1974,1975 北海道へ 7 DE15と除雪用車輌
これまで冬の北海道や北国はあまり行ったことがないのですが、除雪関連の車輌は撮っておりますので、今回はその紹介です。
<DE15形について>
ラッセル式除雪機関車としては、1961年にDD15形が登場していましたが、除雪装置を装着した際の軸重が15.5トンとなるために、線路等級の低い丙線以下の線区には入線することが出来ませんでした。したがって、これらの低規格線区では、旧来からの雪かき車を機関車で推進して除雪する方式で行わざるを得ませんでした。
昔の記事を見ていたらEF70を撮った写真にDD15 15号機が写っていましたので再掲します。
そこで除雪車両の高性能化と近代化をはかるため、DD20形をベースにし、ラッセル除雪装置を機関車に固定したDD21形が1963年に試作されましたが、除雪装置を装着したままでのローカル線運用や入換作業に不便があり1両のみの製造にとどまりました。DD21形の欠点を是正し、DE10形をベースに開発された低規格線区に入線可能な除雪用機関車がDE15形です。
札幌駅で見かけたDE15 1534 2002/8/25
現在この機関車は旭川運転所に1533とともに配置され、緑色を基本とした「ノロッコ号」塗装となっているそうです。
1967年から1981年までの間に計58両が製造されました。除雪時には機関車本体の前後に2軸台車を使用したラッセルヘッドを連結します。除雪期以外には停車場構内での入換作業や本線の客貨列車牽引にも使用されることを考慮し、ラッセルヘッドの連結解結作業は簡略化・省力化できるように設計されました。
機関車本体の基本的な構造はDE10形とほぼ同じですが、ラッセルヘッド連結のための装備が設けられています。ラッセルヘッドとは3箇所の密着連結リンクで連結されるため、ナンバープレート部分中央と後部標識灯(尾灯)横に密着連結リンクが装着されています。また、ナンバープレート中央部のそれには電気連結器が装備されたため、ナンバープレートは中央部分が分割されており、後部標識灯もDE10形に比べ外方に寄せて取付られています。なお、これらのリンクは取外し可能です。これらの装備によりラッセルヘッド車運転台から機関車の運転操作が可能となっています。
製造開始時は単頭式ラッセルヘッド(機関車の片側のみにラッセルヘッドを連結)で、折り返し時にラッセルヘッドの車体を台車の中心を支点に油圧で180度方向転換させて、機関車本体を反対側に連結する構造でした。そのため、側線を使って機関車本体の機回しをする手間を要しました。ところが、終端駅の側線が雪で埋没することで方向転換不能に陥るケースやラッセルヘッドの回転スペース確保のため線路脇の除雪が必要となる等の問題点が生じたため、その改善策として、1976年からは両頭式(機関車の両側にラッセルヘッド車を連結)で製造されました。また、ラッセルヘッド車の形状には単線形(進行方向の両側に雪を掻き分ける方式)と複線形(進行方向の左側に雪を掻き分ける方式)があります。
製造期によって一部仕様が違い、後に改造による改番も発生しています。
基本番台
1967年 - 1969年に日本車輌製造で製造された、DE10形0番台に相当するグループです。機関はDML61ZA (1,250ps/1,500rpm) が搭載されています。1 - 2と4 - 6が複線形の単頭式、3が単線形の単頭式として製造されました。客車暖房用蒸気発生装置(SG)を装備していました。後に1 - 3・6が両頭式に改造されましたが、単線形であった3は2053に改番されています。
1000番台
1971年 - 1973年に日本車輌製造で製造されました、DE10形1000番台に相当するグループです。機関はDML61ZB (1,350ps/1,550rpm) に変更され、SGを装備しています。1001・1003 - 1006が複線形の単頭式、1002が単線形の単頭式で製造されました。後に1002・1004・1006は両頭式に改造され、1002は2052に改番されました。
1500番台
1971年 - 1973年に日本車輌製造・川崎重工業で製造されたグループで、SGの代わりに死重を搭載しました、DE10形1500番台に相当する機関車です。1501 - 1504・1507・1509 - 1512・1514 - 1516・1518が複線形単頭式、1505・1506・1508・1513・1517が単線形単頭式で、1976年製の1519 - は複線形両頭式で製造されました。しかし単頭式で製造されたが後に両頭式に改造されたものがあり、単線用両頭化改造車は2550番台に改番されました。
2050番台
SG装備の単線形単頭式車を単線形両頭式に改造したグループです。2052・2053の2両が存在しますが、それぞれ種車が異なるため同番台でも機関出力が異なります。
DE15 1002・3→DE15 2052・2053
2500番台
1977年から1981年に日本車輌製造・川崎重工業で単線形両頭式として製造されたグループです。SG非搭載のため該当分の死重を搭載しています。27両が製造されました。
2550番台
1500番台車のうち、単線形単頭式で製作されたものを単線形両頭式に改造したグループです。種車の番号に1050を加えた番号になっています。
郡山のホームから写した除雪用車両 2006/8/20
同じ場所にて 2008/7/30
両方とも真夏にこうやって冬場に活躍する車輌が外に出されているのを見ているのも摩訶不思議
<現状>
国鉄分割民営化時は北海道旅客鉄道(JR北海道)、東日本旅客鉄道(JR東日本)、東海旅客鉄道(JR東海)、西日本旅客鉄道(JR西日本)の4社に計84両が承継されました。
2000年代以降は、保線要員のみで操作できるという簡便さや経費の面から除雪用モーターカーが使用されることが多く稼働率は落ちており、余剰車の一部はJR貨物へ売却され、DE10形3000・3500番台に改造されています。
北広島で見かけた除雪用モーターカー 2010/6/26
現在は小回りが効きそうなこちらが主役?
こちらは空港関係の除雪車輌? 南千歳 2008/3/23
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