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2014年8月18日 (月)

あの悲劇から1ヶ月 MH0017

わずか4ヶ月の間に同じ航空会社の、しかもこれまで殆ど全損事故を起こしていなかったBoeing 777が連続して墜落するという極めてショッキングな事故から一ヶ月が過ぎました。

マレーシア航空17便は乗客283名、乗員15名が搭乗し、アムステルダムからクアラルンプールに向かっており、当初ウクライナ上空は高度35000フィートで通過するフライトプランを提出していましたが、ウクライナ空域に進入後、ウクライナ航空交通管制(ATC)より高度33000フィートの飛行を指示されました。同便はウクライナを横断後、ロシア領内に入る50kmほど手前のドネツィク州グラボベ(Hrabove)村近郊でモスクワ時間17時15分頃、消息を絶ちました。墜落現場はロシア国境から40kmのトレーズ(Torez)市付近でした。

9mmrd_boeing_7772h6er_cn_28411_ln_8 9M-MRD Boeing 777-2H6ER cn 28411 ln 84 2001/9/3 DMK

2001年9月にタイに出張した際にバンコク・ドムアン国際空港で撮影していた事故機9M-MRD

機体はBoeing 777-2H6ER cn 28411 ln 84 (9M-MRD)で1997年7月17日に初飛行し、7月29日にマレーシア航空に新造機として納入されています。エンジンはRolls-Royce Trent 892で座席配置はビジネスクラス35席、エコノミークラス247席です。事故までに43,000時間、6950サイクルの飛行を記録しています。

乗客乗員全員の死亡が確認されており、298名の搭乗者のうち、約2/3の193名はオランダ国籍、43名がマレーシア、27名がオーストラリア、12名がインドネシア、10名がイギリス、他となっています。この中にはメルボルンで開催予定の第20回国際AIDS学会の参加者が含まれており、当初の100名と報道されていましたが、後で6名と修正されました。

今年3月初旬頃、いわゆるクリミア危機の勃発以降から大韓航空、アシアナ航空、英国航空などはウクライナ東部の上空を避けて飛行するようにしており、国際民間航空機関(ICAO)は4月に各国政府に危険を通達しており、アメリカ連邦航空局も同様の通達を出していました。それでもアエロフロート、ルフトハンザ、シンガポール航空他の航空会社はマレーシア航空の事故が起きるまではウクライナ東部を飛行していました。

クリミア危機勃発以来、これまでにも何機かのウクライナ空軍機が撃墜されています。イギリスで行われている回収されたフライトレコーダーのデータ解析からミサイルのようなものが炸裂し、機体に穴が開き、爆発的な減圧が起きたことまでは分かったようですが、交信記録と照らしあわせても、操縦士らが墜落直前まで異変に気付いた様子はなかったようです。仮に炸裂したミサイルがBuk地対空ミサイルであると分かったとしてもそれを誰が発射したのかは事故機側の調査からは分からないと思います。

この事故が果たしてロシアからウクライナに運び込まれ、親ロシア派によって発射されたによるものなのか、まさに国際紛争まっただ中の現場で起きた事件のため、欧米を中心とする西側諸国の見解とロシア側の見解が大きく対立しており、さらに将来、1983年9月に起きた大韓航空機撃墜事件のように当事者が真相を告白することがあるのか現時点では全く分からない展開となりつつあります。

2014/9/10 追記: Dutch Safety Board は2014/9/9 この事故の予備調査報告書を公開しました。34ページからなるPDF版はこちらからダウンロード出来ます。

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コメント

B767−281様 お早うございます。さてマレーシア航空機撃墜事件ですが、わたしは軍事面には疎く、よくわからないのですが、ミサイルを発射する前にレーダーなので民間機と軍用機の区別はできないものなのでしょうか。(軍用機だから撃墜してもいい、とは思いませんが)まあ技術の進歩が早い今日この頃ですから、そうなると民間機を装う軍用機が出て来たりしそうですが。そういえば30数年前に旧ソ連領に600キロも侵入した大韓航空機がミグ23に撃墜された事件がありましたね。いずれも国際関係の緊張度が高いためですが、日頃から外交努力が必要だと思います。単純ではないのはよくわかりますが、この世界なんとか平和であってほしいです。

こんにちは~。モモパパです~。
同じ航空会社で2軒もの墜落事故が立て続けに起こったこと。
どちらも不審な点ばかりですね。
二度と同じ悲劇が起きないことを祈るばかりです。

細井忠邦さま、モモのパパさま、おはようございます。纏めてレスで申し訳ありませんが。

昨日、東京新聞の夕刊の社会時評に東大教授の吉見俊哉氏が書かれたコラムが掲載されていましたが、今回の事件、戦闘地域上空1万メートルといえ現代の地対空ミサイルでは民間航空機の飛行にとって安全でない空域となっていること、一方で親ロシア派がSNSで投稿した内容が米国防情報局のネット情報収集で公のものになってしまう時代であることをいみじくも示した事件でしたね。航空機を利用する側、あるいは運航する側から見れば、やはり燃料節約よりは迂回をしてでもまずは危険を避ける方策が極めて重要かと思いますね。

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