東海道新幹線開業から50年 その14 700系 試作C0編成の登場
昨年10月の東海道新幹線開業50年で、東海道・山陽新幹線で活躍した車両を0系から振り返って参りましたが、今回からは700系です。
リニア・鉄道館に展示されているC1編成の1号車 723-9001 2014/8/12
新幹線車両としては第4世代にあたり、500系程の高速性は追求しないで製造・保守コストのバランスを考慮しつつ、既存の0系、100系の置き換え用として、汎用性を重視してJR東海とJR西日本の共同開発により、製造された車両です。
1997年秋に先行試作車16両編成1本が落成し、各種試験がなされ1998年から量産車が製造されました。日本車輌製造、日立製作所、川崎重工業、近畿車輛に発注され、16両編成75本(JR東海 C編成、JR西日本 B編成3000番台)、8両編成16本(JR西日本 E編成7000番台)の1328両が製造されました。
車体はアルミ合金、防音材入りのダブルスキン構造、先頭形状はトンネル微気圧波対策のためエアロストリームという形状を取り入れ、カモノハシのようなスタイルとなりました。
500系同様、4両1ユニット方式ですが、すべて電動車ではなく(M-M1-M2-T)方式として、電動車の両数を3両としています。M車に主変圧器、M1車に主変換装置1台、M2車に主変換装置2台、T車に補機類を搭載しています。主変換装置はIGBT素子によるPWMコンバータ(*) 1基とVVVFインバータ1基で構成されています。
*PWMコンバータ:PWMはPulse Width Modulation の略で日本語ではパルス幅変調で、1サイクルの電圧波形を分割して、多数のパルス列として、その数、間隔、幅を時間的に変化させる制御方式です。
IGBT素子はそれまで使用されていたGTO素子よりもスイッチング周波数が高速なため、電動機の磁励音が低減され、大容量の素子を使用することで小型軽量化も達成されました。
主変圧器は4,160kVAの容量のものが使用され、軽量化の観点からアルミコイルのものが使用されました。補助電源装置は主変圧器の3次巻線から電源を取り、DC100V,36kW, AC100V5kVAの容量のIGBT素子を使用した静止形インバータを装備しました。CPはスクロール式を採用しました。主電動機は定格出力275kWのかご形三相電動機を電動車1両に4基搭載しました。ブレーキは電動車には電力回生ブレーキ、付随車には渦電流式ディスクブレーキを採用しました。緊急制動時の滑走対策としてセラミック噴射装置を両端運転台車の最前、最後側の車軸に採用しました。
台車はJR東海とJR西日本で異なり、C編成は300系の台車をベースとしたコイルバネと円筒積層ゴムを併用したウイングバネ式軸箱支持装置のボルスタレス台車のTDT204(電動車)、TTR7002(付随車)を履き、B,E編成は500系用の台車をベースにした軸梁式軸箱支持装置のボルスタレス台車WDT205A(電動車)、WTR7002(付随車)を装備しました。
300系が導入されてから、乗り心地に関する苦情がかなり寄せられたため、700系ではセミアクティブサスペンション、空気バネの特性の改善、車体間ダンパなどにおいて乗り心地の改善が行われました。空調装置の効きの悪さに関しても基本能力を向上させ、ダブルスキン効果による断熱性の向上、吹き出し口を天井近くから荷物棚下に移すなどで大幅な改善がなされています。
ノーズ部分が若干短いことと、連結器カバー付近に取っ手があることがC1編成の特徴です。
先行試作車C0編成は1997年秋に完成し、10月27日から約1年半に渡り、走行試験が行われました。番号は9000番台が与えられ、パンタグラフは5号車、725-9301、12号車、725-9601に設置され、当初は300X(955形)で試されていたワイングラス型のパンタカバーを装備していました。しかし騒音源となることが判明し、シンプルな形態に改められました。ちなみに9301は東京寄り、9601では博多寄りにパンタが取付けられ、方向も逆向きとなりました。500系では省略された運転台直後の乗降口も復活しました。
量産化改造を受け、C1編成として1999年秋から営業運転に充当され、2013年1月16日に廃車となりました。
最後まで読んで戴きありがとうございます。
上のリンクをクリックされると面白い鉄道記事満載のブログ村。もしくは鉄道コムに飛ぶことができます。
« パリの6つのターミナル駅巡り リヨン駅 3 TGV Sud-Est | トップページ | 九州鉄道記念館訪問 その2 59634号機 »
「新幹線電車」カテゴリの記事
- 2021年春、再び信州へ しなの鉄道と小海線の旅 4 北陸新幹線 高崎~軽井沢(2021.04.30)
- 2021年春、再び信州へ しなの鉄道と小海線の旅 1 概要編(2021.04.22)
- 2017年10月の福岡旅行 7 新幹線博多総合車両所公開 その8(2018.02.18)
- 2017年10月の福岡旅行 7 新幹線博多総合車両所公開 その7(2018.02.17)
- 2017年10月の福岡旅行 7 新幹線博多総合車両所公開 その6 ドクターイエロー2(2018.02.16)
コメント
« パリの6つのターミナル駅巡り リヨン駅 3 TGV Sud-Est | トップページ | 九州鉄道記念館訪問 その2 59634号機 »
B767ー281様お早うございます。700が出た時には久しぶりに新幹線の乗り心地に感心しました。最初に乗ったのは小学四年生の夏休み、もちろん初代「新幹線」で速さがわからないほど揺れないのにただただ感心しました。その次の100系の二階は大好きでした。そして300は本当に騒音が酷くがっかり。この700で新幹線復権
と勝手に思っております。朝から失礼いたしました。
投稿: 細井忠邦 | 2015年4月17日 (金) 07時18分
B767さん、おこんばんは(^◇^;)お邪魔致しやすよm(_ _)mこの700系ですか…何かカモノハシみたいですね‼︎
投稿: マスダっち1971 | 2015年4月17日 (金) 18時46分
こんにちは~。モモパパです。
700系を初めて見たとき「なんか速そうなデザインだな~。」と思いました。
と同時に新幹線のデザインもココまで来たかと思ったのを覚えてます。
投稿: モモのパパ | 2015年4月18日 (土) 05時14分
細井忠邦さま、マスダっち1971さま、モモのパパさま、おはようございます。
わたしも700系という車両の登場、あるいはデザインが今日の新幹線の源流を造ったのではないかと思っています。300系で新技術、500系でスピードを極めようと思ったものの、やはりまだいろいろと問題が出て来て、700系であるいみ極限は目指さないもののある程度、理想の線が見えたのではないでしょうか。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2015年4月18日 (土) 06時44分