1989年のDüsseldorf Airport その2 オブザベーションデッキのJu52
Düsseldorf空港で撮影した旅客機の話題に入りたく思いますが、前回のベルリンテーゲル空港同様にまずはターミナルビル屋上のオブザベーションデッキに展示してあったユンカース社が開発した軍用機であり、旅客機でもあったJu52について触れようと思います。
D-CIAKというレジを付けて Düsseldorf 空港のオブザベーションデッキに展示されていたJU52 1989/5/4
Ju52の原型機は単発(Ju52/1m:524馬力)タイプで1930年に初飛行し、1932年にエンジンを3発(830馬力x3)にしたJu52/3mが開発されました。機体構造は鋼管骨格にジュラルミンの波形外板を貼ったものでしたが、飛行速度が上がるにつれて空気抵抗がふえるという欠点を持っていました。離着陸距離が短いため、小さな飛行場でも運用が可能といった長所もありましたが、一方でエンジンが非力であったため、飛行速度が遅い(最大で295km/h)ことや防御火力が弱いといった弱点も抱えておりました。
また鋼管骨格とジュラルミン波形外皮の構造は1930年代後半以降、モノコック(応力外皮)構造の新型航空機が出現すると早くも旧式化してしまいました。
旅客機としては1930年代、Lufthansaの主力機として多用され、ヨーロッパ域内線(例えばベルリン~ローマやベルリン~ロンドンを8時間)で活躍し、フィンランドやスペインなどにも輸出され、P&Wやブリストル・ペガサスエンジンに換装された機体もありました。
軍用機としては1936年のスペイン内戦で使用され、さらにドイツ空軍の主力輸送機として4800機あまりが製造されました。
戦後もフランスやスペインでCASA 352/3Mとして1952年までライセンス生産が続けられ、1960年代までヨーロッパの定期航空路で活躍しました。現在でも耐空証明を取得した機体が数機残っており、遊覧飛行などで活躍しています。Lufthansaも2010年から定期の遊覧飛行を復活させており、その模様はこちらのblog記事に書かれております。
さてこの1989年5月にDüsseldorf 空港のオブザベーションデッキに展示されていた機体ですが、実はこの機体も現在 HB-HOYというレジで耐空証明を取得し、空を飛んでいます。
この機体はCASA 352A-3として1949年に製造され、27年間飛行した後、1976年5月にDüsseldorf空港で展示されることになりました。当時はD-CIAKというレジを付けていました。
しかし、1990年、東西ドイツの統一を機に空に復帰することになり、HB-HOYのレジを新たに与えられ、以来今日までJU-AIRの一員としてドイツのMönchengladbach空港もしくはスイスの Dübendorf Air Baseをベースに飛行を続けています(詳細はこちらの記事に)。
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コメント
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こんにちは。モモパパです。
ずいぶん古めかしい航空機ですけど長寿だったんですね。
知りませんでしたよ。
投稿: モモのパパ | 2014年5月 9日 (金) 06時38分
モモのパパさま、おはようございます。
Ju52はユーおばさん Tante Juとして長く親しまれている機体ですね。さすがに機数は減ってきたみたいですが、未だ現役で飛んでいる機体が複数あることは素晴らしいことですね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2014年5月10日 (土) 04時57分