1975年 新潟の旅 12 183系基本番台 「ささなみ」
1975年の新潟の旅の話題から、181系特急「とき」の話になり、そこから直流特急電車の話題になり、ついに183系基本番台の話題になってしまいました。今回は183系が最初に投入された内房線特急「さざなみ」について触れたく思います。
183系 特急「さざなみ」 浜金谷
まずは183系基本番台について
1972年7月15日、総武本線(快速線)の東京 - 錦糸町間開業、房総東線蘇我 - 安房鴨川間電化完成により、総武本線・房総東線(現・外房線)・房総西線(現・内房線)で運転されていた急行列車の一部が特急列車に格上げされ、東京地下駅に乗り入れるため、当時の運輸省通達で定められたA-A基準に基づいて設計され、房総地区での波動輸送への対応も考慮して製造されたグループです。
1972年にMM'ユニット(モハ183形・モハ182形)33組66両、クハ183形22両、サロ183形11両の99両が新規開設となった幕張電車区(現・幕張車両センター)に集中配置され、1973年 - 1975年に継続して増備され、最終的には9両編成(6M3T)19本と事故廃車代替1両にあたるMM'ユニット57組114両、クハ183形39両、サロ183形19両の総計172両が、日本車輌製造・東急車輛製造・近畿車輛・川崎重工業(現・川崎重工業車両カンパニー)で製造されました。第16回(1973年)鉄道友の会ブルーリボン賞も受賞しています。
波動輸送対応で冬期の山岳線区での運用を考慮し耐寒耐雪構造を採用し、狭小断面トンネルが存在する中央本線高尾以西への入線対応から運転席上の前灯が省略されました。
クハの貫通扉は当初は内房・外房特急の総武快速線内併結運転を計画されたことと、地下区間での緊急時脱出の観点からの設置でした。
末端区間で普通列車としての運用を考慮したため、1車両あたり普通車は客用扉を片側2か所としました。
183系 特急「さざなみ」 錦糸町
定員は、モハ2形式が68名。クハ183形が58名。サロ183形が48名。従来の特急形車両の基本を踏襲しながらも以下に示す機構が新規採用されています。
普通車の座席は従来の回転クロスシートから、R51系簡易リクライニングシートに変更となりました。私もこのタイプの座席、14系ハ座で経験しましたが、抑えておかなくては戻ってきてしまうリクライニングシートで長く乗っているとかえって疲れたように感じました。
冷房装置は、従来のAU12形からモハ183形は集中式のAU71A形1基、その他の車両は分散式のAU13E形5基を搭載しました。
トイレは循環式汚物処理装置を在来線車両では初めて全車に完全装備しました。
使用する列車が短距離列車主体であったため、食堂車は当初から計画されず、代わりに、グリーン車のサロ183形に車販準備室と車販コーナーが設けられました。
信越本線での運用も考慮され新造時から横軽対策が施工されました。東日本の直流電化区間全般での使用も視野に入れた汎用性の高い設計が採用されました。
台車はダイヤフラム式空気バネとウイングばね式軸箱支持のDT32E形を電動車に、TR69E形を付随車に採用しました。
MM'ユニットは、奇数形式のモハ183形に中央本線や上越線などの勾配線区での運用に対してノッチ戻し制御ならびに勾配抑速ブレーキを装備したCS15系制御装置を搭載し、MT54系主電動機(120kW)を制御する方式で歯車比は3.5と従来からの国鉄特急電車の標準的システムを踏襲しました。
クハ183形は、210KVAの電動発電機(MG)と容量2,000/minの電動空気圧縮機(CP)を床下に搭載しました。東京 - 錦糸町間の保安設備が車内信号方式を採用したため、ATC-5形を前位側客室扉後方に設置された機器室に搭載しました。
1972年製 昭和46年度第2次債務 1972.7改正内房外房特急
東急 日車 川重 近車
モハユニット 1-9 10-18 19-27 28-33
クハ 1-6 7-12 13-18 19-22
サロ 1-3 4-6 7-9 10,11
1973年製 昭和47年度第3次債務 1973.10 「あずさ」置き換え
モハユニット 41-43 34,35 36-40
クハ 29,30 23,24 25-28
サロ 15 12 13,14
1974年製 昭和48年度第2次債務 1975.3 総武特急電車化(先行)
モハユニット 44-49
クハ 31-34
サロ 16,17
1975年製 昭和49年度第2次民有 1975.3 総武特急電車化と廃車補充
モハユニット 50-53 54-57
クハ 35,36 37-39
サロ 18 19
183系 特急「さざなみ」 千葉 ワイパーのスタイルから1974年製以降と思われます。
続いて 特急「さざなみ」について
1935年から1940年の間、内房線(かつての房総西線)には海水浴客などの利用を見込んで、臨時の快速列車に「漣」(さざなみ)といった愛称が付けられていたそうです。
1950年7月16日 - 8月20日:土・日曜日運転の臨時快速「汐風」が両国駅 - 館山駅間で運転開始されました。1951年夏にも運転されました。
1952年- 1953年夏:「汐風」の運転区間を新宿駅まで延長のうえ「夕凪」(土曜日運転)、「汐風」(日曜日運転)、両国発「さざなみ」(毎日運転)としました。
