西ベルリンの思い出 パンナムエクスプレス ATR-42 N4201G
これまで西ベルリンのテーゲル空港で撮影したPAN AMの旅客機について触れて参りました。今回からは同じPAN AM塗装ではありますが、言うなれば支線的路線で活躍するPAN AM EXPRESSの機体について触れようと思います。
西ベルリンのテーゲル空港はPAN AM EXPRESSのヨーロッパのハブ的役割を担っており、ここから1988~1989年当時、インスブルック、ザルツブルグ、ストラスブールなどを結ぶ路線がありました。運航区間については次回以降の記事で触れることにして、今回は飛んでいた機材に触れようと思います。
N4201G "Clipper Commodore". cn 048 ATR-42-300 1989/5/7 TXL
機材はATR42で、N4201G, N4204G, N4205G, N4206Gの4機を撮影しました。
ATR42という機体はフランスのアエロスパシアルとイタリアのアエリタリア(現アレーニア・アエロナウティカ)が1980年代初めに40席クラスの輸送機計画をそれぞれ持っており、アエロスパシアルはAS35、アエリタリアはAIT230という名で研究を行っていましたがこの2機種はほとんど同じクラスの機体計画だったため、統合し共同作業を行うことで協議し、1980年7月に協定が成立し、共同開発に着手したものです。ATRはAerei da Trasporto Regionale or Avions de transport régionalの略です。
1984年8月16日に初飛行し、1985年12月3日に通算4号機がフランスのAir Littoral に引き渡され、同年12月9日に路線に初就航したターボプロップ双発旅客機であり、42は標準の42席(ピッチ81cm)を意味します。日本では絶対に付けない形式番号でしょうか(笑)。
胴体は円形断面で客室内最大幅2.57m全長13.85m最大高1.91m、主翼は高翼配置で低翼機に比べ客室からの眺めはよく、客室は旅客の昇降扉が機体後方左側にあり、機体後方右側には機体後部にまとめられているギャレー、洗面所などに物品を出し入れするサービスドアを装備します。また、貨物室は機体前方にあり、機体前方左側にその貨物室への1.27 m X 1.28 mの大型カーゴドアを装備しています。
降着装置は全てダブルタイヤ装備で油圧により格納されます、主脚は胴体に取り付けられた収納バルジに格納されますが、格納扉は装備されていない為、飛行中は主脚タイヤ側面はむき出しの状態です。
貨物機として専用コンテナなら9台、LD-3なら5台搭載可能。前述の機体前方左側にある大型カーゴドアを利用でき、改修の必要がないためフェデックスなどの貨物航空会社で多く運用されています。
ATR42は以下の主要な六種類のタイプが存在します。
ATR 42-200
ATR 42の試作機で数機だけ作成された機体。エンジンはPW120で出力が2,000 shp。
ATR 42-300
最大離陸重量を引き上げ1996年まで作成された基本生産型。(Wikipediaの記述では1996年からとなってますが、原文ではuntilとなっています。)
ATR 42-320
エンジンをPW121(出力2,100 shp)へ換装し、離陸重量の引き上げ及び高温高地性能強化を行った型。最大離陸重量は300型から変わっていませんがエンジン重量が増加している為、搭載量が減らされています。
ATR 42-400
200/300/320型のエンジンに六枚のプロペラを装着した型。
ATR 42-500
搭載量を増大し、離着陸性能と操縦性を向上させ、エンジンはPW127E(出力2,400 shp)を搭載した型。アビオニクス機器を更新してICAOの設定するCATⅡのILS進入能力を使用できます。
ATR 42-600
2007年6月に発表され、2010年から導入されるシリーズ。エンジンをPW127Mへ換装し、500型よりアビオニクス機器を更新しCATⅢのILS進入能力を付与され、液晶画面への交換によるグラスコックピット化が予定されています。
客用ドアと貨物用ドアの関係がよく分かります。 1989/6/26 TXL
N4201Gは1987年6月にPAN AM EXPRESSにデリバリーされた機体で、1991年12月に倒産後、Trans World Expressに売却され、後年Italairに売却されEI-COCのレジで飛んでいました。1998年1月20日、サルジニア島Alghero空港に着陸する際にハードランディングを起こして修復不能となり廃棄されています。
話は全くかわりますが、日本の航空会社のなかで、唯一Airbus機を導入したことの無かったJAL(JASとの統合でA300の運航はしていましたが)がついにAirbusA350を確定31機(オプション25機)発注したというニュースがありました。かつては世界最大のBoeing 747オペレーターといわれたJALがA350を導入することになった裏にはBoeing787の製造の遅れに始まって、今年初めからの一連のトラブルでこれまでのアメリカ一辺倒からの脱皮があるのでしょうか。
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