西ベルリンの思い出 パンナムのB727 N4746
西ベルリンのテーゲル空港で撮影した旅客機、今回はBoeing 727-235のN4746です。
僚機A310の後をタキシングするN4746 (cn19466/561) Boeing 727-235 1988/12/4 TXL
西ベルリンのテーゲル空港はヨーロッパにおけるパンナムのハブ空港としての機能が与えられており、当時のタイムテーブルをみると、バーゼル、ブレーメン、デュッセルドルフ、フランクフルト、ハンブルク、ハノーファー、インスブルック、キール、ケルン・ボン、コペンハーゲン、ミュンヒェン、ニュルンベルク、オスロ、ストックホルムに直行便を運航していました。そして、機材はB727-200をメインに、搭乗客の多いフランクフルト線はAirbusA300, A310、比較的少ないインスブルック、キール線などはATR-42-300が投入されていました。フランクフルト、ハンブルクなどではニューヨーク行きの大西洋横断便に接続していました。
Boeing 727は1956年2月に、それまで使われていたダグラスDC-4やコンベア440などの当時のプロペラ旅客機を代替し、ボーイング707より搭載力が小さい短・中距離用のジェット旅客機として開発が開始されました。
当初はボーイング707の短縮型(Boeing 720)や、先に就航していたフランス製のシュド・カラベル同様の2発エンジンも考慮されましたが、イースタン航空やユナイテッド航空、アメリカン航空などへのヒアリングを行った結果、エンジン故障時の安全性や、高地にある空港からの離着陸時の推力を高める点、更にカリブ海路線におけるETOPS対応などから、最終的にT字尾翼に機体後部3発エンジン搭載のレイアウトが採用され、1963年2月に-100型が初飛行しました。
路線への就航は、1964年2月に当時アメリカ有数の大手航空会社であったイースタン航空より始められました。優秀な性能と小回りの効く機体サイズにより世界各国の航空会社からの発注が相次ぎ、短・中距離線のジェット化に貢献することとなりました。
なお、ライバル機としては同じくT字尾翼に3発エンジンのイギリス製のホーカー・シドレー トライデントやソビエト連邦のツポレフ Tu-154などがあった他、より小型のシュド・カラベルやマクドネル・ダグラスDC-9、さらにターボプロップ機のロッキード L-188とも競合しました。また、ボーイング707の胴体を短縮し中距離用としたボーイング720の代替機ともなりました。
その後各社からの座席数増加の依頼に対応し、原型の-100シリーズに次いで胴体延長型の-200シリーズが生産された他、-200シリーズの機内装備をアップグレードし、「ワイドボディルック」と呼ばれた大型のオーバーヘッドストウェッジなどを装備した-200アドバンスモデルも生産されました。
1970年代後半には、更に各種機能をアップグレードし2人乗務化した-300シリーズも計画されたものの、後継機とされた双発で2人乗務機のボーイング757とボーイング767の受注を増やすために1984年に生産が中止されました。それまでに生産された機体は1,832機にのぼり、これは当時のジェット旅客機の最高記録でした。
その後双発で燃費効率がよい上に、2人乗務で運航コストが低いボーイング737NGやエアバスA320がデビューしたことや、騒音規制が厳格化したことから、1990年代後半以降にアメリカン航空やユナイテッド航空、デルタ航空などの大規模なカスタマーからの引退が相次ぎ、2000年代に入ると先進諸国の定期旅客路線からほぼ姿を消しました。
現在はアメリカや中南米、アフリカなどで少数がチャーター便や定期旅客路線に就航している他、エンジンを換装し騒音規制に対応させた上で、貨物機やプライベートジェットとして使用されています。
ネガがだいぶやられていますが、B707譲りのノーズの形がよく分かります。 中央の第二エンジンの空気取り入れ口の形が-200シリーズでは真円形、-100シリーズでは縦長の楕円形でした。 1988/12/4 TXL
構造的特徴としてはBoeing社唯一の3発ジェット(合併で傘下に入ったDC-10, MD-11は除いて)となったことと、離着陸性能向上のために、前縁一杯のスラットおよびトリプル・スロッテッド・フラップなど、それまでにない強力な高揚力装置を備えていることです。主翼の後退角は32度と深めで、3発エンジン・T字尾翼・強力な高揚力装置の組み合わせにより、上昇・下降などの運動性能は優秀でした。但し、プロペラ機よりもその下降率は大きなものとなり、登場後初期には、下降率の見積もりミスなどによるパイロットによる墜落事故が何件か発生しました。また、搭乗・降機時の利便性のために機体尾部に引き込み式のタラップ(エアステア)がついており、設備があまり整っていない中小の空港ではよく使用されています。私も降機の際に利用した経験があります。
-100型:初期生産型。-100型という呼び名は当初はなく、-200型の生産が開始された1967年以降に付きました。それ以前に生産された機体の型式名は727-81、727-21Cなどとなっています。
-100C型:貨客両用型。機体構造の強化および貨物ドアを追加。旅客型の内装も可能。
-100QC型:QCはQuick Changeを意味します。貨客急速転換型。客席パレットの設置により、貨物型と旅客型の転換を行うが所要時間は30分程度で済むものとなっています。
-100QF型:既存機のエンジン換装型。QFはQuiet Freighterを意味します。R&R テイ・エンジンに換装し、騒音を軽減させています。
-200型:-100型の胴体を主翼の前後で3mずつストレッチした型。中央エンジンのインテイクも改良された。1967年7月初飛行。
-200F型:貨物型
-200 アドバンス型:内装の改良および燃料タンクの増設。
このほか、低騒音・低燃料消費型の新エンジンに換装、双発機としウィングレット後付け等の改修を施された機体「スーパー27」が構想されたことがあります。ボーイング社の計画としては実現しませんでしたが、改造業者によって両舷エンジンをJT8D-217に換装しウィングレットを装着、フライトマネジメントシステムを装備した性能向上型が実際に運用されており、これをスーパー27と呼ぶことがあります。
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