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2015年10月31日 (土)

京急ファミリー鉄道フェスタ2015 part7 3代目600形

2015年5月24日、久里浜の京急ファインテックスで開催された京急ファミリー鉄道フェスタ、今回は3代目600形について触れようと思います。

6031_151017 603F 2015/10/17 金沢八景

登場は1994年4月1500形に次いで、1000形置き換え用の都営地下鉄浅草線乗り入れ車両として製造されました。地下鉄対応車両としては珍しいオールクロスシート車両として開発され、1996年にかけて8両編成8本、4両編成6本の計88両が製造されました。

クロスシートは混雑時の収容力と閑散時の快適性の両立を狙った可動式座席を採用して製造され、京急としては「個の尊重」を打ち出し、利用者の快適性を優先する姿勢を表したかったようです。

6051_150524_2 605F 2015/5/24 京急ファインテック

初期製造車は1500形VVVFインバータ制御車と台車以外同一の機器を採用し、1996年製造車からは編成構成の自由度を高めるために機器構成が大幅に変更され、可動式座席も廃止されました。2005年から車端部を除く座席をロングシート化する工事が行われ、現在は都営地下鉄浅草線経由各線への乗り入れ運用を含む大師線を除く京急各線で運用されています。

6058_151017 605F 2015/10/17 仲木戸

外観

アルミ製車体で、赤い車体に窓回りを白く塗装しています。この形式から前面形状は車掌台側に移動したスイング式のプラグドア、上部に移った前照灯、下部に埋め込まれた尾灯・標識灯、ワイパーカバーの採用、アーマープレート、アンチクライマーの廃止など新しいスタイルとなり、後に登場した2100形・新1000形に引き継がれました。窓寸法を1500形に対して上方に20 mm拡大、車体高さを同じく40 mm拡大しました。

6068_151017 606F KEIKYU BLUE SKY TRAIN  2015/10/24 南太田

ロングシート化改造工事終了の2005年3月14日からこの塗装で活躍しています。

内装

1 - 3次車では運転台と直近のドアの間に運転台側を向いた2人掛け固定座席、ドア間に4人掛けボックス席片側2組、車端部に4人掛ボックスシートが設けられました。4次車ではドア間の座席はボックス席と2人掛け固定座席を1つずつ組み合わせた配置となり、座席数が減少しました。ともにドア付近には運転台からの操作で一斉施錠可能な補助席が設置されています。 内装は寒色系で、天井と壁面は白と薄灰色、床はグレー系、座席は薄青色となっています。

1 - 3次車では両端ドアの車体中央寄に混雑時の収容力確保のため運転台からの操作で2人掛けと1人掛けが転換する可動式座席「ツイングルシート」が採用されました。「ツイングル」とは「ツイン」と「シングル」、さらには「星のきらめき」を意味する「ツインクル」をかけた造語であり、これに関連して、本形式の登場当初は「ツイングル600」の愛称が与えられていました。

補助席と合わせ、1両あたり最大32人の座席定員を変えることができましたが、機構が複雑でコストが高く、収納時の座席数が少ない上、座面のクッションが薄く硬かったため、乗客からの評判は芳しくなかったようです。また可動式座席を可動させる機会が殆どないと判断されたため、4次車では通常の固定座席が採用されました。

6511_100613 4連 651F 2010/6/13 八丁畷

機器関係

主電動機
1 - 3次車:KHM-1700(東洋電機製造製TDK6160A1または三菱電機製MB-5043A
  出力120 kW、端子電圧1,100 V、電流84 A、周波数50 Hz、定格回転数1,455 rpm)
4次車:KHM-600(東洋製TDK6161Aまたは三菱製MB-5070A
  出力180 kW、端子電圧1,100 V、電流121 A、周波数60 Hz、定格回転数1,755 rpm)

駆動装置・歯車比
  KHG-800(東洋製TD282-C-M、たわみ板式継手)、歯車比83:14 (5.93)

主制御器
1 - 3次車:東洋製ATR-H8120-RG-627Bまたは三菱製MAP-128-15V31、GTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御。1C8M方式。
4次車:東洋製ATR-H4180-RG-656Aまたは三菱製MAP-184-15V61、逆導通GTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御。1C4M方式。  

6544_100613 654F 4連二組による8連 2010/6/13 八丁畷

台車
TH-600M・T(空気バネ車体直結式、軸梁支持、軸ダンパ付)

集電装置
1 - 3次車:菱形パンタグラフ(東洋製PT-4323S-A-M、M1cとM1に各1基、M1'に2基搭載。)
4次車:シングルアーム式パンタグラフ(東洋製PT-7117-A、Tpに2基搭載。)

