東海道新幹線開業から50年 その22 0系試作車1000形試験車
昨年10月の東海道新幹線開業50年から、ほぼ1年がかりで、東海道、山陽新幹線の歴史を車両系列ごとに見てきました。あと数回、試験車・事業用車両について触れ、さらに全国の鉄道博物館に保存されている新幹線車両について触れてみようと思います。
まずは0系試作編成から
2014年10月11日の記事でも触れていますが、0系の先行製造車6両(C編成)を製造するための実験台として、2両編成のA編成 1001+1002 4両編成のB編成 1003+1004+1005+1006 が製造されました。すれ違い試験の実施も考慮して、2編成準備されたそうですが、日本の鉄道車両会社、汽車製造、日本車輌製造、日立製作所、川崎車輛、近畿車輛がそれぞれ1両ずつの製造に関わり、台車も各車両で異なりました。
リニア・鉄道館に展示されている試作A編成の模型 2014/8/12
B編成の塗装はその後の0系の塗装とよく似た塗装でしたが、A編成は上の写真のように側窓の上下にブルーのラインを配した特徴的な塗装で登場しました。
機構、構造的には低圧タップ方式で力行を制御し、連続定格出力170kWのMT911もしくはMT912形でモーターを駆動し、ブレーキ系は発電ブレーキと電磁直通空気ブレーキを併用しました。50km/hを境に以上では発電ブレーキ、以下では空気ブレーキという方式でした。
車体は鋼鉄製でドアはプラグドア、ボンネットはアクリル製カバーで蛍光灯が設置された光前頭を覆っていました。前照灯は1灯式シールドビームで、0系に較べると小さく、小学校の頃この姿が「新幹線の姿」と想像していた私は、0系量産車の姿を見て少し驚いたのを思い出します。ボンネットの側面中央には表示用の小窓もありました。1006を除く先頭車の運転台窓は曲面であり、静電アンテナも逆L字のタイプでした。連結面も内外二重幌が車両を繋いでいました。スカートも0系に較べると長く、頑丈さにおいては簡素なものでした。
定員 台車
1001 56名 両板ばね式軸箱支持のDT9002形,DT9008形
1002 80名 シュリーレンタイプ円筒案内(SIG)式軸箱支持(SIG式)のDT9003形
1003 70名 平行リンク式軸箱支持のDT9006形
1004 70名 両板ばね式軸箱支持2種類(ミンデン式とIS式)と平行リンク式軸箱支持1種類(住友リンク式)が装着可能なDT9004形
1005 80名 軸ばり式軸箱支持のDT9005形
1006 80名 円筒案内式軸箱支持のDT9001形
鴨宮に設けられたモデル線区で試験が実施され、1962年10月31日にはB編成がクモヤ93000が持っていた175km/hの狭軌鉄道世界最高記録を抜き、最終的に1963年3月30日に256km/hを達成しました。
1962年8月、A編成は観測ドームなどが設置され架線試験車に改造されました。さらに1964年8月10日、941形救援車に再改造されました。B編成は1964年7月22日922形電気試験車に改造されました。
これらの編成は1975年8月15日、0系の1.2次車が大量に廃車・解体となったときも浜松工場に新設された車体解体設備の試運転材料として、廃車解体されました。1000形の2編成は生まれたときから最期まで0系の先達として活躍したのですね。
最後まで読んで戴きありがとうございます。
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コメント
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B767-281様今晩は。まさに『夢の超特急』ですね。クモハなどの記号がないのも異次元の電車、という感じでした。保存されて然るべき車でしたが、鉄くずになってしまったのは残念です。続編楽しみにしています(^_^)
投稿: 細井忠邦 | 2015年9月30日 (水) 21時20分
細井忠邦さま、おはようございます。
そうなんですね。我々の世代にとってみれば、新幹線が登場する前のワクワクする時代でしたね。いろいろな絵本などの表紙も飾った車輛でした。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2015年10月 1日 (木) 05時45分