通勤電車シリーズ 103系 38 奈良線における103系の活躍
通勤電車103系シリーズ、前回は大和路線の愛称が与えられた関西本線について触れましたが、今回は同じ奈良電車区が受け持つ奈良線です。
2005/7/8 京都
前面に警戒色の白帯は付いたものの車体番号表示は無かった頃の103系
奈良線は規定上は木津川市の木津駅と京都駅を結ぶ34.7kmの路線で、奈良線と言えども全区間京都府内を走る路線です。そもそもは奈良鉄道が京都~奈良間を建設した路線ですが、関西鉄道と合併後、大阪~名古屋ルートの一部として木津駅以南が関西本線となったため、現在のような構成になったとのことです。
1879年8月18日 官営鉄道、後の東海道本線として京都~稲荷~大谷間が開業
1895年8月5日 奈良鉄道により、京都~伏見間が開業
11月3日 伏見~桃山間延伸
1896年1月25日 桃山~玉水間延伸
3月13日 玉水~木津間延伸
4月16日 木津~奈良間開業 全通
1905年2月7日 奈良鉄道が路線を関西鉄道に譲渡
1907年10月1日 関西鉄道が国有化
1909年10月12日 国有鉄道線路名制定 木津~京都間を奈良線 木津~奈良間は関西本線に
1921年東山トンネルが開通すると東海道本線は馬場(現在の膳所)~京都駅間の現在のルートになり、京都~稲荷間のルートと稲荷~桃山間の新線が奈良線になりました。京都~伏見間は廃止され、旧線跡地は近鉄京都線の前身である奈良電気鉄道に払い下げられました。伏見~桃山間は貨物線になりました。
1928年、奈良電気鉄道が開業すると頻度や所要時間で劣るため直通需要を大きく奪われましたが、1984年の電化までこれと言った投資もなされずローカル線状態で放置されました。
因みに天皇をはじめ皇族が奈良を訪問される際も、新幹線で京都に着くとそのまま、近鉄京都線で奈良方面に向かわれるパターンは現在も継続中のようです。
因みに私は京大の化学研究所(宇治)に出張する用事がかつてあったときはよく奈良線を利用しました。
1975年12月19日 自動信号化が完成
1982年3月 CTC導入
1984年10月1日 京都~奈良間電化 105系、113系による運転開始
電化以前は蒸機+客車の時代があり、気動車化されてからは
キハ55、58、65、45、40、35、20、10など、国鉄ローカル線の定番車両が走っていました。
1984/12/7 京都駅
顔は105系オリジナルスタイルですが、103系1000番台から改造の車両でした。
電化以来、活躍してきた113系は1994年3月に運用が終了、105系も同年9月4日に運用が終了し、桜井線との直通運転もなくなりました。105系の撤退は和歌山線、桜井線に運用を集中させるための措置でした。
1991年3月16日のダイヤ改正からは、117系による快速電車が運転され、1994年9月4日からは105系に代わって103系が投入されました。
戸袋窓が塞がれたクハ103-133
この車両は1969年3月7日、川崎車輛の製造で新製配置は池袋区、1974年4月19日、山手線クハATC準備工事車大量投入で関西、鳳区に転属しています。
1976年12月2日、冷房改造、1978年10月1日、日根野に転属、1985年2月7日、特別保全工事、1987年12月23日、延命NA工事、1990年10月18日、ATS-P取り付け工事、1998年12月8日、戸袋窓閉鎖工事、2007年9月29日、奈良区に移ってきました。改造などの工事は全て吹田工場です。
クハ103-180
番号から分かるように山手線に登場した試作冷房編成のクハ103-178,-179の次の番号の車両で1972年2月28日、汽車会社製造です。
新製配置は明石区で登場時は非冷房車でした。1984年3月15日、日根野区に転属、1985年3月14日、奈良区に移っています。1985年12月15日、吹田工場で冷房工事、特別保全工事を受けており、1988年10月24日、延命NA、1991年3月9日、ATS-P取り付け工事を同じく吹田工場で受けています。
クハ103-181
上記のクハ103-180の反対側のクハで製造から、各種改造に至るまで履歴は全く同じです。
クハ103-185
1972年2月18日、東急車輛製造で、新製配置は明石区、1983年8月22日、日根野区に転属、1984年3月31日、冷房改造、1985年3月14日、奈良区に転属、1990年12月22日、ATS-P取り付け、1991年11月28日、延命N,1998年12月22日、戸袋窓閉鎖、2001年9月18日、前面整備
クハ103-211
1972年3月2日、近畿車輛で製造、明石区配置、1980年8月14日、冷房改造、鷹取工場、1986年9月25日、淀川区転属、1992年2月7日、延命工事N、ATS-P取り付け工事、1992年4月9日、奈良区転属、2002年10月7日、前面整備工事
クハ103-223
量産冷房車として1973年2月28日に川崎重工で製造、池袋区に配置された車両の1両で、山手線での活躍は同線のATC化で短く、1974年2月7日、高槻区に転属となります。1983年3月20日、日根野区転属、1985年3月14日、奈良区転属、1992年3月12日、ATS-P取り付け及び、延命N工事、2002年11月19日、前面整備工事
クハ103-251
1973年8月17日、川崎重工製造、森ノ宮区に新製配置、1990年10月11日、ATS-P取り付け、1995年6月16日、延命N40、2001年9月17日、前面整備、2006年2月24日奈良区転属
このように同じ奈良線で働く103系でもその製造時期、新製配置区、その後の工事の状況が違っているのが分かります。
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B767-281様おはようございます。奈良線、かつては奈良大和路キップといった便利なキップがありましたので、本数は近鉄に叶いませんが、良く利用していました。103系よく頑張っていますよね。数回の塗り替えを経て「山手線」にもどっているのも面白いです。量産冷房車は中学2年の冬に登場、翌74年にはATC準備車が登場しあっという間に関西へ旅立ったのをよく覚えています。地元豊田で、前後がオレンジのクハ、真ん中はスカイブルーとい編成を見たこともありました。
投稿: 細井忠邦 | 2016年3月 9日 (水) 06時23分
細井忠邦さま、こんばんは。
わたしも宇治に出張の際はもっぱらJRでしたが、関西は平行して走る競争相手が多いですね。しかも近鉄京都線の場合はああいった経緯で出来たことは今回初めて知りました。
1973年といえば、わたしは高2から高3になった年でした。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2016年3月 9日 (水) 20時14分