西武鉄道 赤電の時代 551系 その1
西武鉄道の赤電時代を懐かしむシリーズ、今回は551系です。
まだサボを使っていた頃の551系 池袋線 保谷~ひばりヶ丘間 1973年頃
551系は451系の後継形式として、1961年9月から1962年4月にかけて、モハ551形(Mc)-サハ1551形(T)-サハ1551形(T)-モハ551形(Mc)からなる4両編成6本24両(モハ551形551 - 562・サハ1551形1551 - 1562)が新製されました。
次いで1962年9月から10月にかけてサハ1551形1563 - 1572(サハ1571は初代)が新製されましたが、以前501系の記事で記述しましたように同10両は501系(2代)の主電動機出力の余裕を活用し、都市部の高速鉄道としては異例の2M4T編成を組むに際して、同系列の増結用付随車(サハ)として新製されたものでした。後年同10両も本系列に統合され、さらに後年の改造によって571系として独立系列化されました。
こちらは行き先表示器方式になり、準急、急行が小さいプラスチック板の時代 練馬 1974年頃
<車体>
軽量構造の全金属製20m級車体であり、構体設計は451系を踏襲しているものの、前面形状は451系の切妻形状とは異なり、501系以来の湘南型デザインが採用されました。ただし、前面窓は極細の仕切りによって2分割された連続窓風の処理がなされ、埋込型となった標識灯とともに501系と比較して近代的な印象を与えるものとなりました。
側窓は451系と同様2連ユニット構造のアルミサッシが採用され、窓配置も先頭車がd1D2・2D2・2D2、中間車が2D2・2D2・2D2(d:乗務員扉, D:客用扉、戸袋窓の記載は省略)と451系と同一ですが、客用扉がアルミハニカム構造化され、扉窓固定支持も従来のHゴム固定から金属枠固定に変更された点が異なりました。連結面は貫通路が501系後期車以来の1,200mm幅の広幅貫通路となり、貫通扉は再び廃止されました。また、細部では側面戸閉表示灯が451系の横長形状のものから丸型に改められました。
ベンチレーターは従来車に採用されたガーランド型と比較してより換気効率の高いグローブ型に変更されました。1両あたりの個数は電動車(モハ)が6個・サハが8個です。
車内はロングシート仕様で、カラースキーム等は451系と同一ですが、車内換気装置として搭載されるファンデリアが1両あたり4基に倍増した点が異なります。
時流に応じた改良が加えられた車体周りと対照的に、主要機器は他系列同様に国鉄より払い下げを受けた、旧態依然とした制式機器で占められています。
主電動機はMT15系、制御器は電空カム軸式CS5と界磁接触器CS9の組み合わせ(直列5段・並列4段・弱め界磁1段)、制動装置は発電制動を持たないAM系電磁自動空気ブレーキ、台車はモハが鉄道省制式の釣り合い梁式TR14A・サハが同TR11Aと、昭和初期に新製された戦前型旧型国電と同一水準の機器を搭載するという、在籍する車両の機器統一を最重視した当時の西武の流儀は本形式においても貫かれていました。
目新しい点としては、西武初の装備として落成当初から電気連結器が採用された点が挙げられます。電気連結器の採用は連結・解放作業の迅速化に寄与することから、本系列以降に新製された西武の各系列における標準装備となりました。なお、本系列においては先頭部のみならず中間連結部分にも電気連結器が採用され、同時に先頭部ジャンパ栓が省略されたことから、電気連結器の装備がない従来車との併結は不可能となりました。
電動空気圧縮機 (CP)および電動発電機 (MG)といった補機類はサハに搭載されており、501系後期車より採用されたMTユニット方式を踏襲しています。
この編成は台車も空気バネ台車に履き替えられていない異端編成でした 東長崎
1964年1月に制御電動車(Mc)の形式記号がモハからクモハへ一斉変更されたことを受け、本系列の制御電動車もクモハ551 - 562と改称されました。
サハ1563 - 1572の新製および転用
