東海道新幹線開業から50年 その21 N700系 part4 7000番台 8000番台
昨年10月の東海道新幹線開業から50年で東海道・山陽新幹線を走るいろいろな形式を時代順に見てきましたが、最後は九州新幹線直通用にJR西日本とJR九州が開発、投入したN700系7000番台、8000番台について触れてみようと思います。
新山口駅に到着するN700系7000番台 S7編成 2015/8/2
九州新幹線鹿児島ルートは東日本大震災発生の翌日、2011年3月12日に博多~新八代間が開業し、全線開業となりました。九州新幹線のこのルートには博多~新鳥栖間、新八代以南に最大35‰の急勾配が存在することで従来の山陽新幹線用の車両は乗り入れられないこと、新大阪以東の鳥飼車両基地回送のため、東海道、山陽、九州全てのATCと列車無線に対応していることが車両性能面での課題となりました。これらを解決するために両社が共同でN700系をベースに開発した車両がN700系7000番台(S編成)と8000番台(R編成)です。
新山口駅に到着するN700系8000番台 R10編成 2015/8/2
8両編成、全電動車構成で、車内設備も指定席車両は「ひかりレールスター」のサルーンシート2&2を継承し、女性専用トイレの設置など、従来の同系0,3000番台とは大きく異なり、デザインは「和のおもてなしの心」をテーマにJR西日本は木村一男氏、JR九州は水戸岡鋭治氏が監修しました。
愛称は直通列車を「さくら」とし、さらに速達タイプを「みずほ」とすることに決定しました。2008年10月にJR西日本の量産先行車S1編成が博多総合車両所に搬入され、8日から博多~新山口間で公式試運転が実施されました。2010年6月15日には姫路駅でS2編成が報道陣に公開されました。一方、JR九州所属のR編成は2010年7月にR1編成が熊本総合車両基地に搬入され、9月から試験走行が開始されました。最終的にJR西日本が19編成、JR九州が10編成を製造する計画でしたが、2012年6月にはR11編成が投入されました。
新山口駅を通過する N700系8000番台 R11編成 2015/8/2
車体はアルミニウム合金製ダブルスキン構造で騒音低減のため、車体天井中央部の特高圧引通線カバーを屋根中央部と一体構造とし、線自体は型材内を貫通する構造としました。4-5号車間にケーブルヘッドが装備され、傾斜角が5度にセットされましたが、全周幌との干渉をさけるため幌の天井部分は撤去されました。
塗装は青磁を連想させる白藍色を使用し、紺藍色と金色の側面ラインが1本入っています。
電源・制御機器関連
主変換装置は、ブロアでの冷却による強制風冷沸騰冷却方式を採用し、車体側面から制御機器を引き出して点検可能な構造とした WPC204 を搭載しました。主電動機は中間車両用にWMT207、先頭車両連結面用に高周波ノイズ低減対策を施したWMT208、先頭車両運転台寄りにはATCノイズ対策としてシールドカバーとジッパーチューブを取り付けたWMT209を搭載しました。
台車
WDT208台車で、軸箱支持方式は軸梁式とし、軸ばねは軸箱の上部と台車枠の間を直結する形で取り付け、端部には軸ダンパが装備されています。駆動方式は全車WNドライブとし、東海道区間へは乗り入れないため車体傾斜装置は未搭載としました。火山灰が多い九州区間での防塵性能も強化されました。
走行性能
35‰勾配の上りでのユニットカット起動時に引張り力を増加させる機能を追加し、勾配起動を可能としました。最高速度はZ・N編成と同じく300km/hで、九州新幹線内は現状260km/hとなっています。
保安装置
自動列車制御装置 (ATC) は東海道・九州区間における1段デジタルATC、山陽区間における多段アナログATCのそれぞれに対応しています。
新山口駅を発車するN700系 S19編成 2015/8/2
編成
グリーン車(6号車の半室で定員24名)・普通車指定席(4 - 8号車で計282名)・自由席(1 - 3号車で計240名)からなり、車内はいずれも木目調のデザインが用いられて落ち着きのある内装となっています。喫煙ルームの設置や6号車の半室グリーン車化による定員の減少を最小限に抑えるべく、室内機器配置の最適化が行われました。
各車両、形式、装備に関しては次の記事で。
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コメント
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B767ー281様おはようございます。地震大きかったですね。さてN700九州新幹線バージョン、オールMなのですか!恥ずかしながら初めて知りました。新幹線もかつては、つまらないと思い、突っ込んで調べることかがありませんでしたが、勉強させていただいております。ありがとうございます。
投稿: 細井忠邦 | 2015年9月12日 (土) 06時28分
こんにちは~。モモパパです。
JR九州N700系。
こちら名古屋まで走ってくるのでしょうか。
恥ずかしながらまったく知らなかったです。
JR九州新幹線開通のTVCM。
東日本大震災の影響でものすごく短い期間しか放送されませんでしたね。
今じゃ貴重な映像になってるのではないでしょうか。
投稿: モモのパパ | 2015年9月12日 (土) 08時38分
細井忠邦さま、こんにちは。
わたしもblogの記事で新幹線のことを扱うようになってから、随分新幹線のことがよく分かったように思います。それまでは新幹線は何か別世界で、敢えて入場券払ってまでホームに上がって撮影なんて考えなかったのですが、先日の新山口でも折角だから撮っておこうという気分になりました。
やはり、物事、興味を持つと面白さが分かってくるという感じですね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2015年9月12日 (土) 15時39分
モモのパパさま、こんにちは。
このタイプの車両はさすがに名古屋には来ておらず、新大阪以西の運行のようです。山陽新幹線も、500系、700系レールスター、そしてN700系と東海道区間ではお目にかかれない車輌が走っており、結構興味深いです。
運悪く、開業前日にあのような大震災が起こってしまい、九州新幹線の全線開業はかき消されてしまった感がありますね。CMも関東では殆ど放映されなかったのではと思います。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2015年9月12日 (土) 15時45分