通勤電車シリーズ 103系 37 関西本線における103系の活躍
4扉通勤車両103系の活躍を線区ごとに登場から今日まで見ていますが、今回は関西本線について触れてみようと思います。
関西本線の車両の話題は、拙blog初期の2012年12月2日の記事で1976年3月に関西方面を旅行した記事の中で触れました。今から40年前の旅行でしたが、1973年10月に投入された101系が活躍しており、1982年8月の台風による水害で多くの101系が被災し、1983年3月から103系が投入され、1985年には置き換えが完了しています。
1983年に投入された103系は東海道緩行線に201系が投入されたことによる捻出車両であり、ウグイス色に塗り替えられた車両と、下の写真の隣の車両のようにスカイブルーのまま営業に就いた車両もありました。最初は日根野区配置でしたが、1985年3月14日に奈良電車区が開設されました。
1986年11月1日、国鉄最後のダイヤ改正では短編成フリークエントサービス実施のため、関東との広域転配も実施され、McM'Tcの3連も登場し、クハ100改造のクハ103-2000番台もこのときに初めて登場しました。民営化時には6連12本、3連10本が継承されました。
クハ103-2001~2004 クハ100-92, 35, 31, 60 から改造
関西本線加茂駅からJR難波駅(1994年9月4日に湊町駅から改称)までの区間に『大和路線』の愛称が付けられたのは加茂~木津川間が電化された1988年3月13日からでした。
1987/2/4 天王寺
民営化直前の国鉄関西本線で活躍する103系
101系に引き続き103系も踏切事故防止のための警戒色として黄色(黄5号)の帯が入れられていました。
1990年度には前照灯を点灯して運転するようになったため、帯は一旦撤去されましたが、保線従事者から車両と山の色が類似して識別が困難との指摘があり、1996年度から白色の帯が前面に入れられました。特に法隆寺-王子駅間では大和川やその支流で奈良県特有の濃霧が発生することが多く、視認性の確保は重要たそうです。
民営化当初に関西本線103系では改造車が登場しています。
クハ103-2500番台 2501~2504 モハ102-387, 388, 397, 398 を改造 (鷹取工場)
目的: 短編成化高頻度化運転のため、6連の4,5号車間にTcT'cを挿入、不足分の改造
クハ103-2550番台 2551~2553 モハ103-233, 242, 243を改造 (鷹取工場)
目的: 短編成化高頻度化運転のため、6連の4,5号車間にTcT'cを挿入、不足分の改造
上記の改造で1両余ったモハ103-232は片町線用 サハ103-2501に改造 (吹田工場)
台車は種車のDT33形を小改造してWDT33形とし、継続使用しました。
1991年度、淀川電車区に207系が103両投入されたことで、クモハ103、モハ102-5000番台、サハ102などを含む冷房車が転入し、冷房化率は100%になりました。1993年度には高槻に207系が投入されたことで、明石区からの捻出車が投入されました。
表2 1993年2月時点での天ナラ 103系編成表
1996年度からは体質改善車が奈良電車区にも登場しました。
延命のために腐食の原因となる各種改造が施されるようになり、
窓の閉塞 雨水の浸入を防ぎ、車体の腐食を遅らせることと、窓清掃の簡略化を目指して、戸袋窓、妻面窓の閉鎖工事が施工されました。
扉交換 腐食防止のため、側扉、貫通扉がステンレス製のものに交換されました。
前面金属板設置 窓支持用Hゴム保護と運転台への風雨進入防止のため先頭車の是面窓ガラス・運行表示窓・行き先表示器の縁の部分を金属板で覆いました。
高運転台車の配置されました。戸袋窓が埋められていますが、これはATC準備工事車ではなく、JR西日本の体質改善工事で埋められたものです。
スカートの設置工事も全先頭車に施工されました。
国鉄時代の特別保全工事を発展させる形で
延命N
製造から30年の使用を目指し外板整備・機器の一部更新・配管の交換および内壁の張替などが行われました。1972年までの製造車大半が該当。
延命NA
国鉄時代の特別保全工事施工車に内壁の張替など前述の延命N工事と同様の工事を施工しました。施工済部分は省略しました。
延命NB
製造から40年の使用を目指し、外板整備・機器の一部更新・配管の交換・内壁の張替・窓サッシの交換(上段下降・下段固定の黒色サッシ)など上述3種の工事よりも徹底した内容の工事が施工されました。
体質改善工事
1996年以降、延命N40以上に徹底した延命を目的としたリニューアル工事が実施されました。車番表記もJR西日本独自の書体になりました。
<体質改善40N工事の内容>
張上屋根化
屋根上通風器の撤去
一部外板のステンレス化
側面ルーバーの形状変更
方向幕の形状変更
運転台の整備
運転台・ドア窓支持の変更
運行番号表示器・行先表示器・前灯部分の内支持化
ドア間窓を下段固定・上段上昇の3分割バス風逆T字サッシに交換
車端部窓を固定1枚窓サッシに交換
内壁・床の張替
座席クッションの更新
荷棚のパイプ化
照明へのカバー取付
扇風機→ラインデリアへの交換
冷房風道のラインフロー化
車内スピーカーの更新・増設
<体質改善30N工事の内容>
2002年以降は、新車投入ペースが速まったこともあり、製造後30年までの使える程度に工事内容は縮小されました。直接保守面・接客面への影響が少ない外装の改造は大幅に簡素化され、体質改善40Nに比べてドア・側窓・屋根樋などが原形のままとされました。
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コメント
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こんばんは。
関西線の101系や103系の前面警戒色、保線サイドからのクレームだったのですか!?
