« 1975年 新潟の旅 11 189系 特急「あずさ」 | トップページ | 1975年 新潟の旅 12 183系基本番台 「わかしお」 »

2013年6月16日 (日)

1975年 新潟の旅 12 183系基本番台 「ささなみ」

1975年の新潟の旅の話題から、181系特急「とき」の話になり、そこから直流特急電車の話題になり、ついに183系基本番台の話題になってしまいました。今回は183系が最初に投入された内房線特急「さざなみ」について触れたく思います。

183
183系 特急「さざなみ」 浜金谷

まずは183系基本番台について

1972年7月15日、総武本線(快速線)の東京 - 錦糸町間開業、房総東線蘇我 - 安房鴨川間電化完成により、総武本線・房総東線(現・外房線)・房総西線(現・内房線)で運転されていた急行列車の一部が特急列車に格上げされ、東京地下駅に乗り入れるため、当時の運輸省通達で定められたA-A基準に基づいて設計され、房総地区での波動輸送への対応も考慮して製造されたグループです。

1972年にMM'ユニット(モハ183形・モハ182形)33組66両、クハ183形22両、サロ183形11両の99両が新規開設となった幕張電車区(現・幕張車両センター)に集中配置され、1973年 - 1975年に継続して増備され、最終的には9両編成(6M3T)19本と事故廃車代替1両にあたるMM'ユニット57組114両、クハ183形39両、サロ183形19両の総計172両が、日本車輌製造・東急車輛製造・近畿車輛・川崎重工業(現・川崎重工業車両カンパニー)で製造されました。第16回(1973年)鉄道友の会ブルーリボン賞も受賞しています。

波動輸送対応で冬期の山岳線区での運用を考慮し耐寒耐雪構造を採用し、狭小断面トンネルが存在する中央本線高尾以西への入線対応から運転席上の前灯が省略されました。
クハの貫通扉は当初は内房・外房特急の総武快速線内併結運転を計画されたことと、地下区間での緊急時脱出の観点からの設置でした。
末端区間で普通列車としての運用を考慮したため、1車両あたり普通車は客用扉を片側2か所としました。

183_2
183系 特急「さざなみ」 錦糸町

定員は、モハ2形式が68名。クハ183形が58名。サロ183形が48名。従来の特急形車両の基本を踏襲しながらも以下に示す機構が新規採用されています。
普通車の座席は従来の回転クロスシートから、R51系簡易リクライニングシートに変更となりました。私もこのタイプの座席、14系ハ座で経験しましたが、抑えておかなくては戻ってきてしまうリクライニングシートで長く乗っているとかえって疲れたように感じました。
冷房装置は、従来のAU12形からモハ183形は集中式のAU71A形1基、その他の車両は分散式のAU13E形5基を搭載しました。
トイレは循環式汚物処理装置を在来線車両では初めて全車に完全装備しました。
使用する列車が短距離列車主体であったため、食堂車は当初から計画されず、代わりに、グリーン車のサロ183形に車販準備室と車販コーナーが設けられました。

信越本線での運用も考慮され新造時から横軽対策が施工されました。東日本の直流電化区間全般での使用も視野に入れた汎用性の高い設計が採用されました。
台車はダイヤフラム式空気バネとウイングばね式軸箱支持のDT32E形を電動車に、TR69E形を付随車に採用しました。

MM'ユニットは、奇数形式のモハ183形に中央本線や上越線などの勾配線区での運用に対してノッチ戻し制御ならびに勾配抑速ブレーキを装備したCS15系制御装置を搭載し、MT54系主電動機(120kW)を制御する方式で歯車比は3.5と従来からの国鉄特急電車の標準的システムを踏襲しました。
クハ183形は、210KVAの電動発電機(MG)と容量2,000/minの電動空気圧縮機(CP)を床下に搭載しました。東京 - 錦糸町間の保安設備が車内信号方式を採用したため、ATC-5形を前位側客室扉後方に設置された機器室に搭載しました。

1972年製 昭和46年度第2次債務             1972.7改正内房外房特急

                        東急        日車       川重        近車
モハユニット        1-9         10-18      19-27      28-33
クハ         1-6         7-12       13-18      19-22
サロ         1-3         4-6         7-9          10,11

1973年製 昭和47年度第3次債務            1973.10 「あずさ」置き換え

モハユニット    41-43     34,35       36-40
クハ                    29,30      23,24       25-28
サロ                    15           12          13,14

1974年製 昭和48年度第2次債務            1975.3 総武特急電車化(先行)
モハユニット                 44-49
クハ                      31-34 
サロ                      16,17  

1975年製 昭和49年度第2次民有            1975.3 総武特急電車化と廃車補充
モハユニット         50-53                      54-57
クハ              35,36                       37-39
サロ              18             19                 

183_3
183系 特急「さざなみ」 千葉 ワイパーのスタイルから1974年製以降と思われます。

続いて 特急「さざなみ」について

1935年から1940年の間、内房線(かつての房総西線)には海水浴客などの利用を見込んで、臨時の快速列車に「漣」(さざなみ)といった愛称が付けられていたそうです。

