隅田川貨物駅フェスティバル 3 鉄道コンテナについて1
2015年10月25日の「隅田川貨物フェスティバル」の話題、今回は鉄道コンテナについて触れようと思います。
2015/10/25 現在の12ft 主力コンテナ19Dタイプとコキ107形貨車 隅田川貨物駅
我が国において最初に貨物列車運転されたのは新橋(後の汐留)と横浜(後の桜木町)間で1873年9月15日のことでした。
1970年代、貨物列車の運行方式の一部に貨物取扱駅間同士を直接結ぶ「直行型輸送方式」も取り入れられていましたが、大半は「ヤード集結型輸送方式」で、操車場で貨車を組み替えつつ継走し、目的地までの到着に日数がかかり、要する日時も不確定な方式でした。
1976/8 巣鴨駅の様子
<ヤード集結型輸送方式の手順>
・荷物を出荷駅で回送されて来た貨車に積み込む
・貨車は解結貨物列車に連結され、近くの操車場へ
・貨車を目的地別に組み替える
・操車場間を結ぶ貨物列車に目的地別の貨車群を連結し、別の操車場へ
・到着した操車場で目的地別に組み替える
・目的地近くの操車場で貨車を切り離し、解結貨物列車に連結、目的地駅で貨車を切り離す。
日本全国に高速道路網が整備されてくるとトラックによる輸送が主流となり、鉄道貨物輸送は衰退してゆきました。
国鉄も赤字を生み出し、非効率なヤード輸送方式を1984年2月1日のダイヤ改正で全廃し、コンテナ貨車と石油、化成品、セメント類などの物資適合貨車(専用貨車)による拠点間直行輸送方式に改めました。
この改正で、操車場は全廃、貨物取扱駅も851駅から457駅に削減されました。
国鉄におけるコンテナ開発の歴史を調べてみると、こちらのサイトに詳しい説明がありました。
有蓋コンテナは1955年10月の3トン(2.5トン積み)3000形式の試作(5個)が嚆矢とされています。ターンバックル付き金具で緊縮し、無蓋車トラ30000形式に積載し、汐留~梅田間で試験輸送が行われました。1957年4月から、営業を開始しましたが、取引単位に適合しないこと、軽量貨物では運賃が割高になること、コンテナの個数が少なく利用しにくいことなどから、3トン方式ではなく5トン方式で行くことになりました。
2015/8/15 初期の国鉄コンテナ模型 青梅鉄道公園展示
1959年3月に5トンコンテナが試作され、トラックの側板を立てた状態で積載可能、積載時に道路輸送の制限高(3.5m)を超えない、構想中の新幹線コンテナ線用電車の幅に合致することなどが条件とされました。緊縮装置はアンカーをコンテナ車に、緊縮金具をコンテナ側につけ半自動式中央緊縮方式とし、片妻開きで鋼製、アルミニウム製、木製の3種類が試験的に製造されました。量産は鋼製片妻開き方式とし、5000形式と名付けられ、5100~が東急車輛、5500~が富士重工で製造されました。
1960年に隅田川、加茂(新潟)、東札幌のコンテナ列車増発に対応して6000形式が増備され、1962年には小口貨物の積み合わせ輸送用に、車両に搭載したまま積み卸し可能な両側開きタイプの7000形式が製造されました。
後に11ft級コンテナに分類されるこれらの後継として、1961年から
C10形式 片妻開き クレーン上部吊り フォーク二方差し
C11形式 片妻両側開き クレーン上部吊り、フォーク二方差し
C12形式 屋根スライド開閉、片妻開き が量産されました。
1970年にコンテナ及びコンテナ貨車の規格体系が見直され、5トンコンテナは12ft、10トンコンテナは20ft、15トンコンテナは30ft、20トンコンテナは40ftとなりました。
ISO規格に準拠した5トンコンテナ(12ft)として、T11パレット (1100mm x 1100mm) を6枚搭載可能にしたコンテナとしてC94形式が1970年に試作されました。この形式が1971年からはC20形式として量産され、さらに1974年に上隅金具を設けたC21形式が登場しましたが、荷役設備が対応できず増備はC20形式で行われました。
このC20形式に合わせて登場したコンテナ貨車がコキ50000系です。
1979/12/18 ED73牽引のコンテナ貨物列車 筑前新宮
大学院時代に福岡に学会で出かけた際に朝のブルートレインの撮影の合間に撮ったものです。
1984年、トラックに2個積みもしくはコンテナ貨車に積載したまま荷扱いが可能な、片妻片側開きコンテナとして、C30形式がC20,C21を改造し、作られました。同じように新製されたのが、C31形式でした。
