小菅の複々線を走る様々な列車達 東武の車両編 8 8000系 その1
東武スカイツリーライン、小菅付近の複々線を行く車両たち、これまで東武鉄道の優等列車を担当する車両として、100系、200系、250系、300系、350系、1800系、6050系、634型を見てきましたが、今回からは通勤車両です。
東武の通勤車両として、現在も活躍中の最古参は8000系です。既にスカイツリー線区間での営業運転は2009年度末に終了し、後進に道を譲っていますが、実は現在もこの区間を定期的に走ってはいます。亀戸線と大師線の車両交換のために毎日13時10分頃、小菅付近を下っています。
そういったことから、今回からまずは8000系から東武の通勤車両を見て行こうと思います。
原形タイプの前面で生涯を全うした8127F 2006/7/9 栗橋
8000系の導入は1963年11月1日で、1983年までの20年の長きに渡り、私鉄電車としては最大両数の712両が製造され、「私鉄の103系」と呼ばれました。製造メーカーはナニワ工機(後のアルナ工機。現・アルナ車両)を中心に日本車輌製造東京支店・汽車製造東京製作所・富士重工業・東急車輛製造(現・総合車両製作所)の計5社です。
編成は最初は4両固定編成からスタートし、2両の電動車を制御する1C8Mでしたが、2両固定編成が登場すると1電動車制御の1C4M方式も登場し、以後、6両8両固定編成が登場し、MT比1:1を維持して、両制御方式が混在するようになりました。組み合わせによって2連から10連まで対応できる柔軟な運用が可能な車両でした。また両数から「私鉄の103系」とは言われますが、1C4Mと1C8M方式の混在、空気バネ台車の採用、発電ブレーキ不装備、座席の座り心地の良さなどから103系を遙かに凌ぐ車両との評価もあります。
2011年12月4日に南栗橋車両管区で開催された東武ファンフェスタでは8111Fが現行塗装で展示されていました。
車体
全長20m 4扉 普通鋼製で軽量化と車体強度両立のため、戸袋窓は省略されました。室内はオールロングシート、扉間7人、車端部4人掛けで、通勤車ですが、奥行きを深くし、クッションも柔らかめに設定されており、長距離客への配慮がありました。寒冷地での使用を考慮して、中間2扉の締め切り機構も当初から装備されていました。
車両定員 先頭車150人 中間車170人
走行機器
制御装置は 上述のように4両編成版1C8M方式と2両編成版1C4M方式があり、
モハ8200・8300:VMC-HT-20 1C8M(制御器1基で電動車2両分8個のモーターを制御)
モハ8500・8800:VMC-HT-10 1C4M(制御器1基で電動車1両分4個のモーターを制御)
日立製作所製 VMC超多段型バーニア制御、電動カム軸式
力行のみ55段(弱め界磁起動1段、直列24段、並列21段、弱界磁9段) です。
主電動機は補償巻線付の130 kW、1,750 rpm(82%界磁)の定格回転数で
モハ8200形・モハ8300形(8個制御対応):TM-63(端子電圧375 V) 日立HS-836-Srb・東洋TDK-845-A系
モハ8500形・モハ8800形(4個制御対応):TM-64(端子電圧750 V) 日立HS-836-Trb・東洋TDK-845-B系
駆動方式は中空軸平行カルダン駆動方式 歯車比 5.31 (16:85)
台車は住友金属工業の空気バネ台車で1974年製以前と1976年製以降で違いがあり、
前期タイプ 揺れ枕吊り式ミンデンドイツ台車 FS356・056 社内呼称「TRS-62」
枕バネは3段ベローズ式空気ばね、台車枠は鋳鋼製、軸距2,300 mm
後期タイプ 台車枠が鋼板プレス材溶接組み立て構造に変更され、さらに軸箱支持機構がミンデンドイツ式を基本としつつ住友金属工業が独自に改良したS形ミンデン式に変更されました、FS396・096(東武での社内呼称はTRS-75)となりました。
2012/9/1 五反野
8111Fはその後、登場時の塗装に塗り替えられ、東武博物館所有の動態保存車両として数多くのイベントに活躍しています。
写真は東武スカイツリータウン開業100日記念メモリアルトレイン
2011年12月展示の際にはなかった通過標識灯も復活しています。
制動装置
HSC電磁直通ブレーキが採用されました。発電ブレーキは装備せず、車輪を空気圧作動の制輪子で締め付ける「踏面ブレーキ」のみとして、機器類を簡素化していますが、制御装置とともに応荷重装置と連動しており、乗客の多寡に応じてブレーキシリンダー圧力が自動的に調整される機構を持っています。
設計最高速度は110km/h、営業最高速度は100km/h
起動加速度は 2.23 km/h/s
冷房装置
当初は非冷房で登場しましたが、1972年製の8156F-8158F(富士重工製)から集約分散式の冷房装置が装備され、それまでに製造された非冷房車も順次冷房改造がなされました。他社が8000-8500 kcal/hの分散式を4-5基搭載し始めた時期に、東武では10500kcal/hの集約分散式を4基搭載することにしました。1984年までに全車の冷房化を完了しました。
編成のバリエーション、修繕による顔の変化などについては次回の記事で。
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コメント
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B767-281様こんにちは。東武鉄道は私にとって比較的馴染みの薄い会社ですが、一時期の一色塗装はインパクトが強かったです。下地塗りかと思っていました。さて、登場時の塗装の8111編成、電車保存の鑑だと思います。トタの201-1、もし付属編成だけでも残っていたら絶大な人気をはくすると思います。
投稿: 細井忠邦 | 2015年11月22日 (日) 13時43分
細井忠邦さま、おはようございます。
私も、東武は東上線に乗った経験くらいで、伊勢崎線とは殆ど縁がありませんでした。ですから、昔の車両は殆ど見たこともなかったですね。
例の一色塗りはセイジクリーム塗装、サルビアの色だそうですが、よく下地ではと言われるそうですね。
電車の編成保存の話、201系はJR西日本にまだ残っているので、あちらに残っている車両が廃車になるときに、4連の残りを譲り受けるという手がありますね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2015年11月23日 (月) 06時10分
こんにちは~。モモパパです。
全長20m。
4扉。
首都圏の通勤車輌は4扉じゃないとお客さんをさばききれないんでしょうね。
僕の地元名鉄車輌は全長18mで3扉車が主流です。
東枇杷島駅~西枇杷島駅間の急カーブがネックとなってそれ以上大きな車輌が作れないんでしょう。
唯一の例外は同区間を走らない地下鉄鶴舞線を走る車輌。たしか100系だったかな。
20m車輌です。
名古屋市営地下鉄車輌も犬山線を走っております。
投稿: モモのパパ | 2015年11月23日 (月) 20時39分
モモのパパさま、こちらにもありがとうございます。
そうでしたか、名鉄の車両は18m車が基本でしたか、しかもそれが線形に依るものとは知りませんでした。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2015年11月24日 (火) 05時59分