補助電源装置
1 - 3次車:東洋ブースター式SIV (SVH-85-461A-M) または三菱チョッパインバータ式SIV (NC-FAT-75A)、75 kVA。偶数号車山側に搭載。
4次車:IGBT-SIV(東洋SVH-170-4009AまたはSVH-85W-4008A、または三菱NC-WAT-150A・B)、150 kVA。Tpの山側に搭載。

空気圧縮機
1 - 3次車:C-1500AL レシプロ式 M2系車、Tu車の海側に搭載。
4次車:C-2000AL レシプロ式 先頭車及びMs車の山側に搭載。

空調装置(製造時)
屋上集中式(東芝製RPU-11009および三菱製CU-71F)。スクロール圧縮機を採用。

1次車 8両編成 1994年3月

M1c     M2     Tu       Ts      M1'      M2'     M1     M2c
601-1 601-2  601-3  601-4  601-5  601-6  601-7  601-8   東急車輌製造 緑字

602-1 602-2  602-3  602-4  602-5  602-6  602-7  602-8       川崎重工 青字

2次車 8両編成 1995年3月

M1c     M2     Tu       Ts      M1'      M2'     M1     M2c
603-1 603-2  603-3  603-4  603-5  603-6  603-7  603-8   

604-1 604-2  604-3  604-4  604-5  604-6  604-7  604-8     

605-1 605-2  605-3  605-4  605-5  605-6  605-7  605-8      

3次車 8両編成 1995年6月

M1c     M2     Tu       Ts      M1'      M2'     M1     M2c
606-1 606-2  606-3  606-4  606-5  606-6  606-7  606-8   

607-1 607-2  607-3  607-4  607-5  607-6  607-7  607-8

4次車 8両編成 1996年2月
 
Muc     T        Tp1      Mu      Ms      T      Tp1      Msc   
608-1 608-2  608-3  608-4  608-5  608-6  608-7  608-8 

         4両編成  1996年3-5月

Muc    T         Tp2      Msc
651-1 651-2   651-3   651-4      1996/3
652-1 652-1   652-3   652-4      
1996/3
653-1 653-2   653-3   653-4      
1996/3
654-1 654-2   654-3   654-4      
1996/4
655-1 655-2   655-3   655-4      1996/5
656-1 656-2   656-3   656-4      
1996/5

4次車では機器でも記したように大きな設計変更がなされました。

インバータ制御方式が8M/1Cから4M/1C方式になり、MT比を3:1から1:1に、主電動機出力を120 kWから180 kWに変更しました。補助電源装置を75 kVA/2両から150 kVA/4両に変更し、Tp車に搭載しました。4両編成のSIVは冗長性確保のため75 kVA2個の回路構成としました。台車の軸受ダンパは当初、未設置だったが1996年秋以降に設置されました。パンタグラフをシングルアーム形に変更し、Tp車に2台搭載としました。

車内座席配置を変更し、本形式の特徴だったツイングルシートをやめ、扉間は2人掛けシートのみとされ、2組を向き合わせの4人席と単独の2人席となりました。中央扉部分にも折り畳み式補助椅子が設置されました。座席配置変更に伴い窓配置も変更されました。

改造工事、更新工事

本形式は登場後、各種の改造工事を行っていますが、なんと言っても最大の改造は2004年度から開始されたロングシート化改造でした。また更新工事も2009年8月、601編成から開始され、冷房装置を8両編成はCU-71F-G2、4両編成はRPU-11027に交換しました。また、各ドア上部に2台、17インチ液晶ディスプレイ設置(605編成は更新前に施行済み)しました。2014年3月の655編成施工をもって終了しました。

運用

8両編成は主に快特などの優等列車に使用され、都営浅草線、京成線、北総線への乗り入れ運用が中心となっています。京成成田空港線(成田スカイアクセス線)での運行にも対応しており、同線の一般列車であるアクセス特急(京急線内エアポート快特)として成田空港まで乗り入れています。4両編成は専ら自社線内に運用されています。

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コメント

こんにちは~。モモパパです。
京急といえば赤い車輌のイメージがあるのですがブルーに塗装された車輌もあったんですね。
こちらの地元名鉄でも赤い車輌が走ってるのですが京急の赤色とはまた違った色合い。
最近の車輌ではステンレス車体むき出しで赤いリボンをまとってる車輌もありますね。

モモのパパさま、こちらにもありがとうございます。

そうですね、かつては丁寧に車体全体を塗っていましたが、最近はステンレスやアルミの地肌にテープのみと云うのも多くなりましたね。その方がメンテが楽なんでしょうね。

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