九州に渡った485系 鹿児島運転所 その1
前回までの特急「雷鳥」シリーズに続いて、晩年の485系車輌の変遷を辿るシリーズ、今回からは九州内特急を運転所毎に見てゆこうと思います。
クハ481-502 1986/2/19 小倉 (再掲)
九州に渡った485系の中でも最もインパクトのあったのは181系から改造されて485系に加わったクハ481-500番台ではないでしょうか。
まずは鹿児島運転所(1997.11.29より鹿児島総合車輌所、2011.4.1より鹿児島車両センター)<鹿カコ>です。
同所に485系が配属されたのは、1975年3月の新幹線博多開業によるダイヤ改正でした。今からおよそ39年前のことになりますが、この改正前までは大ムコ所属だった485系11両編成37本が、東は「はくたか」で上野、南は「なは」「つばめ」「日向」などで西鹿児島・宮崎まで連日のように走り回っていましたが、改正により山陽路の昼行特急は廃止となり、余剰となった車両のうち
MM' 481 1~26
MM' 485 21~33, 44~46
Tc 481 1~18, 31~40
Ts 481 1~18, 26~35
Td 481 1~9, 23~26, 30 の154両が転属しました。
内容的には481系として、昭和39年度第1次民有と同第4次債務予算で製造された車輌すべて(太字)と485系初期車が含まれていました。この転属にあたっては転属に伴う回送を減らすために、改正時に鹿児島や南福岡に到着する編成を転属車両で構成するように事前に周到な計画が練られたそうです。
ボンネットスタイルでも後期型のクハ481の特急「にちりん」 1985/4/20 大分
改正後は
←西鹿児島
TcM'MTsTsTdM'MM'MTc の編成14本に組成され、有明(7)(臨時+1)、にちりん(4)(所要11本)での活躍を開始しました。
2012年12月13日の記事で記述しているように、当時の特急「有明」は485系による7往復、同改正で門ミフから大ムコに転属した583系による3往復で運行されました。この頃のクハ481のスタイルはオリジナル車にあった髭の省略が印象的でした。
1980年5月には早くもサロ481-1,2,3が廃車となっています。製造から約16年の廃車は早く感じますが、特急用特別車両の宿命でしょうか。さらに1980年9月にはモハ485/484-27,33 サロ481-12が門ミフに転出しています。
1980年10月1日の改正で、編成から食堂車が外され、
TcM'MTsM'MM'MTc×13 といった編成となり、
所要10本で特急「にちりん」の運用はなくなり、特急「有明」を16往復担当するようになりました。特急「有明」の増発はそれまで急行として運行されていた「ぎんなん」「かいもん」の全列車、「えびの」「火の山」の熊本以北の格上げによるものでした。
編成から外された食堂車サシ481は1980年12月から1981年8月末にかけて1~9が廃車となりました。モハ481/480の電動車ユニットも9, 12, 15, 16, 22, 23, 25が1982年4月から6月にかけて廃車され、サロ481-15, 18も1982年7月に廃車されています。一方、これらを補うように盛アオ、仙センから17電動車ユニットが転属しています。またクハ481-7, 12, 14, 17が門ミフに転出しています。
1982年11月15日のダイヤ改正では
TcM'MTsM'MM'MTc×11 と編成形態は変わらずとも本数が減少し、所要8本での運用となり、有明(7)(臨時+1.5)、にちりん(1) にちりんの運用が復活しました。
1984年2月1日のダイヤ改正までの間にモハ481/480の電動車ユニットが13, 14, 21を残して廃車され、サロ481も13, 14が廃車されました。一方で門ミフから6電動車ユニットが転入しています。
現役時代のクハ481-603 1985/4/19 博多 窓のサイズ、個数が特徴
さらに仙センに残っていたクロ481-3, 4, 5が格下げ改造を受けてクハ481-601~603として転入し、希代の珍車と言われるクハ181-109改造の-501 クハ180-5改造の-502(いずれも新潟で改造)が転入しています。
再掲ですが、中央線特急「あずさ」で活躍していた頃のクハ181-109 1975/3 三鷹 クハ181でスカートのタイフォンにシャッターが付いていたのは109のみ
クハ481-502 1985/4/19 小倉