1950年7月16日 - 8月20日:土・日曜日運転の臨時快速「汐風」が両国駅 - 館山駅間で運転開始されました。1951年夏にも運転されました。
1952年- 1953年夏:「汐風」の運転区間を新宿駅まで延長のうえ「夕凪」(土曜日運転)、「汐風」(日曜日運転)、両国発「さざなみ」(毎日運転)としました。

1953年に房総東・西線が「気動車モデル線区」に指定され、昭和28年度中までに千葉鉄道管理局管内に66両が配置されたことから、1954年夏には「汐風」(毎日運転)、「夕凪」(土曜日運転)が気動車での運転に。「さざなみ」は客車列車のままでした。

1963年4月28日:千葉駅移転改良により千葉駅でのスイッチバックを解消。 
 10月1日:両国駅 - 館山駅間に、キハ58系を使用して全車座席指定席の準急列車を新設。よって自由席のみの編成であった「内房」と名称の区別をする必要があったことから、「さざなみ」と名づけられる。キロ28形を「さざなみ」と「内房」1往復に連結。
「さざなみ」の愛称自体は以前からよく臨時列車の愛称として登場していましたが、この時定期列車に昇格した。また、両国駅 - 千葉駅間では、同じ内容で房総東線に新設された両国駅 - 館山駅間運転の「くろしお」と併結運転しました。

1964年:臨時快速は「さざなみ」から「かもめ」に改称。

1965年 房総夏ダイヤの臨時準急の名称を「汐風」に戻しました。1往復増発。
10月1日:「さざなみ」に自由席車両を連結し、「内房」に統合する。この時「内房」の読みも「うちぼう」へ改められました。

1970年:房総夏ダイヤでは臨時「うち房」のうち1往復を高尾駅発着で運転。臨時快速「さざなみ」を中野駅・両国駅・津田沼駅 - 館山駅・千倉駅間で運転。

1972年7月15日:総武本線東京駅乗り入れ(総武快速線開業)により、183系を導入し、特急「さざなみ」を運転開始(定期列車3往復・季節列車5往復)。
 外房線の蘇我駅 - 安房鴨川駅間の電化により、存続した急行列車4往復による循環運転を再開。先に内房線を走行し外房線に入るもの(左回り)を「なぎさ」、先に外房線を走行し内房線に入るもの(右回り)を「みさき」と命名しました(館山駅 - 安房鴨川駅間は普通列車)。これによって「うち房」が廃止。なお、これに先立つ5月27日に外房線大網駅のスイッチバックが解消されていたため、電化前とは違い循環運転後は前後が入れ替わることになりました。また、定期急行は車両が東京駅 - 錦糸町駅間で採用しているATC-5型非対応のため新規開業した東京駅に乗り入れできず、新宿駅もしくは両国駅発着となりました。
この年の房総夏ダイヤでは臨時特急「さざなみ」(下り1本/上り2本)、113系による臨時急行「みさき」「なぎさ」・101系などによる快速「青い海」(前年までの「さざなみ」を改称。下り15本/上り12本)を運転しています。

←東京
TcTsM'MM'MM'MTc×11 所要10
わかしお(8.5)、さざなみ(8)
 津田沼‥東京10301239千倉14571704東京17301944千倉‥館山
 館山‥千倉8201033東京‥新宿12201431館山17411953新宿‥津田沼
 津田沼‥新宿715942安房鴨川15451753東京19302128館山
 館山713909東京9351124館山13111503東京15301723館山18112004東京‥津田沼
 津田沼‥東京9001103安房鴨川12221420東京15001703安房鴨川18232025東京‥津田沼
 津田沼‥新宿7351033千倉16271839東京19002108安房鴨川
 安房鴨川719924東京10001213安房鴨川14081615東京17001909安房鴨川21312212館山
 館山719808安房鴨川7241055東京12031418安房鴨川/東京13401554安房鴨川17081919東京‥津田沼
 津田沼‥東京8081005館山18482057新宿‥津田沼
 津田沼‥東京8381049安房鴨川18512110新宿‥津田沼

183850224
1978.10の改正では絵入りマークが登場 1985/2/24 錦糸町

1975.3.10

←東京、松本
TcTsM'MM'MM'MTc×19 所要16
わかしお(9)、さざなみ(9)、しおさい(5)、あやめ(4)、あずさ(5)
 津田沼‥東京730928館山10101209東京12301438千倉14571709東京‥津田沼
 津田沼‥東京14301637館山16571909東京19302128館山
 館山710909東京9301132館山12101409東京15301732館山18102009東京‥津田沼
 津田沼‥東京8301037千倉10571309東京13301532館山16101809東京‥津田沼
 津田沼‥東京700916安房鴨川10241239東京13001516安房鴨川16241839東京19002116安房鴨川
 安房鴨川724939東京10001216安房鴨川13241539東京16301832館山19102109東京‥津田沼
 津田沼‥東京8001017安房鴨川11241339東京14001616安房鴨川18242039東京‥津田沼
 津田沼‥東京9001116安房鴨川12241439東京16001816安房鴨川
 安房鴨川9241139東京12001416安房鴨川15241739東京‥津田沼
 津田沼‥東京715914銚子11281324東京13451541銚子16281824東京18452041銚子
 銚子758954東京10451244銚子13281524東京15451744銚子18282024東京‥津田沼
 津田沼‥東京645835鹿島神宮10351224東京12451432鹿島神宮15351724東京‥津田沼
 津田沼‥東京9451137鹿島神宮12351424東京16451832鹿島神宮19352124東京‥津田沼
 休
 津田沼‥新宿8001146松本1251白馬1423松本15401920新宿20002154甲府
 甲府735926新宿10001346松本14401820新宿19002246松本
 松本8001130新宿13001646松本17152052新宿‥津田沼

