西ベルリンの思い出 パンナムのB727 N4752
今回は1980年10月、PAM AMに買収されたNational Airlinesの保有していたBoeing727について触れようと思います。
Boeing 727-235 (19472/591) N4752 Clipper Surprise 1989/4/8 TXL
表1に基本型(-35 or -135)のリストを載せます。
これらのデータによると cn 18811~18817, 18845~18847, 19165~19167, 19833~19835の16機が4回に分けて発注されているものと想像できます。18811から19167までの13機はN4610からN4622までの通し番号でレジが与えられており、19833から19835の3機はN1957からN1959 までの前のグループとは全く関連のないレジが与えられています。
N4600番台の機体にはNational Airlines時代は女性の名前が付けられており、PAN AM時代にはClipperの愛称が与えられています。初飛行は1964年10月から、1966年9月頃までで、日本では東京オリンピックが開催され、日本の空でもBoeing 727が主力として飛び始めた時期ですね。少なくともN4600番台のレジが与えられた13機に関しては1980年10月のPAN AMによる買収まで一機も事故などで消失することなくPAN AMのフリートに加わっていることが分かります。
N1957からN1959のレジの与えられた3機に関しては、Airliners.netなどで調べるとPanAM時代の写真はなく、American航空の塗装をした機体の写真が登録されています。Clipperの愛称も不明のことからPAN AMのフリートには加わらずAmerican航空に買収されたのかも知れません。
続いて、表2に-200型(-235)として製造された機体のリストを載せます。
こちらはcn 19450~19474までの25機で、発注も一度に25機の大量発注であったことが想像されます。レジもN4730からN4754まで一気に登録されています。例によってNational Airlines時代にはそれぞれに女性の名前が与えられ、中には改名しているものもあります。初飛行は1967年11月頃から1968年7月にかけてでデリバリーはその一週間後くらいになっています。ラインナンバー(ln)と初飛行の日付の関係をみるとほぼ一日一機のペースで完成していたことが覗えます。
N4752 1989/4/8 TXL
ただこの25機の中には不幸な事故に遭遇した機体が2機あります。
最初はN4744のレジが与えられた機体で1978年5月8日、マイアミからフロリダのペンサコラに向かったナショナル航空193便においてペンサコラ空港RWY25にアプローチの際に高度を誤認してEscamba湾に墜落したものです。58名(乗客52名、乗員6名)の搭乗者のうち3名が死亡しました。1978年の事故であったので、PAN AMのフリートには加わっていません。
2機目はN4737のレジが与えられた機体で、1982年7月9日、パンアメリカン航空795便マイアミ発、ラスベガス行きで、経由地のニューオリンズに寄航して、RWY10から離陸する際にウインドシェアによるマイクロバーストに遭遇し、墜落しました。乗客138名、乗員7名全員と地上で8名、計153名の尊い人命が犠牲となりました。この事故はBoeing727として38機目の全損事故、当時3番目のワースト事故、現在でも5番目のワースト事故で、全米では当時2番目のワースト航空機事故、現在でも8番目のワースト航空機事故とのことです。
これらのBoeing727のうちで比較的機齢の若い、もしくは状態の良かったものはPAN AMの倒産後、貨物仕様にコンバートされ、各国で使用された模様です。
今回の記事で表1、表2を作成するにあたり、Boeing社のProduction listのデータ、PanAmAir.orgのデータ (特にClipper name)、そしてAirliners.netの投稿写真に付加されている書き込みデータを参考に致しました。
昔は書籍のページを繰っての検索に時間を要していましたが、今はコンピューターで検索、コピーペーストでデータを集められるので、極めて効率的になりました。
次回の記事で、PAN AM仕様で発注されたBoeing727もしくは他の航空会社から購入したBoeing727について触れる予定ですが、National Airlinesの機体に関してはNレジもそのまま使用しているのに対して、Braniff, Northwest, Ozarkなどから購入した機体は新たなNレジを登録しています。
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