公園保存蒸機 D51 125 船橋市郷土資料館
今年最初の保存蒸機は2014年5月10日、新京成線に何年ぶりかで乗車して、鎌ケ谷、船橋、津田沼と回ったときのもので、習志野駅の南東の方向、歩いて約10分、成田街道(国道296号)沿いにある船橋市郷土資料館に展示されているD51125号機です。
習志野駅の駅名標 2014/5/10
新京成の線路の大半は旧日本陸軍鉄道連隊が戦前に演習用に敷設したもので、戦後京成電鉄に払い下げられ、1946年10月、新京成電鉄の設立で現在に至っています。軍隊の路線敷設演習のために急曲線が多く存在し、今もその名残を留めているのはそういった歴史的経緯によるものです。驚くべきことに津田沼~松戸間の直線距離は16kmですが、線路の道程は26kmになるそうです。
軌間も複雑な歴史を辿っており、演習線軌間は600mmで、1947年12月27日、新津田沼~薬園台が最初に開業したときは1067mmとなりました。1953年10月、全線が1372mmに改軌され、さらに1959年8月に現在の1435mmになっています。ちなみにこの1435mmへの改軌は親会社の京成電鉄よりも早く、親会社の改軌の予行演習ではなかったともいわれているようです。
いまでもこの習志野には自衛隊の駐屯地、演習場、北には下総航空基地などもありますが、かつて江戸時代は幕府の馬の放牧場、その後は陸軍の演習場となっていました。その碑と説明文も郷土資料館にありました。
郷土資料館は薬園台公園の一角にありますが、薬園台という名前は江戸時代に小石川養生所の薬草園がこの地につくられたことに由来しているそうです。薬草園ではおもに朝鮮人参などの漢方薬の原料となる植物が栽培されていたようです。
D51 125号機 2014/5/10 船橋市郷土資料館
D51 125号機 35年間の現役生活の後、当地に保存されて41年が経過していますが、大切に保存されているせいか外板などの痛みも少なく、動態復活も可能ではないかと思われる状態と感じました。
形態的には主連棒のビッグエンドは長方形
逆転機のモーションプレートは大穴タイプ、
砂管のパターンは写真のようなタイプでした。
テンダーのライトはシールドビームタイプでした。
なお、このD51125号機の展示にはこういった解説のパンフレットが付属していました。全国的に見ても、こういったものが準備されている展示もここだけかも知れません。
最後に沖田祐作氏の機関車表からの履歴データを載せますと
D51125 日立製作所笠戸工場=994 1938-07-22 S77.60t1D1T(1067)
車歴;1938-07-22 製造→ 納入;国鉄;D51125→ 配属;東京局→1938-07-22 使用開始→
1938-07-31 配置[東鉄達617];新鶴見→1944-08-18 静岡→1949-09-16 中津川→
1950-01-24 借入;稲沢→1950-02-28 返却→1955-04-23 借入;名古屋→
1955-08-01 返却→1968-07-13 集煙装置取付(長野工場)→1973-06-16 長門→
1974-03-01 廃車;長門→ 保存;千葉県船橋市「郷土資料館」;D51125
新鶴見から始まって、静岡、中央西線、最後は山陰本線で廃車となっています。中央西線時代に長工式集煙装置を装着したようですが、長門に移ってから外されたようですね。
私も、1972年の夏に東萩駅で山陰本線で働くD51を数両撮影しましたが、あのときにもしも運用があっていれば撮影していたかも知れない機関車でした。
帰りは鎌倉街道に沿って薬園台駅まで歩き、津田沼に向かいました。
新京成 薬園台駅 駅舎 2014/5/10
追記:このD51125号機が中央西線で旅客列車832レを牽引している録音がYoutubeにアップされています。Rail Archives:中央西線D51旅客列車832レ、831レ走行音 1969年11月16日録音.
最後まで読んで戴きありがとうございます。
上のリンクをクリックされると面白い鉄道記事満載のブログ村。もしくは鉄道コムに飛ぶことができます。
« 水郡線営業所公開 その2 CRUISING TRAIN | トップページ | 広島・四国西南部旅行 広島編 その1 アストラムライン »
「駅」カテゴリの記事
- 青梅線開通130周年、青梅駅駅舎築100年(2024.11.28)
- 西武4000系 4017F 西武秩父線開業55周年記念ラッピングを撮影(2024.11.25)
- 2023年晩夏の関西旅行 JR貨物編 その3 彦根駅を通過する東海道線貨物列車(2024.11.14)
- 2023年晩夏の関西旅行 JR貨物編 その2 おおさか東線の貨物列車(2024.11.13)
- 2023年晩夏の関西旅行 JR貨物編 その1 安治川口駅(2024.11.12)
「蒸機D51」カテゴリの記事
- 2018年晩夏 長野県内の保存蒸機を見て歩く旅 105 御代田駅そばの御代田交通記念館に保存されているD51 787号機(2021.04.08)
- 2018年晩夏 長野県内の保存蒸機を見て歩く旅 95 坂城町武道館裏のD51 245号機 (2021.03.12)
- 2018年晩夏 長野県内の保存蒸機を見て歩く旅 44 臥竜公園内須坂市動物園に保存のD51401号機(2020.11.25)
- 2018年晩夏 長野県内の保存蒸機を見て歩く旅 28 長野県立大学後町キャンパス内に保存されるD51 549号機(2020.10.28)
- 2018年晩夏 長野県内の保存蒸機を見て歩く旅 25 長野市役所篠ノ井支所前に保存されるD51 921号機(2020.10.23)
コメント
« 水郡線営業所公開 その2 CRUISING TRAIN | トップページ | 広島・四国西南部旅行 広島編 その1 アストラムライン »
こんにちは~。モモパパです。
新京成の路線の由来は本で読んで知りました。
元は演習用だったんですね。
このD51 125号機。
すごく保存状態がいいですね。
ここまで保存状態がいいのはなかなか無いのでは。
投稿: モモのパパ | 2015年1月 8日 (木) 05時17分
モモのパパさま、おはようございます。
わたしも本来は東京北西部の出身なので、新京成には大学を卒業する頃まで縁が無かったのですが、地図で路線を見たり、実際に乗ってみてあの線形には驚かされました。
D51125号機は本当に大事にされており、今回は示しませんでしたが、機関車の履歴などが書かれたパンフレットもありました。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2015年1月 8日 (木) 07時50分