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2013年12月12日 (木)

公園保存機関車 EB10 府中市郷土の森公園

今回は蒸気機関車ではありませんが、公園保存車両の一環として、以前D51296号機をご紹介した東京都府中市郷土の森公園に保存されているEB10についてご紹介致します。

Eb10_130813
D51296号機とともにこの場所にEB10が保存されていることは知らなかったため、見たときには驚きました。EB10自身の存在はかつて朝日新聞社刊の年鑑「世界の鉄道’69」で見て知ってはいたのですが。 2013/8/13

69
世界の鉄道 ’69 の表紙 同書は私にとって鉄道趣味のバイブル的参考書で1969年版は蒸気9600と電気機関車の特集でした。

国鉄の電気機関車で動軸が2本の機関車はこの形式が唯一の形式であり、さらに元々は蓄電池機関車(AB10形)を改造したものです。

AB10形は1927年に2両製造された蓄電池機関車で、東北本線の貨物支線(通称、須賀線)として開業した王子 - 須賀間2.5km、および王子 - 下十条(現在の北王子)間1.2kmで使用するために製造されました。須賀線は全線が東京市王子区(現在の東京都北区)にあり、須賀駅で大日本人造肥料(後の日産化学工業)などの側線と接続していましたが、途中には陸軍の火薬製造工場があり、その側線も接続していました。蓄電池機関車を導入した理由としては、架線と集電装置の間に生じたスパークによる引火の危険性を考慮したことや、線路が王子電気軌道(のちの東京都電)と平面交差していたためといわれますが、結局、須賀線は1931年には電化され、AB10形も電気機関車に改造されました。

製造当時は10形(10・11)と称しましたが、翌1928年に実施された車両称号規程の改正により形式がAB10形となり、10→AB101、11→AB102に改番されています。製造は機械部分を汽車製造、電気部分を芝浦製作所が担当しました。蓄電池は湯浅製作所製造のものを使用しました。また充電のため田端機関区構内に安川電機製の電動発電機を設置していました。

Eb10_130813_11
EB10 1号機の逆側のエンドです。ナンバープレートがありません。

構造

中央に運転室、前後のボンネットに機械室を置いた構成で、形状は国鉄の電気機関車としては珍しい凸形です。 前後の機械室部分には蓄電池をそれぞれ72個、計144個置き、一方に空気圧縮機、他方に制御器を置きました。足回りは板ばねの2軸台車で、貨車の台車を強化した様なものです。台車の前後左右に計4個、砂箱が配置されています。

制御器のノッチは1 - 5ノッチが電動機直列・電池並列、6 - 8ノッチが電動機並列・電池並列、9 - 12ノッチが電動機並列・電池直列の順で、電力を有効に用いるため段数を多くとっています。

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運転台に入ることも可能です。中央運転台のためスペースはかなり広く感じました。ハンドルのとれたマスターコントローラーには芝浦製作所東京と表示されていました。

改造

AB10形は1931年、須賀線の電化にともない、芝浦製作所で架線から集電する電気機関車に改造され、形式がEB10形に改められました。

蓄電池の代わりに抵抗器などの機器を搭載して機械室部上面に通風口を新設し、運転室屋根上にはパンタグラフを設置しました。これにより前照灯は庇の下に移設している。制御方式は主電動機2個永久直列接続、抵抗制御のみとなりました。

運用

新製時から廃車まで東京機関区、田端機関区に配置され、在籍時は終始、須賀線を往復していました。1両を運用し、もう1両は王子駅に隣接した機関庫で待機していました。1971年に須賀線が廃止になると用途がなくなり、1972年に廃車になりました。

Eb10_130813_3
案内板

終戦直後1946年1月、極端な車両不足に見舞われた東京急行電鉄井ノ頭線(現在の京王井の頭線)に貸し出されました。プッシュプルで付随車を引く計画でしたが、試運転は行われたものの車両限界に抵触したため井ノ頭線での使用は断念され、さらに厚木線(現相鉄本線)で試運転が行われましたがやはり使用には至らず6月に国鉄へ返還されました。

Wikipediaの記事を参考に致しました。

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コメント

こんにちは。モモパパです。
EB10.
存在すら知りませんでした。
電気機関車の元祖的存在と言ってもいいのでは。
なんだか名古屋鉄道のデキ600形にも似てる感じがします。

モモのパパさま、こんばんは。

今回もコメントをありがとうございます。

わたしもEB10が展示されているのを見たとき、本当にびっくりしました。
まさか解体されずに残っていたとは知らず、また「世界の鉄道」も随分長いこと見ていなかったものでこれがあのEB10かと思いました。
改めて歴史を見てみると世界の鉄道が出た頃、廃止されており、その後保存の報道も耳にしていなかったので、いずれにせよ会えて良かったと思います。

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