C35形式はコンテナの構造を大幅に見直し、妻壁荷重及び床荷重強度を引き上げ、製造コストを低減させた形式であり、C36形式はC35で撤廃された内張の合板を復活させた形式です。
1987年、嵩高い荷物輸送を目的に高さを2500mmにし、C31の容積を拡大したのがC40形式で主にたばこ輸送に特化して用いられました。
C95形式はC20をベースとした簡易保冷コンテナ、NC1は日本通運所有だった元私有コンテナ、ZC1は全国通運所有だったC35ベースのコンテナです。
以上が非常におおざっぱですが国鉄の5トン~12ftコンテナの歴史です。
民営化後、JR貨物では、国鉄C40形式をベースとして、内容積18立方メートルの18A形コンテナが1987年から2500個量産されました。
18シリーズは
18B 中越パルプ工業 東京~八代限定 両側面開き 25個
18C 18Aの床面高さを下げて容積拡大 5000個
2004/10/17 18Dタイプ 幡生
18D 全長拡大 両側扉二方開き 23600個
18E 床面二重構造防振材挿入試作 2個
さらに18シリーズの全幅を大きくして内容積を19立方メートルにしたのが19シリーズです。
19A 全幅拡大 1001個
19B 19Aの幅を減少 3000個
2005/12/18 19A 19B 大船
19C 19Bに荷崩れ防止のため仕切り用ポリプロピレン製パネル装備 400個
19E 19Cの後継で上部四隅に簡易隅金具が付きました。
19D 19Bの改良型で脚部四隅に船積用のツイストロック式の金具を装着 29505個 (2014.2現在)
2015/10/25 隅田川
と云うことで漸く今回の19Dタイプが登場します。現在、12ftタイプの主力がこの19Dと19G (片側妻扉・側扉二方開きの19Fに脚部四隅に船積用のツイストロック式の金具を装着)となっています。
天井開き試作コンテナとして20Aが1個、高さが高くコキ100系限定のコンテナ20B (224個)、同じく両側扉・片妻面三方の開きタイプの20C (479個)、その後継の20D (448個)もあります。
次回は別のタイプのコンテナ系列について触れます。
最後まで読んで戴きありがとうございます。
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コメント
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おはようございます。
国鉄コンテナ、戸口から戸口まで
回転ありましたね。
EH10が牽引、最後尾にコンテナと同じ色のヨ(車掌車)が連結されていました。
幼児のときで残念が見ていません。
やはり記憶に強いのは
特急Aのコキ10000、東北線へはEF65PF、ED75P重連
東海道線へEF66。
今朝のNHKおはよう日本 5時台で
ミャンマーに譲渡された広電の車両に関して放送していました。
市街地での車の渋滞緩和が目的だそうです。
運賃は日本円なら10円。
投稿: 準急豊島園 | 2016年2月 5日 (金) 05時39分
B767-281様今晩は。貨物列車といえば、様々な貨車が繋がり長〜い列車で、貨車の種類を見ながら両数を数えるのが楽しみでした。車掌さんも居なくなりコンテナばかりになって、魅力は半減しました。時代の流れゆえ仕方がないでしょうが。
投稿: 細井忠邦 | 2016年2月 5日 (金) 20時04分
準急豊島園さま、こんばんは。
私も今回、国鉄からJR貨物に至るコンテナの歴史を初めて勉強しました。
仰るように昔の貨物列車の思い出、私も一杯あるのですが、ただ漫然と眺めていたばかりで、もう少しきちんとシステムを理解していればと後悔致しております。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2016年2月 5日 (金) 20時08分
細井忠邦さま、おはようございます。
貨物列車の思い出、特に車掌車の存在は大きいですね。
なにかあれが無くなって、人間味が薄れたような気が致しますね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2016年2月 6日 (土) 06時48分