前述のように、501系(2代)の2M4T編成化に際してサハ1551形1563 - 1572(サハ1571は初代)が新製されました。仕様はサハ1551 - 1562に概ね準じていますが、同10両は当初より501系(2代)との併結を前提に新製されたことから、貫通幌の仕様や補機類を搭載しない純然たる付随車であったことが異なっていました。その他、扉窓がHゴム固定の鋼製扉に戻ったほか、側面サッシが無塗装化され、車内送風機の扇風機化に伴ってベンチレーターは通常形状のグローブ型に統一され、側面戸閉表示灯が横長形状のものとされた点が主な相違点でした。
501系521 - 529編成に2両ずつ組み込まれて運用されたサハ1551形1563 - 1572ですが、2M4T編成の走行性能的な問題から1967年までに全車501系編成から外され、半数を電装・中間電動車化の上で551系551 - 559編成に順次組み込まれました。同改造に際しては、サハ1563 - 1571(奇)がクモハ551形と同一の機器で電装され中間電動車(M)モハ571形571 - 579(奇)へ、サハ1564 - 1572(偶)はサハ1551 - 1562同様に補機を追加した上でサハ1571形1571 - 1579(奇・サハ1571は2代)へそれぞれ改称・改番されました。
編成替えに際してモハ579のみ主電動機の入手遅れからサハ代用として運用せざるを得なかったため、1968年12月にモハ579-サハ1579を組み込む559編成のクモハ559・560の主電動機と台車をMT30およびTR22(DT11)に換装して対応しました。501系で消滅した2M4T編成が図らずも本系列で復活した形となりましたが、翌1969年9月にはモハ579もMT30主電動機とTR22台車を装備して正式に電動車となり、結果559編成は西武の吊り掛け駆動車のみで編成された6両編成時における最強力編成となりました。
夕刻の池袋線準急電車 保谷検車区横の跨線橋から
551系も私の当初のイメージでは池袋線で活躍する電車で、新宿線ではなかなかお目にかかれない電車でした。
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コメント
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クハ415-1901さん、こんにちは。
西武赤電シリーズの551系を拝見しました。
551系は前回の湘南顔501系のマイナーチェンジ車ととらえてよいでしょうか。
湘南顔を踏襲しているものの、
大きな前面ガラスのセンターにピラーが入った顔つき・・・
これだけでもずいぶん湘南顔とは様子が変わりますね。
これが2灯になってくると伊豆箱根駿豆線で昨年度まで活躍した1300系のような顔つきになるのですね。
西武電車のスタイルが先輩車両のDNAを踏襲しながら、
だんだんに変化するさま・・・おもしろいですね。
投稿: やぶお | 2013年10月28日 (月) 20時00分
やぶおさま、おはようございます。
まさに仰る通りで、
551系は国鉄クハ76,86の正面2枚窓を受け継いだ西武351、501系を引き継ぎ、この後 601,701、801さらに101系へと繋がって行く形の元祖みたいな車輌だと思います。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2013年10月29日 (火) 05時15分
B767-281さん、こんにちは!!(^^)夕刻の池袋線準急ですか。脇は…保谷検車区の留置線ですね。この準急は…8両編成ですかね??先頭の2両が気になるな〜〜。
投稿: マスダっち | 2013年11月 8日 (金) 12時58分
マスダっちさん、こんばんは。
>夕刻の池袋線準急ですか。脇は…保谷検車区の留置線ですね。この準急は…8両編成ですかね??先頭の2両が気になるな〜〜。
今でもあると思いますが、検車区横の跨線橋から撮影です。
先頭の2両、興味ありますね。
この写真が1975年頃だとすると、池袋線には351-1411の2連が6組、428-1467、429-1470さらに
471-1472、472-1471が活躍していたようです。
9月17日の記事の一番下に出てくる写真の様な編成かも知れません。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2013年11月 8日 (金) 18時25分