1975年 新潟の旅 2 191系事業用車@水上駅
1975年秋の新潟の旅、11月2日の夕方、まずは当夜の宿泊予定地、谷川温泉に向かうため、上野からの急行で水上駅に到着するとまだ明るさが残っておりました。
この機会に上越国境越えの補機として活躍するEF16の姿も撮っておきたかったので、駅の裏手へ回ってみました。
2009/9/5に訪問した際に撮影した水上駅の越後湯沢方面の風景
この写真で言えば画面左側の引き込み線だったと思いますが、そこに試験車であるクモヤ191+クモヤ190の2連が停まっておりました。
水上駅北側の電留線で偶然見かけた191系 電気検測用電車 1975/11/2
手前がクモハ190で種車のモハシ180の窓配置をよく残しております。
<191系 事業用車>
1973年5月に小倉工場(現・小倉総合車両センター)で、余剰休車となっていた181系電車(サハ180-5・モハシ180-11)を種車とした改造により、誕生しました。架線と信号回路の同時検測を行う電気検測用電車です。
外観・構造
測定用機器搭載のため、台枠・側構体および屋根は大幅な補強・改造が施工されました。床面高さを床下機器の関係から181系電車時代の1,110mmから125mm高くした国鉄新性能電車標準の1,235mmとしました。
前面形状は当時製造されていた183系電車に準じた高運転台・非貫通構造を採用しましたが、種車となった中間車の台枠をそのまま利用したため、183系のように丸みがなく平面的な前面となっています。側面は一部が埋められていますが、種車の窓や扉は多くが再利用されました。
車体塗装は583系電車や113系電車横須賀線色と同じ配色で、青15号地に前面および側面の上部と腰下部にはクリーム1号の警戒色としました。なお、後年に警戒色は黄5号に改められました。
形式・検測
Mzc車クモヤ191-1とMzc'車クモヤ190-1のMM'ユニット方式により構成され、電車線路の集電性能・架線の磨耗状態・信号設備の電気的機能を走行しながら自動で行います。
クモヤ191-1
種車はサハ180-5で、ATSなど信号設備関係の検査を行います。屋根上には集電用のPS16C形パンタグラフ2基とAU12形分散式冷房装置を4基搭載。床下には主に主制御器・主抵抗器・断流器箱・信号測定用車上子・給水装置を搭載。台車は種車の付随車から電動車に変更となったため新製のDT32E形に交換。室内割付は1・3位側を廊下とし、前から整備室・会議室・測定室・電源室を設置。トイレ・洗面所は種車のものをそのまま流用。
クモヤ190-1
種車はモハシ180-11で架線とその周辺などの電力関係の検査を行います。屋根上には硬点ならびに高さ測定用PS910形・偏位/わたり/支障物検測用PS909形のパンタグラフそれぞれ1基ずつ計2基の搭載と工業用テレビ付き観測台および照明装置などを設置。室内には屋根上が前述の設備のため搭載不可となったためにAU41形床置式冷房装置を1・3位側廊下両端に2基ずつ計4基搭載したほか、前位側より磨耗測定用油圧ユニット及び測定装置・観測台・各種測定機器・高圧室を設置。床下は種車の水タンクを撤去し、70kVA電動発電機(MG)・電動空気圧縮機(CP)・信号回路測定用の車上子を新設。台車は種車のDT23Z形を床面高さ向上に対応した改造を施工の上で装着。
運用
田町電車区に配置され、主に首都圏の通勤路線及び新潟地区の路線の検測に投入されました。その後、山手線や京浜東北線でATC検測が可能な193系が製造されたため、1983年2月に廃車されました。
<種車について>
サハ180-5は1958年11月、8両編成でスタートした151系(開始時は20系)編成に1959年12月、早期に落成したモロユニットを大阪側基本編成に、そして6両のサハを2両ずつ東京側の基本編成に挿入して暫定の12両編成を組成したときの1両です。当初はB5編成、1960年の「つばめ」「はと」の151系化後は特5編成の一員として活躍しました。特5編成は1972年3月の改正後も「はと」「しおじ」として活躍しており、私も1972年7月に特5編成の「はと」に乗車しています。
モハシ180-11はもともとモハシ150-11として、昭和35年度本予算にて1961年8月に落成した車輌です。1961年10月のダイヤ改正で、東京~名古屋間の特急「おおとり」の新設など東海道電車特急8往復化に向け、151系をそれまでの12両編成 6本 体制から11両編成 11本と予備車7両に増強させるために増備された車輌のなかの一両でした。
当初はモハ151-25とユニットを組んでいました。
時代はだいぶ下って1969年の夏を前に157系で運転されていた特急「そよかぜ」を181系化するために昭和43年度第4次債務で181系最後の新製が行われました。モハに関しては敢えてユニット単位での新製は行わず、モハ181 2両、モハ180 3両の新製が行われました。なぜ、このような製造をしたのかといえば、当時山陽本線の特急において181系の半室ビュッフェ車であるモハシの連結が停止されており、モハシをモハに改造する工事が進められていました。そのためにモハシの工事の間に相方のモハ181の休車を避けるため、モハ180を単独で新製したそうです。このとき新製されたモハ180-115はモハ181-4と組むことになり、それまでの相方のモハシ180-4が休車となり、改造工事が始まりました。モハシ180-4も1971年にモハ180-54となり、モハシ180-11の相手方のモハ181-25と新たにユニットを組むこととなり、玉突きでモハシ180-11が余剰休車となりました。そういった経緯からモハシ180-11がクモヤ190-1の種車に抜擢されそうです。
一方でこのときに新製されたモハ180-115は最初の相方がモハ181-4 (1958年製造)、1975.7にはそのモハ181-4が老朽化廃車となり、相方がモハ181-23に代わり、その相方も3年後の1978.6には老朽化で廃車となり、最終的にはモハ181-43と組んだそうです。11歳年上の姉さん女房から始まって、2回伴侶を換えた車両となりました。
以上、『鉄道ピクトリアル』2005年9・10月号 No.765・766 特集:151・161・181系電車 I・IIの記事とWikipediaの記事を参考に纏めました。
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