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2013年8月28日 (水)

西ベルリンの思い出 Tegel空港のB707-458 D-ABOC

テーゲル空港にはルフトハンザ旧塗装のB707-420が保存されています。

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テーゲル空港の入口、駐車場に駐機され、内部も見学可能だったルフトハンザ旧塗装のBoeing B-707-420 1989/2/18

この機体は"Berlin"という愛称を与えられ、登録記号はD-ABOCです。

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塗装はルフトハンザ、レジは西ドイツのD-ABOCでした。 1989/2/18

B707はルフトハンザ航空にとってジェット機時代の創生期に活躍した機体です。私が見たときには空港の東側の駐車場敷地内に駐機されておりましたが、今は別の場所にあるそうで、空港の南側隅(消防署の側)に隠されるように残されているそうです。

冷戦下の西ベルリンでなぜD-レジの、しかもルフトハンザ塗装のB707があったのか、長いこと疑問でしたが、先日謎が解けました。

この機体は本来はルフトハンザとは全く関係ない機体で1986年までイスラエルのEl Al航空で働いていた機体(B707-458) cn 18071/216 でした。58というカスタマーコードが示すように元々El Al用に製造されたものでした。

1961年6月にEl Al航空に引き渡され4X-ATBというレジで活躍していました。1973年にはテルアビブからニューヨークに向けて飛行中にハイジャックにあい、ロンドン・ヒースロー空港に緊急着陸した事件にも遭遇している機体です。

退役後、状態の良いB707-420を探していたボーイング社が引き取り、同年200機目のボーイング機がルフトハンザ航空に引き渡された記念に1960年代の同社の塗装を纏いプレゼントされたそうです。その当時、ルフトハンザ航空でD-ABOCの登録記号を付けて活躍していたB707(Berlin)はリビアのトリポリで1980年代初頭にスクラップになっていました。

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Noseの部分にはベルリンの愛称を示す熊のマークが

冷戦下では西ベルリンに向けてD-レジの航空機を飛ばすことは不可能でしたから、アメリカ国籍のN130KRというレジに再登録し、1986年11月にテーゲル空港まで回航されたそうです。ルフトハンザは西ベルリンで同機を受領し、空港正面の駐車場に駐機し、公開するようにしたそうです。1998年に同機は駐機場所の移動がきまり、2000年代初頭に現在の場所に移動したとのことです。

<B707-420について>

航続距離が伸びて国際線仕様機として受注をのばした-320型(Intercontinental)をベースに、イギリス製のターボファンエンジン、ロールス・ロイス・コンウェイ「Mk.508」型を搭載したのが-420です。コメット4に代わる長距離用機材として開発されていたものの、開発が遅延していたイギリス製のビッカース VC-10コメットの代替機を欲していた英国海外航空(現在のブリティッシュ・エアウェイズ)の依頼によって開発され、主に英国海外航空やブリティッシュ・カレドニアン航空などイギリスとイギリス連邦諸国の航空会社で使用されました。

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-420型特有のRR製のエンジン

D-ABOCというレジの機体、現在はコンドル航空(ルフトハンザのチャーター部門でしたが、Wikipediaによると2009年よりトーマス・クック・グループへ移った模様とのこと)のB757-330 (cn 29015/818) が登録されています。

(AIRLINERS.NEThttp://www.airliners.net/による)

ドイツ統一後、首都はベルリンになりましたが、首都の玄関口の空港としてテンペルホーフ空港(2008年10月末に閉鎖)、ベルリン大空輸のために49日間で造成したと言われるテーゲル空港、東ベルリンのメイン空港だったシェーネフェルト空港のどれもが施設の狭さ、拡張性の無さ等の問題を抱え、新空港の建設、開港が叫ばれてきましたが、今年10月に数度の延期を経てベルリン・ブランデンブルク空港が開港することになった様です。

果たしてこの機体の運命は?

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テーゲル空港も閉鎖されるそうですが、果たしてD-ABOCのレジを付け、ルフトハンザ旧塗装を纏ったB707-420はどうなるのでしょうか。

なお、B707-458 D-ABOCに関するエピソードは
http://www.flickr.com/photos/smokeonit/3259606681/ に英語とドイツ語で記載されています。さらに同サイトに2007年6月に撮影された同機の写真も掲載されています。

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