千里丘、岸辺界隈での列車撮影 その5 681系「サンダーバード」 量産先行車
京阪神から北陸地方を結ぶ特急列車「雷鳥」には長らく485系が使用されて来ました。国鉄民営化後、車両の老朽化も進み、高速道路網の整備などで高速バスなどに対向した高速性と質の高いサービスの提供が求められるようになり、1992年7月に量産先行車が登場したのが681系でした。
2003/3/26 山科
私が初めて681系の量産先行車を撮影したのはこの時だったので、既に方向転換、6+3分割後でした。クロ681-1001の運転台の三角窓とスカートのボルト穴は量産先行車識別ポイントです。
2006/11/17 高槻
一方、付属編成の方は運転台三角窓が量産車との識別点となっています。
ブレーキ性能の向上を図り、踏切のある区間でも130km/h運転を目指し、湖西線や北陸トンネル内では160km/hに対応出来る性能としました。
<量産先行車>
1992年に9両編成1本、両端非貫通スタイルで製造されました。富山より先頭車がグリーン車となりました。
車体は普通鋼製で、強度が必要な箇所は高耐候性圧延鋼材、屋根板および床板にはステンレス鋼が使用されました。車体長は21160mm/20600mm(先頭車/中間車)、車体幅2915mm、車体高3550mmです。
電動車(M)-付随車(Tp)-付随車(T)3両から構成されるユニット構成とし、M車にVVVFインバータ、Tp車にパンタグラフ、変圧器、整流器、T車にCP、補助電源装置を分散搭載しました。
在来線電車では207系に次ぐ2番目のVVVFインバータ制御の採用となり、GTOサイリスタ素子によるPWM方式の1C1M制御方式(WPC3)となりました。
主電動機は定格出力190kW/hのかご形三相誘導電動機WM101が電動車1両の各軸に搭載されました。主変圧器は外鉄形密封方式のWTM25、定格容量1295kVA、主回路用二次巻線は1150kVA、補助電源回路用は145kVAとしました。
補助電源装置はGTO二重チョッパ+パワートランジスターインバータで構成されたSIV WSC22(定格容量150kVA) 、CPは先頭車に往復単動2段式水平対向4気筒である WMH3096-WTC1500、中間車はスクリュー式のWRC1600X が搭載されました。パンタグラフは下枠交差式WPS27Cが採用され、サハ680形の後位に一基搭載されました。
台車はボルスタレス台車WDT300(電動車)、WTR300(付随車)で、軸箱支持方式は軸梁式、160km/h走行にも対応させるため基礎ブレーキ装置の強化が図られました。牽引装置はZリンク式で、高速走行時の安定性確保のため、ヨーダンパとアンチローリング装置が装備されました。歯車比5.22です。
空調装置は圧縮機とエバポレータ分離、セパレート方式のWAU302で1両あたり2基搭載され、冷房能力は36,000kcal/hです。
落成当初の編成の構成
←和倉温泉/富山 大阪→
9 8 7 6 5 4 3 2 1
Tsc T M T M T T M Tc
681-1 680-101 681-201 680-201 681-1 681-101 680-1 681-101 680-1
定員 39 68 68 46 72 68 72 68 64
SIV CP BAT SIV CP BATT SIV CP BATT
WC/TEL WC/TEL WC/TEL WC/TEL
車掌室・業務用室
多目的室/車椅子対応
プチカフェテリア
0番台 客室+出入り台
100番台 便所、洗面所
200番台 その他の設備 で番台区分されています。
量産車では大阪~富山間で運行される3往復を金沢で分割併合し、基本編成6両が七尾線に乗り入れするため、クロ681形を大阪よりに連結することに
量産車にあわせた編成の方向転換後 1995年
この改造は鷹取工場、吹田工場、松任工場で施行されましたが、阪神淡路大震災で鷹取工場の事務所が倒壊し、改造図面が紛失しました。そのため、設計担当者と現場作業者が一緒に改造を進めることとなり、さらに主電動機が立体棚から落下するという不運も重なり、量産車の予備主電動機を制御器のプログラムを書き換えたうえで使用するという事態にもなったそうです。
