速報版 2015冬の旅行 青森・函館の旅 4日目 函館市内観光 その2 ベイエリア散策4
函館ベイエリアの散策、今回は函館港に関する話題に触れてみようと思います。
函館港遊覧船の発着場
函館港と倉庫群 さらに日本初の気象観測に関する説明
以前の記事に書いたように函館湾一帯は「宇須岸(うすけし)」と呼ばれ、波の穏やかな港として知られていました。1454年に豪族河野政通が館を築き、形が箱に似ていたことから箱館と呼ばれるようになりました。
江戸時代には箱館は廻船の寄港地として繁盛し、箱館は北国における俵物(対中国(清)貿易向けに輸出された煎海鼠(いりなまこ/いりこ)・乾鮑(干鮑(ほしあわび))・鱶鰭(ふかひれ)の海産物(乾物)のこと)の集荷拠点になりました。
北前船の碇
造船所跡地の碑
19世紀に入ると市街地化するための堀割が設けられ、遠浅の海の埋め立ても進められました。造船所も設けられ人工港湾の整備が進められました。この頃、高田屋嘉兵衛(1769-1827 廻船業者、海商)は蝦夷地御用定雇船頭に任命され、択捉航路を開きました。
高田屋嘉兵衛の説明板
1854年3月31日の日米和親条約の締結で同年5月17日にはペリーが軍艦5隻を率いて箱館湊に入港し、測量を行いました。1859年には安政五カ国条約で貿易が開始されます。この頃イングランド、ハンプシャー・リミントン生まれのトーマス・ブレーキストン(プラギストンとも標記:1832-1891)は1860年軍務で中国へ派遣され、揚子江上流の探検を行った後、1861年箱館により、その成果をまとめ発表しました。一旦、本国に戻った後、1863年再び来箱します。製材業に従事しながら日本初の蒸気機関による製材所を設立しますが、蝦夷地では輸送手段がなかったため挫折しました。1867年、プラギストン・マル商会を設立し、貿易商として働き、20年以上滞在し、市の発展に貢献しました。
ブレーキストンは上水道や函館港第一桟橋の設計なども手がけ、気象観測の開始に寄与しました。ブレーキストンの名はその後、プラギストン線(動植物の分布境界線)として後世に残ることになりました。
倉庫群の一角には前夜、函館山から見えた巨大なクリスマスツリーがありました。カナダのハリファックスから贈られたものとのことです。
函館での気象観測は1838年船大工・続豊治の子として生を受け、5歳の時に回船業を営む福士長松の養子になり、船大工、通訳、測量技師の福士成豊(1838-1922)に受け継がれます。成豊は開拓使の官吏となり、新島襄の海外密航を支援し、ブレーキストンの気象観測所を引き継ぎ、1872年8月26日、函館船場町(現、末広町)の自宅に気候測量所を設け、本格的な気象観測を始めました。1876年ロシアのペトロハブロフスクに出張し、翌年には千島列島を調査・測量し、「クリル諸島海線見取図」を作成しました。
正体不明でしたが、ベイエリアの一角にはロンドンの2階建てバスもありました。
話をプラギストン線に戻しますが、ブレーキストンは野鳥の研究から津軽海峡で動植物の境界線があると提唱し、
ツキノワグマ、ニホンジカ、ニホンザル、ライチョウ、ヤマドリ、アオゲラ は津軽海峡以南
ヒグマ、エゾシカ、エゾシマリス、ミユビゲラ、ヤマゲラ、シマフクロウ、ギンザンマシコは以北に分布
タヌキ、キツネ、ニホンリスは南北で亜種が異なるとされています。
津軽海峡は最終氷河期(約7万年前~1万年前)に140mの水深がある水路部が残ったため北海道と本州で生物相が異なったと考えられています。
近年のゲノム解析技術の発展で北と南で異なる生物種がゲノム配列レベルでどのくらい異なっているのかも興味深いテーマかと思います。
ワイン樽を利用したモニュメント 夜はライトアップされて綺麗かと思います。
最後まで読んで戴きありがとうございます。
上のリンクをクリックされると面白い鉄道記事満載のブログ村。もしくは鉄道コムに飛ぶことができます。
« 速報版 2015冬の旅行 青森・函館の旅 4日目 函館市内観光 その2 ベイエリア散策3 | トップページ | 速報版 2015冬の旅行 青森・函館の旅 4日目 函館市内観光 その3 外国人墓地 »
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 2024年春の名古屋周辺旅行 遠州鉄道編 その1 遠州鉄道の歴史(2025.02.04)
- 2023年12月26日 松本城を見学(2024.12.26)
- 2023年晩夏の関西旅行 城巡り編 その3 岸和田城(2024.12.25)
- 2023年晩夏の関西旅行 城巡り編 その2 彦根城(2024.12.24)
- 2023年晩夏の関西旅行 城巡り編 その1 長浜城(2024.12.23)
「船」カテゴリの記事
- 大川端・佃島周辺を散策する part9 晴海埠頭から東京国際見本市会場跡へ(2022.07.15)
- 大川端・佃島周辺を散策する part8 都03ルートで四ツ谷駅から晴海埠頭へ(2022.07.08)
- 小名木川に沿って歩く その9 地図からも分かる扇橋閘門(2021.09.24)
- 小名木川に沿って歩く その4 荒川ロックゲート(2021.09.17)
- 小名木川に沿って歩く その3 旧中川と大島小松川公園(2021.09.16)
「バス」カテゴリの記事
- 大川端・佃島周辺を散策する part8 都03ルートで四ツ谷駅から晴海埠頭へ(2022.07.08)
- 小名木川に沿って歩く その1 都営地下鉄新宿線 東大島駅(2021.09.14)
- 2018年晩夏 長野県内の保存蒸機を見て歩く旅 111 軽井沢駅からJR関東バスにて碓氷峠を下る(2021.04.20)
- 2018年晩夏 長野県内の保存蒸機を見て歩く旅 12 塩尻駅あれこれ(2020.09.30)
- 芦屋町高浜町児童公園、およびその付近の興味深いこと(2020.09.07)
« 速報版 2015冬の旅行 青森・函館の旅 4日目 函館市内観光 その2 ベイエリア散策3 | トップページ | 速報版 2015冬の旅行 青森・函館の旅 4日目 函館市内観光 その3 外国人墓地 »
コメント