1953年に房総東・西線が「気動車モデル線区」に指定され、昭和28年度中までに千葉鉄道管理局管内に66両が配置されたことから、1954年夏には「汐風」(毎日運転)、「夕凪」(土曜日運転)が気動車での運転に。「さざなみ」は客車列車のままでした。
1963年4月28日:千葉駅移転改良により千葉駅でのスイッチバックを解消。
10月1日:両国駅 - 館山駅間に、キハ58系を使用して全車座席指定席の準急列車を新設。よって自由席のみの編成であった「内房」と名称の区別をする必要があったことから、「さざなみ」と名づけられる。キロ28形を「さざなみ」と「内房」1往復に連結。
「さざなみ」の愛称自体は以前からよく臨時列車の愛称として登場していましたが、この時定期列車に昇格した。また、両国駅 - 千葉駅間では、同じ内容で房総東線に新設された両国駅 - 館山駅間運転の「くろしお」と併結運転しました。
1964年:臨時快速は「さざなみ」から「かもめ」に改称。
1965年 房総夏ダイヤの臨時準急の名称を「汐風」に戻しました。1往復増発。
10月1日:「さざなみ」に自由席車両を連結し、「内房」に統合する。この時「内房」の読みも「うちぼう」へ改められました。
1970年:房総夏ダイヤでは臨時「うち房」のうち1往復を高尾駅発着で運転。臨時快速「さざなみ」を中野駅・両国駅・津田沼駅 - 館山駅・千倉駅間で運転。
1972年7月15日:総武本線東京駅乗り入れ(総武快速線開業)により、183系を導入し、特急「さざなみ」を運転開始(定期列車3往復・季節列車5往復)。
外房線の蘇我駅 - 安房鴨川駅間の電化により、存続した急行列車4往復による循環運転を再開。先に内房線を走行し外房線に入るもの(左回り)を「なぎさ」、先に外房線を走行し内房線に入るもの(右回り)を「みさき」と命名しました(館山駅 - 安房鴨川駅間は普通列車)。これによって「うち房」が廃止。なお、これに先立つ5月27日に外房線大網駅のスイッチバックが解消されていたため、電化前とは違い循環運転後は前後が入れ替わることになりました。また、定期急行は車両が東京駅 - 錦糸町駅間で採用しているATC-5型非対応のため新規開業した東京駅に乗り入れできず、新宿駅もしくは両国駅発着となりました。
この年の房総夏ダイヤでは臨時特急「さざなみ」(下り1本/上り2本)、113系による臨時急行「みさき」「なぎさ」・101系などによる快速「青い海」(前年までの「さざなみ」を改称。下り15本/上り12本)を運転しています。
←東京
TcTsM'MM'MM'MTc×11 所要10
わかしお(8.5)、さざなみ(8)
津田沼‥東京1030-1239千倉1457-1704東京1730-1944千倉‥館山
館山‥千倉820-1033東京‥新宿1220-1431館山1741-1953新宿‥津田沼
津田沼‥新宿715-942安房鴨川1545-1753東京1930-2128館山
館山713-909東京935-1124館山1311-1503東京1530-1723館山1811-2004東京‥津田沼
津田沼‥東京900-1103安房鴨川1222-1420東京1500-1703安房鴨川1823-2025東京‥津田沼
津田沼‥新宿735-1033千倉1627-1839東京1900-2108安房鴨川
安房鴨川719-924東京1000-1213安房鴨川1408-1615東京1700-1909安房鴨川2131…2212館山
館山719…808安房鴨川724-1055東京1203-1418安房鴨川/東京1340-1554安房鴨川1708-1919東京‥津田沼
津田沼‥東京808-1005館山1848-2057新宿‥津田沼
津田沼‥東京838-1049安房鴨川1851-2110新宿‥津田沼
1978.10の改正では絵入りマークが登場 1985/2/24 錦糸町
1975.3.10
←東京、松本
TcTsM'MM'MM'MTc×19 所要16
わかしお(9)、さざなみ(9)、しおさい(5)、あやめ(4)、あずさ(5)
津田沼‥東京730-928館山1010-1209東京1230-1438千倉1457-1709東京‥津田沼
津田沼‥東京1430-1637館山1657-1909東京1930-2128館山
館山710-909東京930-1132館山1210-1409東京1530-1732館山1810-2009東京‥津田沼
津田沼‥東京830-1037千倉1057-1309東京1330-1532館山1610-1809東京‥津田沼
津田沼‥東京700-916安房鴨川1024-1239東京1300-1516安房鴨川1624-1839東京1900-2116安房鴨川
安房鴨川724-939東京1000-1216安房鴨川1324-1539東京1630-1832館山1910-2109東京‥津田沼
津田沼‥東京800-1017安房鴨川1124-1339東京1400-1616安房鴨川1824-2039東京‥津田沼
津田沼‥東京900-1116安房鴨川1224-1439東京1600-1816安房鴨川
安房鴨川924-1139東京1200-1416安房鴨川1524-1739東京‥津田沼
