公園保存車両 岡崎南公園 その3 名鉄モ401号
全国の公園等に保存されている車両を見て歩くシリーズ、今回も岡崎南公園に保存されている、名鉄モ401号です。
この車両は元々、名古屋鉄道の前身の美濃電気軌道が1926年に導入したセミシ64形だそうです。セミシとは半鋼製車体(セミスティールボディ)の4輪単車(シングルトラックカー)から来ているそうです。
美濃電気軌道が敷設、運営した北方線、後の名鉄揖斐線の北方町~黒野間延伸開業に際して、セミシ64-66の3両が日本車輛製造本店において新製されたそうです。従来車のラストナンバー63に続く続番として64から付番されたそうです。
車体は美濃電初の半鋼製車体でリベット組み立て工法を多用し、全長は9906mmとなっています。両妻面に運転台を持ち、妻面は当時流行の緩い円弧をを描いた半流線型スタイルでした。鉄道線専用車両として、高床構造となっており、側面前後に2枚ある客用扉下部には内蔵型乗降ステップが設けられ、扉の下端部は車体裾まで引き下げられています。
客用扉部と戸袋部を除く車体側面裾部は上方へ切り欠かれており、台枠が露出しています。
制御方式は直列4段、並列4段の8段力行ノッチのイングリッシュ・エレクトリックDB1-KC直接制御器を各運転台に搭載しました。主電動機もイングリッシュ・エレクトリック社製のDK-30-B(定格出力40PS 歯車比5.0 (70:14) )を2台搭載しました。台車はブリル社が開発したブリル21-E台車の模倣製造品21-E単台車を装着しました。ブレーキは手用制動を常用し、非常制動として直接制御器の操作で動作する非常用発電制動が併設されました。
集電装置はトロリーポールを前後一基ずつ搭載し、前後妻面には並型自動連結器が装着されました。
1926年4月の北方線延伸開業とともに運用が開始され、同日谷汲鉄道の黒野~谷汲間も開業したので、同年9月から直通運転が行われました。
美濃電は名岐鉄道になり、さらに愛知電気鉄道との合併で名古屋鉄道成立後は1941年の形式称号改正で、モ60形(初代)61-63となりました。さらに戦後1949年の形式称号改訂ではモ110形110-112となりました。
1949年にはモ100形より転用したイングリッシュ・エレクトリック製のM-15-C自動加速制御装置を搭載し、制御方式を間接自動制御に改め、常用制動としてSME非常直通空気ブレーキを新設しました。台車枠を強化してDH-16形CPも搭載され、総括制御が可能となりました。また集電装置もY字型ピューゲルへ換装されました。
この台車枠増強で台車の重量バランスが崩れ、脱線事故が多発するようになり、その対策として2両を一組として2車体3台車の連接構造、ボギー車に改造することとなりました。モ110形からはモ110・モ111の2両が選ばれ、1952年5月、日本車輛本店で改造工事が施工されました。
改造では連結面側の運転台が撤去され、貫通路、及び貫通幌が設置されました。
主要機器では台車をブリル21-E単台車から日本車輌製造製の形鋼組立形釣り合い梁式2軸ボギー台車D11・D13に換装し、編成両端部にD11台車を、中間連接部にD13台車をそれぞれ装着しました。主電動機はイングリッシュ・エレクトリックDK-30-C(端子電圧600 V時定格出力44.8 kW)に換装し、歯車比4.6 (69:15)で両端台車へ各2基、編成あたり計4基搭載しました。
連接車としてかなり特徴的なシルエットを持っていたことが想像されます。
集電装置は菱形パンタグラフへ換装し、忠節寄り車体の先頭側に1基搭載し、制御装置および制動装置については改造以前のM-15-C電動カム軸式間接自動制御器およびSME非常直通空気ブレーキを継続使用しました。
改造後のモ110・モ111はモ400形(2代)の形式称号が付与され、記号番号はモ401と編成単位で付与されました。
定員の増加、輸送力アップには貢献しましたが、改造費が高額であったため、以後の改造は行われませんでした。未改造だったモ112号は1959年7月6日付けで廃車となりました。1973年には瀬戸線に3700系が導入され、余剰となったモ700形、モ750形、ク2320形が揖斐線系統に転用となり、モ401は代替対象となり、1973年11月3,4日のさよなら運転を最後に運用離脱、同年12月25日に除籍となりました。廃車後、1974年に岡崎市に寄贈され、南公園で展示されることになりました。
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