速報版 2015冬の旅行 青森・函館の旅 青函連絡船八甲田丸6
青森の青函連絡船八甲田丸の話題、今回は車両甲板の下の第二甲板の話題です。
摩周丸の記事でも紹介しましたが、第二甲板(博物館的にはB1)は船首からバウスラスター室、普通船員居室、発電機室、総括制御室、主機室となっています。八甲田丸では主機室、発電機室、総括制御室が公開されていました。
青函連絡船初のディーゼル船の檜山丸(初代)から十和田丸では毎分230~250回転の2サイクル低速ディーゼルエンジン(B重油使用)を主機関に採用していました。エンジンの高さが船底から車両甲板までほぼ一杯になり、主機械のピストン抜き作業は車両甲板に設けたボルト締めの水密ハッチの蓋を開けながら行う必要があり、車両搭載時には実施不可能でした。
シリンダーヘッドの数からV8タイプのエンジンと見られます。
津軽丸2代以降では背の低い毎分750回転の
単動4サイクルトランクピストン
排気ターボ過給機付ディーゼル機関 (軽油を使用)
川崎 MAN V8V 22/30mAL もしくは 三井 B&W 1226 MTBF-40V
を搭載したため、所要出力を確保しつつ、天井の低い車両渡船の機関室内で、主機械頂部と機関室天井の間に余裕を持たせ、ピストン抜き作業も機関室内で可能となりました。
750rpmではプロペラ効率が悪く、減速機を介して主軸に繋ぐ必要があり、また片舷1軸あたり4台のエンジンが繋がるため、故障機や休止機を軸系から容易に切り離せるようにしておくことも必要で、各主機械と主軸の間にはクラッチも必要となりました。そこでフルカンギアを介して、油の出し入れで動力の伝達をON/OFFする機構が導入され、8台のエンジンの出力は、それぞれ流体継手と1段減速歯車を介して両舷の主軸に伝達され、主軸はプロペラ効率のよい毎分217.5回転で互いに外転しました。
表示から推測するところ、フルカンギアの潤滑油の冷却装置でしょうか?
メインエンジン上の物々しい配管
通常は主機械6台程度の稼働で定時運航可能なため、運航しながらの機関整備が可能となり、当時檜山丸型で行われていた20日間運航後3日間休航、という機関整備のための休航は不要となりました。
2015/12/25 総括制御室
摩周丸ではディスプレイ越しでしたが、八甲田丸では同じ光景を直接見ることができました。計器盤は船尾方向向きに設置され、ここで各種機械類の状態が監視され、通常の運転操作はここから遠隔操作で行われました。
発電機室
1939年以来の連絡船では電圧は225Vでしたが、十和田丸(初代)では3台の発電用ディーゼルエンジン(360制動馬力)が搭載され、三相交流60Hz 445V 300kVAの発電が行われていました。津軽丸2代以降は左舷から中央部にかけて、出力840制動馬力ディーゼルエンジン(大雪丸(2代)、摩周丸(2代)、羊蹄丸(2代)では800制動馬力)で駆動される三相交流60Hz 445V 700kVAの主発電機が3台設置され、右舷にはバウスラスター駆動電源で、かつ主発電機故障時には、主要推進補機のバックアップ電源となる、出力900kVAの主軸駆動発電機が設置されていました。
1954年9月26日の洞爺丸をはじめとする5隻の青函連絡船沈没事故を教訓として、1957年に就航した十和田丸初代、さらに1964年から就航した津軽丸二代目以降、数々の安全対策が取り入れられたことがよく分かりました。
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