津田沼‥東京715-914銚子1128-1324東京1345-1541銚子1628-1824東京1845-2041銚子
銚子758-954東京1045-1244銚子1328-1524東京1545-1744銚子1828-2024東京‥津田沼
津田沼‥東京645-835鹿島神宮1035-1224東京1245-1432鹿島神宮1535-1724東京‥津田沼
津田沼‥東京945-1137鹿島神宮1235-1424東京1645-1832鹿島神宮1935-2124東京‥津田沼
休
津田沼‥新宿800-1146松本-1251白馬1423-松本1540-1920新宿2000-2154甲府
甲府735-926新宿1000-1346松本1440-1820新宿1900-2246松本
松本800-1130新宿1300-1646松本1715-2052新宿‥津田沼
1982年11月15日:急行「内房」など房総地区の急行列車全廃。代替として、「さざなみ」に両国駅発着列車を設定。
←東京、松本
TcTsM'MM'MM'MTc×24 所要20
わかしお(12)、さざなみ(12)、しおさい(7)、あやめ(5)、あずさ(3)
休
津田沼‥東京645-835鹿島神宮1035-1224東京1245-1433鹿島神宮1534-1721両国1918-2104鹿島神宮‥北鹿島
北鹿島‥鹿島神宮800-954東京1945-2145銚子
銚子925-1124東京1145-1346銚子1422-1624東京1645-1833鹿島神宮1935-2124東京‥津田沼
津田沼‥東京945-1136鹿島神宮1235-1438新宿‥津田沼
津田沼‥東京700-919安房鴨川1020-1239東京1300-1519安房鴨川1620-1839東京1900-2116安房鴨川
安房鴨川720-939東京1000-1219安房鴨川1320-1539東京1600-1819安房鴨川
安房鴨川820-1039東京1100-1319安房鴨川1420-1639東京‥津田沼
津田沼‥東京1200-1419安房鴨川1520-1739東京1800-2019安房鴨川
安房鴨川920-1139東京1230-1433館山1605-1805両国‥津田沼
津田沼‥東京630-835館山903-1109東京1130-1341千倉1454-1709東京1730-1935館山
館山803-1009東京1030-1235館山1403-1609東京‥津田沼
津田沼‥東京715-912銚子1124-1323東京1345-1545銚子1624-1824東京1845-2043銚子
銚子825-1024東京1045-1245銚子1325-1524東京1545-1743銚子1825-2038新宿‥津田沼
津田沼‥東京830-1041千倉1154-1408東京1430-1634館山1804-2009東京‥津田沼
津田沼‥東京800-1019安房鴨川1120-1339東京1400-1619安房鴨川1721-1939東京‥津田沼
津田沼‥東京730-934館山1004-1208東京1330-1542千倉1655-1909東京1930-2132館山
館山705-909東京930-1131館山1303-1507東京1530-1733館山1907-2123新宿‥津田沼
津田沼‥東京900-1119安房鴨川1220-1439東京1500-1719安房鴨川1820-2100新宿‥津田沼
津田沼‥新宿700-1210南小谷1306-1825新宿1900-2243松本
松本947-1325新宿1400-1742松本1817-2145新宿‥津田沼
TcM'MM'MTc×2 所要1
すいごう(2)
銚子703-922両国1445-1700銚子1732-1951両国2017-2231銚子
M'M×1 Ts×2
1985年3月14日:「さざなみ」の新宿駅・両国駅発着定期列車を全廃。
1987年:房総夏ダイヤでは「あずさ」(千葉駅 - 松本駅間・1往復)を千倉駅まで延長。この延長運転は1992年夏ダイヤまで実施されました。
1991年3月16日:「成田エクスプレス」の運転開始により、東京駅 - 蘇我駅間を京葉線経由に変更。
1993年7月2日:千倉駅発着列車の一部を255系による「ビューさざなみ」とする。同時に「ホームタウンさざなみ」「おはようさざなみ」として、君津駅発着の列車が運転開始。
1996年:251系電車による臨時列車「デラックスビュー南房総」を新宿駅 - 千倉駅間で運転。
1998年:「さざなみ」の一部列車が、君津駅 - 館山駅間を普通列車として運転。なお、当初は上り、下りともに数本設定されていた。この年の夏をもって「房総夏ダイヤ」を終了。
2002年12月1日:エル特急の呼称を廃止。
2004年10月16日:E257系を「さざなみ」に導入、183系の定期列車としての運行を終了。また「ホームタウンさざなみ」「おはようさざなみ」を廃止し、E257系による列車を「さざなみ」、255系による列車を「ビューさざなみ」に統一。
2005年12月10日:列車名を「さざなみ」に統一し、「ビューさざなみ」を廃止。
1985/2/24 錦糸町
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