公園保存蒸気 9667 高萩勤労青少年ホーム
全国の公園等に静態保存されている蒸気機関車を見て歩くシリーズ、今回は常磐線高萩駅から歩いて10分ほどの高萩勤労青少年ホームに保存されている9667号機です。
高萩勤労青少年ホームの玄関横に保存されている9667号機 2013/12/23
デフレクターなしの4桁ナンバーです。ホームそばを通っている国道6号線の歩道橋からの望遠撮影です。
大正機の風格を湛えていますが、前照灯はシールドビームです。
9600形式は以前にも記述しましたが、狭軌鉄道向け機関車としては従来不可能と信じられてきた巨大なボイラーを、台枠の上に火室を載せてしまうことにより可能にした機関車でした。そのために出力は上がりましたが、ボイラー中心高さは当時の狭軌用蒸気機関車最高の2,591mmとなり、重心位置が非常に高く、小輪径の動輪もあって常用最高速度は65km/hと高速走行は苦手でした。この写真からもその重心の高さが容易に推察できます。
キャブ下のランボードと繋がるカーブは1/4円を描いていますが、9600~9617までの18両はSカーブを描いています。1915年(大正4年)川崎造船製のプレートも残っています。
9600形式の給水温め器は住山式で、D51などに見られる煙突のそばの丸い筒状のものではなくテンダー前部に温め槽と言われる水槽を仕切り、連絡水管で取水する方式です。
後部の様子 ライトは装備されていますがシールドビームライトです。ナンバープレートも付いています。
この機関車の履歴です(沖田祐作氏の機関車表より)
9667 川崎重工兵庫工場=204 1915-09-03 S59.80t1DT(1067)
車歴;1915-09-03 製造→ 納入;国鉄;9667→1915-09-15 使用開始[中管達1006];中部局→
1915-11-00 浜松→1923-06-00 敦賀→1927-05-00 糸魚川→1937-03-30 富山→
1943-10-01 高山→1946-09-23 仙鉄局青森区→1950-08-01 青函局青森区→
1952-08-05 盛岡局青森区→1971-10-26 廃車;青森→
保存;茨城県高萩市「勤労青少年ホ- ム」(運動公園=RP330);9667
製造後、浜松に配属となりますが、8年後敦賀を嚆矢として、糸魚川、富山と北陸で働き、高山から青森へと転属し、最後は青函連絡船での入れ換えに活躍しています。
トータルで56年1ヶ月働き、走行距離は地球64.9周に相当するそうです。
なお、青函連絡船入れ換えで活躍した9600形の中には右側運転台の機関車がいたことを以前、TADAさまのサイトの掲示板の発言で見た憶えがありましたが、それは函館側の入れ換え機だったようです。
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コメント
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僕が楽しみにしてる保存蒸気シリーズだ!
今回は9600型ですか。
67号機ということは結構初期のグループに属しますね。
屋根無しのせいかちょっとヤレが見受けられますがまだまだキレイな方でしょうか。
僕が思うに9600型は大正蒸気とはいえ傑作蒸気機関車だと思うんですが・・・。
最後の最後まで活躍してましたし。
投稿: モモのパパ | 2014年2月10日 (月) 09時02分
モモのパパさま、こんばんは。
9600形、最後まで残りましたね。
やはり、その丈夫さが重宝されたのでしょうか。
Wikipediaに日本全国の保存機リストがありますが、保存両数も多いようですね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2014年2月10日 (月) 18時40分