関西線のような感じの沿線景色、他にもありますが、車両の色と同化して
保線サイドから確認しにくいなんてあるんですね!!
ドイツのタクシーの色がベージュばかりですが、
あれはベージュが一番目立つので メルセデスベンツにも 純正色であったそうです。
メルセデスベンツのカラーチャートにも 夜間視認度の説明が記載されていました。
今ではラッピングで表現するそうです。
投稿: W246 | 2016年2月18日 (木) 17時32分
B767-281様今晩は。先日のMT55 編とも重なりますが、今でも大鉄の103系は限流値増が定位となっています。それでも奈良線に乗車してみると、2M2Tでフルノッチをいれてもやっと85キロまでです。とりあえず新性能化しなければ〔両開き扉の効果は大〕といま少しれ年代が進むと冷房化を進める必要、と言ったところで、図らずも増殖したのが、103系なのかな、と思います。歴史的にきちんと評価しないといけないかなと最近思っております。101系から苦し紛れ編入の中で、種車クハ100-31がいます。この車は新製時点で津田沼、淀川に転属して桜島線の3両編成用として使われ、暫く保留となり、再び上京して鶴見線で使われたあとまた関西に戻るという、数奇な運命をたどった車です。関西線水没救済に向かっている101共ども車両の人生は様々ですね。
投稿: 細井忠邦 | 2016年2月18日 (木) 20時34分
W246さま、おはようございます。
大和路線の警戒色の件、Wikipediaや毛呂信昭氏の103系物語にも出てきます。わたしもそこから知った次第です。
関門に新製配置され、一時内郷機関区に移ったEF81 301 302があのように塗装されたのも保線サイドからの要望だったのかも知れませんね。
接近してくる列車をいち早く認識できることは安全上極めて重要ですね。
ドイツのベンツのベージュ色のタクシー、そういった規則があったのですか、わたしも西ベルリン時代テーゲル空港から自宅までよく利用したので憶えています。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2016年2月19日 (金) 06時51分
細井忠邦さま、おはようございます。
大鉄の103系の限流値に関しては運転席に制限標識が見えるのですね。
クハ100-31の履歴、面白いですね。わたしも小学校の頃、おそらくお世話になっていますが、その後の車生がそんなに複雑だったとは知りませんでした。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2016年2月19日 (金) 06時55分
B767さん、こんにちは(^^)関西線103系、正面に黄色の警戒色が施されていましたね。そうですそうです‼︎1982年8月の台風で……関西線101系が多数廃車になったんですよね。1987年2月4日の画像、天王寺でスカイブルーの103系がチラ見していますけど、阪和線の103系ですか⁇
投稿: マスダっち1971 | 2016年2月23日 (火) 15時15分
マスダっち1971さま、こんばんは。
>1987年2月4日の画像、天王寺でスカイブルーの103系がチラ見していますけど、阪和線の103系ですか⁇
天王寺駅の場合、阪和線の電車は2階ホームから発着しているので、向かいのホームの車両は網干区(東海道緩行線)から転属間もないスカイブルーの103系が塗り替える暇もなく関西線の運用に入ったものですね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2016年2月23日 (火) 20時41分
B767さん、おはようございます(^^)そうですか‼︎天王寺駅の阪和線は2階ホームから発着ですか。じゃあ、このスカイブルーの103系は東海道緩行線から転属してきたんすね。1987年2月はもう関西線は……101系は全車廃車になり、ほぼ103系に統一されているんすか??
投稿: マスダっち1971 | 2016年2月24日 (水) 10時54分
マスダっち1971さま、こんばんは。
>1985年には置き換えが完了しています。とあるので、87年には101系は完全にリタイアしていますね。101系の車歴を見てみると103系に改造された一部を除いてすべて日根野で廃車になっていますね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2016年2月24日 (水) 21時32分