九州鉄道記念館訪問 その8 ED72 1号機
2004年10月17日の九州鉄道記念館訪問の記録、最後はED72 1号機、試作機です。
ED72 1号機 2004/10/17 九州鉄道記念館
2個の前照灯を長円のケースで囲むスタイルは本格的交直両用機のプロトタイプとなったED46 1 (後にED92 1)のスタイルを彷彿させます。
ED72形電気機関車については拙Blogにおいて、2012年11月13日の記事でも触れました。国鉄が1961年の鹿児島本線門司港~久留米間の交流電化に向けて開発・投入した機関車であり、東北本線向けに開発・投入されたED71の試作2号機で東芝が提案した乾式変圧器・風冷式イグナイトロン水銀整流器方式を採用した交流機であり、旅客用としてSG搭載のED72,貨物用としてED73が開発されました。ED72は重量増加に対応するため、国鉄電機としては初の中間台車採用機ともなりました。
制御方式は高圧タップ切換方式・水銀整流器格子位相制御・弱め界磁制御方式で、動台車は固定軸距2,800mm「逆ハ」リンクによる軸重移動補償としたDT119A形、中間台車はスポーク動輪のTR100形です。
通称「鳩胸」と言われたこのスタイはED72量産車、ED73へも受け継がれました。他の形式にはない独特のスタイルとなりました。
ED73 1008 寝台特急「あさかぜ」を牽引 1979/12/18 小倉
試作車は1,2の2両が製造され、駆動方式はクイル式駆動を採用、主電動機はMT103形として2,050kWの出力となりました。クイル方式はヨーロッパ(スイス、ドイツ、フランス、イタリア)の電機などで多く採用され,我が国の初期の新性能機 ED60, ED61,EF60 一次形1~14 EF61、ED71 1~44 でも採用されましたが,狭軌鉄道における問題点が解消されず,運用面での不具合が多発したため,量産車からは吊り掛け式となりました。主電動機もMT52へ変更され,定格出力は1900kWとなりました。
前照灯も試作機と量産機では形態が大きく異なっています。側面のエアフィルターも量産機からは採光窓を配して横一列に並べるようになりました。量産機は22号機まで製造された時点で打ち切られ以降の増備はED76形となりました。
現役時代のED72 1号機 1974/10/2 門司機関区
試作機は1976年に廃車され、量産機は1978年廃車が始まり,1980年には北陸本線からEF70が転入し,運用離脱機が増え、1982年までに全車が廃車されました。
1号機は廃車後北九州市門司区の老松公園で静態保存されていましたが2003年の開館時に移転となりました。
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