大宮鉄道ふれあいフェア2016 ガスタービン車キハ391系
鉄道のまち大宮「鉄道ふれあいフェア」の一環として5月28日に開催されたJR東日本大宮総合車両センターおよびJR貨物大宮工場の公開、今回で5回目なので、目新しかった点についていくつかご紹介してゆこうと思います。
まず最初は、キハ391系カットモデルです。
国鉄キハ391系気動車は国鉄が1972年に試作したガスタービン動力の試作車でした。
プロジェクトは1967年に運輸省の委託予算で日本車両工業協会がガスタービン機関によるターボトレインの研究開発を行ったのが嚆矢とされています。
協会は国鉄の車両設計事務所、鉄道技術研究所、メーカー15社などからなる「ガスタービン車両技術委員会」を発足させ、大垣区で廃車となった国鉄旧型ディーゼルカーキハ07 204に石川島播磨重工業がゼネラル・エレクトリックとの技術提携で製作したヘリコプター用IM100-2形(CT58形)ターボシャフトエンジン (1,050 PS/19,500 rpm)を搭載し、キハ07形(キハ07 901)に改造しました。
エンジンは床下に搭載されトルクコンバータ無しの一段減速機械式動力伝達装置を介して片方の台車の2軸を駆動する構造となっていました。
設計最高速度は150 km/hで動力台車をキハ181系気動車と同型のDT36Bに交換されました。鉄道技術研究所での連続153 km/h性能試験を含む台上試験を1968年度に行い、最大推進軸伝達馬力は152 km/hで1,062 PS、最大動輪周引張力は85 km/hで2,050 kgを記録しました。
続いて汽車製造東京製作所で付随台車のTR205Bへの交換やFRP製の流線形前面の取付けを含む再改造の後、1969年11月以降の本線上での試験走行が行われました。
1970年2月より磐越東線郡山 - 船引間23.1 kmで試験が行われ、この試験では7ノッチ起動後60秒で55 km/hに達する加速性能を記録し、最大動輪周引張力は2,500 kg、懸念されていた騒音はディーゼル動車と同等でしたが、力行速度が想定より低かったこともあり燃料消費率は既存の急行用ディーゼル動車の1.8倍に達しました。
同年7月には川崎重工業製のKTF1430 (1,230 PS/18,500 rpm) を床上に搭載して同じく磐越東線で走行試験が行なわれました。こちらでは7ノッチ起動後60秒で57.5 km/hに達する加速性能で、最大動輪周引張力は3,100 kg、騒音は機関の床上搭載の効果によりディーゼル動車より低減し、減速比を大きくして燃費の良い回転数を中心に使用したことから燃料消費率は現行ディーゼル動車の1.4倍に改善しました。これらの試験結果を基にしてキハ391系気動車が製作されることとなり、1971年に再び役目を終えて除籍されました。
キハ391系は動力車を中間にしたTcMTc3両編成で、両端の先頭車(Tc)は軽合金車体で重量を軽減。さらに低床化と振り子構造を採用することで、曲線部での高速走行を可能としました。中間車には出入口とガスタービン機関だけが搭載されており、その全長は6m前後と短く、先頭車となる2両に客室を持っていました。
ガスタービン機関は石川島播磨重工業がゼネラル・エレクトリックとの技術提携によって国産化した1,100PSのものを搭載しました。
1972年4月7日から28日に川越線で慣らし運転を実施後、6月6日から9日に山陰本線・伯備線(米子 - 江尾 - 上石見)、6月20日から23日に山陽本線(岡山 - 吉永)、6月28日に山陰本線・伯備線(米子 - 黒坂 - 新見)で走行試験を行いました。10月5日の走行試験において、米子駅構内にてクラッチの破損事故が起きました。その後、減速機の改造や排気消音機の改良がおこなわれ、1973年2月13日から15日に田沢湖線(盛岡 - 田沢湖 - 羽後長野)、2月16日・17日に田沢湖線・奥羽本線(盛岡 - 大曲 - 秋田)で、2月18日には山田線で耐寒耐雪試験を行いました。
その後は高速度試験に用いられ、3月7日から9日に伯備線(伯耆大山 - 生山)、同月12日から14日に山陰本線(米子 - 鳥取)、同月22日から24日に山陽本線(岡山 - 吉永)で行われ、最高速度130km/hを記録し、振り子の性能も591系と同等もしくはそれ以上であることが確認された。
非電化線区において高速列車を走らせる構想でスタートしたプロジェクトでしたが、投入予定線区の電化、安定した運用への疑問、ガスタービン気動車の将来性などから量産化が断念されました。
海外ではアメリカ、カナダ、フランスなどで運用実績があります。
アメリカ、カナダではユナイテッド・エアクラフト・コーポレーション (United Aircraft Corporation)が製造した高速列車としてカナダでは1968年から1982年まで、アメリカでは1976年まで運行されました。両端に機関車を配置した方式で、ガスタービンエンジンで発電した電力でモーターを駆動する方式でした。
フランスではTurbotrainとして1967年にSNCFが製造、2005年まで運用され、TGV開発の基礎となりました。
キハ391系は試験終了後、長らく大宮車両センター敷地内で留置保存されていましたが、2015年初頭解体され、先頭部分が保存されることになりました。
最後まで読んで戴きありがとうございます。
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コメント
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B767-281様お早うございます。キハ07901は、鉄道ファン〈多分〉の表紙で見た記憶があります。木に竹を継いだな、と言う印象でした。表題のキハ391.カットされてしまったのですね。以前の大宮公開時点ではフル編成で残っていたのを記録しました。騒音問題で実用化されなかったと思い込んでいました。ある意味じだに遅れてしまったのですね。
投稿: 細井忠邦 | 2016年6月25日 (土) 09時21分
細井忠邦さま、おはようございます。
わたしもキハ07 901に関しては、キハ391の歴史というかガスタービン車の歴史で見た憶えがあります。
その一見,鉄仮面のようなスタイルはこちらのブログに掲載されていますね。
http://ameblo.jp/aru-king/entry-11014088127.html
キハ391の実用化、やはり騒音や燃費が問題だったのでしょうね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2016年6月26日 (日) 06時30分