1982年11月15日:急行「内房」など房総地区の急行列車全廃。代替として、「さざなみ」に両国駅発着列車を設定。

←東京、松本
TcTsM'MM'MM'MTc×24 所要20
わかしお(12)、さざなみ(12)、しおさい(7)、あやめ(5)、あずさ(3)
 休
 津田沼‥東京645835鹿島神宮10351224東京12451433鹿島神宮15341721両国19182104鹿島神宮‥北鹿島
 北鹿島‥鹿島神宮800954東京19452145銚子
 銚子9251124東京11451346銚子14221624東京16451833鹿島神宮19352124東京‥津田沼
 津田沼‥東京9451136鹿島神宮12351438新宿‥津田沼
 津田沼‥東京700919安房鴨川10201239東京13001519安房鴨川16201839東京19002116安房鴨川
 安房鴨川720939東京10001219安房鴨川13201539東京16001819安房鴨川
 安房鴨川8201039東京11001319安房鴨川14201639東京‥津田沼
 津田沼‥東京12001419安房鴨川15201739東京18002019安房鴨川
 安房鴨川9201139東京12301433館山16051805両国‥津田沼
 津田沼‥東京630835館山9031109東京11301341千倉14541709東京17301935館山
 館山8031009東京10301235館山14031609東京‥津田沼
 津田沼‥東京715912銚子11241323東京13451545銚子16241824東京18452043銚子
 銚子8251024東京10451245銚子13251524東京15451743銚子18252038新宿‥津田沼
 津田沼‥東京8301041千倉11541408東京14301634館山18042009東京‥津田沼
 津田沼‥東京8001019安房鴨川11201339東京14001619安房鴨川17211939東京‥津田沼
 津田沼‥東京730934館山10041208東京13301542千倉16551909東京19302132館山
 館山705909東京9301131館山13031507東京15301733館山19072123新宿‥津田沼
 津田沼‥東京9001119安房鴨川12201439東京15001719安房鴨川18202100新宿‥津田沼
 津田沼‥新宿7001210南小谷13061825新宿19002243松本
 松本9471325新宿14001742松本18172145新宿‥津田沼

TcM'MM'MTc×2 所要1
すいごう(2)
 銚子703922両国14451700銚子17321951両国20172231銚子

M'M×1 Ts×2

1985年3月14日:「さざなみ」の新宿駅・両国駅発着定期列車を全廃。

1987年:房総夏ダイヤでは「あずさ」(千葉駅 - 松本駅間・1往復)を千倉駅まで延長。この延長運転は1992年夏ダイヤまで実施されました。

1991年3月16日:「成田エクスプレス」の運転開始により、東京駅 - 蘇我駅間を京葉線経由に変更。

1993年7月2日:千倉駅発着列車の一部を255系による「ビューさざなみ」とする。同時に「ホームタウンさざなみ」「おはようさざなみ」として、君津駅発着の列車が運転開始。

1996年251系電車による臨時列車「デラックスビュー南房総」を新宿駅 - 千倉駅間で運転。
1998年:「さざなみ」の一部列車が、君津駅 - 館山駅間を普通列車として運転。なお、当初は上り、下りともに数本設定されていた。この年の夏をもって「房総夏ダイヤ」を終了。

2002年12月1日:エル特急の呼称を廃止。
2004年10月16日E257系を「さざなみ」に導入、183系の定期列車としての運行を終了。また「ホームタウンさざなみ」「おはようさざなみ」を廃止し、E257系による列車を「さざなみ」、255系による列車を「ビューさざなみ」に統一。

2005年12月10日:列車名を「さざなみ」に統一し、「ビューさざなみ」を廃止。

183850224_2
1985/2/24 錦糸町

Wikipediaの記事と183系の動き 配置および編成・運用の移り変わり 幕張のデータを参考に纏めました。

にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村 最後まで読んで戴きありがとうございます。
上のリンクをクリックされると面白い鉄道記事満載のブログ村に飛ぶことができます。

« 1975年 新潟の旅 11 189系 特急「あずさ」 | トップページ | 1975年 新潟の旅 12 183系基本番台 「わかしお」 »

電車183/189系」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 1975年 新潟の旅 12 183系基本番台 「ささなみ」:

« 1975年 新潟の旅 11 189系 特急「あずさ」 | トップページ | 1975年 新潟の旅 12 183系基本番台 「わかしお」 »

カテゴリー

2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
フォト
無料ブログはココログ

日本ブログ村

  • 日本ブログ村