西ベルリンの思い出 パンナムのB727 N4751
西ベルリンのテーゲル空港で撮影した旅客機のシリーズ、今回はPAN AMの Boeing727のN4751です。
N4751 cn19471/ln 590 Clipper "Competitor" 1989/6/25 TXL
今回もBoeing727のProduction Listを眺めながら727の発注の歴史を振り返って行こうと思います。
1.Boeing727-200型のローンチカスタマーとなったNortheast Airlines
後年デルタ航空に合併されて消滅したNortheast Airlines (-95)がcn19444から19449までの6機発注したことで、-200型の製造が開始されました。-200型のローンチカスタマーはNortheast Airlinesとなりました。
Northeast Airlinesはボストンをベースとした航空会社で1931年7月20日にBoston-Maine AirwaysとしてPAN AM系の航空会社としてボストン~バンゴールをポートランド経由で結ぶ路線を受け持つ会社として創設されました。1940年11月19日にNortheast Airlinesに改名しています。第二次世界大戦中は米国陸軍の大西洋を越える大陸間兵員輸送を担当しましたが戦後は米国航空憲法により、大西洋横断輸送はPAN AMとTWAの担当に成ったため撤退を余儀なくされました。
コンベア240やDC-3の時代はニューヨーク・ラガーディア空港より南、もしくは西への路線はありませんでしたが1956年にワシントン・ナショナル空港まで、さらに1957年に3機のDC-6Bをフリートに加え、ラガーディアからマイアミまでの路線を開設しました。同時期、ターボプロップ機のヴァイカウントを購入し数年は好調に推移しましたが1960年代初頭には財政危機に見舞われ返却することに、またジェット機は1959年にTWAからBoeing707を1機リース、さらに1960年に6機のコンベア880をリースしています。
1965年にはStorer Broadcastingに買収され、新しい機材とキャンペーンで復興を目指し、Boeing727の基本型(-95)を9機(cn19249~19252, 19595, 19596, 19836, 19837)導入しています。さらにDC-9やFH-227も短距離路線用に導入しています。こういった新導入機にはその塗装からYellowbirdsの愛称が与えられました。その後、大手のEastern AirlinesやNational Airlines との競争から再び財政危機に陥り、 1972年8月1日にDelta Air Linesと合併することになりました。Northeast はDeltaのボストン地区担当ということになり、さらにそれまでDeltaが所有していなかったBoeing727が新たにフリートに加わりました。
2.National Airlinesについて
Northeastに続いてBoeing727-200を25機(cn 19450~19474)発注したのが、National Airlinesです。この航空会社の歴史は1929年にシカゴの実業家ジョージ・T・ベイカーがナショナル・エアラインズ・タクシー・システムという小さなチャーター機会社を買収したところから始まります。2機のライアン・モノプレーンを購入し、禁酒法が施行されていたこの時代に、カナダまで酒を飲みに行く客の輸送を行っていました。
1934年になると、他のアメリカの航空会社同様郵便航空輸送にも参入して路線を拡大。National Airlinesとなってからは、1944年に大手航空会社EasternAirlines抑えてジャクソンビル - ニューヨーク間の路線を開設。さらにフロリダ州に本拠地を移して、キューバへも路線を広げました。
しかし、1950年代に入るとDelta航空やNorthwest航空といった大手との競争で苦境に陥りました。このためマイアミのホテルと提携したパックツアーを企画したり、ニューヨーク - マイアミ間の夜行便を運航するなど積極的な対策を取りました。さらに1970年にはDC-8を使って長距離国際線であるマイアミ - ロンドン線を開設、さらにはワイドボディ機であるBoeing747やDC-10を導入するなどの施策に出ました。
こうしてNational Airlinesはアメリカの中堅航空会社となりましたが、国内線・国際線とも大手航空会社に比べると市場での基盤は弱いままでした。
1978年から始まった航空業界の規制緩和を受けて、National Airlinesはフランクフルトやアムステルダムへも路線を開設。さらに買収によって規模を拡大しようと図りました。しかし買収は上手くいかず、逆にNorthwest航空やフランク・ロレンツォ率いるTexas AirなどがNational Airlines買収に向けて動き出しましたが、最終的には国際線大手のPAN AM(既にNational Airlinesの株式の25%を所有する大株主でした)に買収されました。国際線では世界中に路線を広げていたPAN AMでしたが国内線の路線網は殆ど無く、National Airlines買収で一気に国内線でも規模を広げようとしたのでした。こうして、1980年10月26日にNational AirlinesはPAN AMに吸収され、姿を消しました。
PAN AMはNational Airlinesを買収しましたが、National Airlinesの国内線はマイアミを中心に南北方向へ伸びる路線が多い一方で東西方向の路線が少なかったために、Pan AMの国際線との連携が得られませんでした。また、旧National Airlinesの社員の賃金をPAN AMの高い賃金に合わせてしまったために人件費コストが増加したことなどから、1970年代から悪化し始めていたPAN AMの経営はさらに悪化することになりました。結局、PAN AMにとってはNational Airlinesの買収は大失敗に終わり、National Airlines買収のわずか11年後の1991年には倒産に至りました。
今回はここまでにしますが、次回の記事ではNational Airlinesに導入されたBoeing727のその後の運命について触れようと思います。
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