郡山車両基地まつり 2014 その1 C63 1 1/5モデルによるライブスチーム
速報版でお伝えした2014年9月6日(土曜日)の「郡山車両基地まつり 2014」の様子をこれから数回に渡って、報告したく思います。
今回の「郡山車両基地まつり」のパンフレット
郡山駅や会場入り口で配布されていたパンフレットです。裏面はスタンプラリーの台紙でした。
車両基地正門 バスや徒歩で会場に入場する際の入り口です。正確にはJR東日本の「郡山総合車両センター」、JR貨物の「郡山車両所」と表札には記されています。
鉄道イベントで毎度のようにみられる巨大な浮き輪のような半円状のゲートは今回は見られませんでした。入ってすぐのテントが本部でした。 2014/9/6
<C63 1 1/5 モデルによるミニSL>
第一回は郡山工場特製のC63設計図に基づいたミニSL実演についてです。
C63形蒸気機関車は国鉄最後の制式蒸気機関車として計画され、1956年設計図までは完成したものの、製造は行われなかったいわゆる幻の機関車として有名な蒸気機関車です。
1955年当時、戦後の復興による財政難で電化は遅々として進まず、気動車やディーゼル機関車の技術は未成熟であり、動力近代化を着実に進めてゆける状況ではなく、一方で既存の機関車の老朽化は進み、輸送需要の増加に伴って機関車不足が深刻となり、手戻りを承知で蒸気機関車の新製もやむを得ないとの判断が下されました。
当時、老朽化が深刻な状況にあったC51形を置き換える目的で地方ローカル線における客貨両用目的での使用を前提とし、C58形をベースに設計がなされました。
設計は
1)ボイラーを全溶接構造として圧力を16kg/cm2から18kg/cm2に昇圧する。
2)1軸従台車の台車枠をばね上装荷として乗り心地向上を図る。
3)下方の一部を切り取ったデフレクターを採用する。ドイツのヴィッテ式と同様の煙室から支持部材を水平につきだして固定する方式をとる。
4)テンダ台車へのコイルバネやオイルダンパを新規に採用する。
5)軸受けはローラーベアリングとする。ただし、一部は戦後製のC59形・C61形・C62形と同様、動輪軸・先輪軸をプレーンベアリング、従輪軸と炭水車車輪軸をローラーベアリングとし、比較検討する。
といった点が従来にないものであり、軸配置は1C1(プレーリー)となりました。
1956年、設計図が完成し、試作車の製造命令が下されるのを待つ状態にまで至ったのですが、同時に無煙化の進捗状態と機関車の需給の再検討が行われ、現段階では蒸気機関車の製造が絶対に必要とは言えないとの結論に達し、当分の間製造を見送り、情勢を見守るということになりました。その後、交流電化およびディーゼル機関車・気動車の技術が確立し、急速に電化・ディーゼル化が進むこととなりました。
さらに、1959年には「動力近代化計画」として1960年度より、15年で蒸気機関車を全廃する計画が立てられ、実行に移されたため、C63形の製造決定が下されることはなくなりました。
郡山工場(郡山総合車両センター)では若手職員への蒸気機関車関連技術継承の目的で、設計図を元に1/5スケールのライブスチームが製造されました。
今回、郡山駅職員に尋ねたところ、この模型は数年前までは駅に展示されていましたが、今は基地に移され、イベント時などに運転されるとのことで、今回はそれを見るのが参加の一つの目的でした。
梅小路蒸機機関車館 展示室にあるC63形の模型 2014/8/10
梅小路蒸気機関車館扇形庫の奥に展示されている蒸気機関車のナンバープレート 実在した機関車のプレートとともに幻のC631のプレートも展示されています。 2014/8/10
なお、京都の梅小路蒸機機関車館にもC63形の模型やナンバープレートが展示されており、1974年9月に訪問した際に見た憶えがあり、この夏の再訪問でも再会しました。
イベントで活躍中のC631号機
デフレクターの取り付け方式は設計図とは違っているのかもしれません?
ふだんのイベントで走っているライブスチームではこれほど熱心写真は写したことはありませんが、郡山の場合はC631号機だけに細部まで気になって写真を撮ってしまいました。従台車やテンダーの台車はやはり、従来になかった台車のようです。
土地柄、SLばんえつ物語号を模した客車2両を牽引して、約100mの直線線路を往復していました。
発車の際の黒煙の上かり方はかなりリアルです。
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