違う系列からの改造のため、車体の高さのずれが生じるという鉄道模型でもありえない改造をしてしまうほど当時の国鉄の財政事情は厳しかったのですね。後年、交直切り替えSWのない状態で下関まで行く運用に入り、小倉で運転打ち切りといったポカもありました。
長崎・佐世保電化による特急「かもめ」「みどり」の復活に合わせて仙センから門ミフに1975年5月から6月にかけて転属したクロ481-1, 2は格下げ改造されることなく廃車になっています。
1984年2月改正時点での鹿カコの485系の配置
モハ485 1-13,1-14,1-21, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32,
33, 44, 45, 46, 78, 79, 93, 94, 95, 96, 97, 98, 100, 101, 102,
104, 105, 109, 111, 113, 116, 118, 120, 134, 145
モハ484 0-13,0-14,0-21, 21, 22, 23, 24, 25, 26, 27, 28, 29, 30, 31, 32,
33, 44, 45, 46, 78, 79, 93, 94, 95, 96, 201, 202, 204, 205, 206,
208, 209, 213, 215, 217, 220, 222, 224, 601, 602
<モハ484-600番台>
200番台に車掌室と業務用室を設けたための番台区分で定員は200番台より8名少ない64名となっています。特急列車の専務車掌室は編成中央部にあるグリーン車のものを使用することが多いですが、東北特急では仙センの編成が上野方先頭車にクロ481形を組み込み、盛アオ編成もサロ481形は2号車に連結していたため編成中央部付近に専務車掌室を持つ普通車が必要となり本番台区分が製造されました。この構造は後の1000・1500番台に承継されました。2013/10/19のくろしおの記事でも出てきていますが、1972年製造の601、602は1982年10月27日に盛アオから鹿カコに転属していました。
またモハ484の第二パンタもこの頃から撤去され始めました。
クハ481 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, 12, 13, 15, 16, 18, 20, 33, 34, 35
36, 37, 38, 39, 40, 501, 502, 601, 602, 603
由来は様々ですが、すべてボンネットタイプで固められていました。
クハ481-602は1988年12月4日にクロ481-4に復元されました。クハ481-603は引退後、九州鉄道記念館に静態保存されています。
クハ481-37 ビデオカーに改造された先頭車 1985/4/19 小倉
ビデオカーのステッカーと次位のモハ484は第二パンタ撤去済み 1985/4/19 小倉
またクハ481-33・35・37・39の4両は1980年より、サービス向上の一環として運転台仕切にスクリーンの設置・床面を雛壇式とし、出入口付近に「ビデオ特急」のステッカーを貼付てビデオ上映を実施しました。
サロ481 16, 17, 29, 30, 31, 32, 33, 34, 35, 40, 43, 134, 135
サシ481 23, 24, 25, 26, 30
言うなれば、この鹿児島での9年間は485系の長兄である、クハを除いた481系一族の第二の人生であり、最後の時期でありました。
「にちりん」のヘッドマークを付けて静態保存されるクハ481-603 2004/10/17 九州鉄道記念館
車両配置、編成などのデータは「485系の動き 配置および編成・運用の移り変わり 鹿児島」のサイトのデータを参考に致しました。
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コメント
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こんにちは。モモパパです。
おお~。
「にちりん」。
懐かしいな~。
そういえば昔、ヘッドマークが文字だけから図柄入りのヘッドマークに一斉に変わりましたね。
投稿: モモのパパ | 2014年2月19日 (水) 09時03分
モモのパパさま、おはようございます。
そうでしたね。
クハ481の場合、200や300番台は早く変わりましたが、ボンネットタイプは少し時間がかかりましたね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2014年2月20日 (木) 05時26分