れません。いろいろな技術がいろいろな車輌で培われて、より良い車輌がどんどん出てくればと思います。

こんばんは。
781系、懐かしく記事を拝見しました。
この丸っこいデザインが愛嬌があって、極寒の地を走る逞しさとのギャップが楽しい車両でした。
この車両が先に廃車になり、485系が今でもあちこちを走っているのを見ると、不思議には思いますが、それだけ北海道の環境が厳しいということなのかもしれません。
スピードを上げて走るこの列車の車窓は、いい思い出です。
http://kazetabiki.blog41.fc2.com/blog-entry-1502.html
今後とも、宜しくお願い致します。
風旅記: http://kazetabiki.blog41.fc2.com/

風旅記さま、ようこそいらっしゃいました。

そしてコメントありがとうございます。

仰る通り、485系に当時としては万全の耐雪耐寒装備をして送り出した1500番台がああいった結果になり、それに続いて投入されたのが初の交流専用特急電車781系でしたね。

こちらこそ、これからも宜しくお願い致します。

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