クロ681-1001 元9号車クロ680-1 出入り口を移設、車体後位に洗面所・洋式便所を追加、方向転換、1号車に
モハ681-1201 元7号車モハ681-201 方向転換 3号車に
クハ680-1001 元1号車クハ680-1 出入り口を移設、車体前位に洗面所・小便器・洋式便所・自動販売機を追加 9号車に
サハ680-1001 元3号車 方向転換、7号車に
モハ681-1001 元5号車 方向転換、8号車に
サハ680-1101 元8号車 方向転換、2号車に
サハ680-1201 元6号車 方向転換、4号車に
モハ681-1101 元2号車 方向転換、5号車に
サハ681-1101 元4号車 方向転換、6号車に
←和倉温泉/富山 大阪→
9 8 7 6 5 4 3 2 1
Tc M T T M T M T Tsc
680 681 680 681 681 680 681 680 681
-1001 -1001 -1001 -1101 -1101 -1201 -1201 -1101 -1001
この改造後も量産先行車は分割併合のない列車限定の9両固定編成として運用されていました。
6+3分割可能編成へ 2001年9月
6,7号車の付随車を制御車に改造しました。また、後年登場した683系0番台と車内設備を統一する改造もなされました。
3号車 モハ681-1201 業務用室および車掌室を撤去し、車体前位に出入口を追加してモハ681-1051に改番。
4号車 サハ680-1201 プチカフェおよび電話室を撤去し、業務用室・車掌室・自動販売機・車内販売準備室を設置してサハ680-1301に改番。
6号車 サハ681-1101 洗面所・小便器・洋式便所を撤去した車体前位寄りに貫通運転台を追加してクハ681-1501に改名。
7号車 サハ680-1001 車体前位に貫通運転台を、後位に洗面所・小便器・洋式便所・公衆電話を追加してクハ680-1501に改名。
8号車 モハ681-1001 車体前位の出入口を撤去し、自動販売機を設置してモハ681-1301に改番。
9号車 クハ680-1001 洗面所・洋式便所・自動販売機を撤去し、車いす対応設備(座席・便所)を追加してクハ680-1201に改番。
←和倉温泉/富山 大阪→
9 8 7 6 5 4 3 2 1
Tc M Tc Tc M T M T Tsc
680 681 680 681 681 680 681 680 681
-1201 -1301 -1501 -1501 -1101 -1301 -1051 -1101 -1001
2015年1月28日に681系の量産車に対してリニューアル工事が実施されることになりましたが、量産先行車は対象外とされました。
そして、量産先行車に関しては2015年3月15日の北陸新幹線長野~金沢間開業で運用面で余裕が出たら廃車の方針でしたが、3両付属編成V01編成は2015年9月9日付けで廃車となり、681系列の廃車第1号となりました。基本6両編成もリニューアル工事の完了後に廃車の予定とのことです。
最後まで読んで戴きありがとうございます。
上のリンクをクリックされると面白い鉄道記事満載のブログ村。もしくは鉄道コムに飛ぶことができます。
« 千里丘、岸辺界隈での列車撮影 その4 281系「はるか」 | トップページ | 千里丘、岸辺界隈での列車撮影 その6 681系「サンダーバード」 量産車 »
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 2023年晩夏の関西旅行 大阪メトロ編 その2 中央線を走る車両 Part3 新20系 (24系)(2024.09.11)
- 2023年晩夏の関西旅行 大阪メトロ編 その2 中央線を走る車両 Part2 2代目 20系(2024.09.10)
- 2023年晩夏の関西旅行 大阪メトロ編 その2 中央線を走る車両 Part1 20系投入まで(2024.09.09)
- 速報版 2024年晩夏 京都の旅 3日目 嵐電から始まり、阪急PRiVACE、JR、阪急2300系で締めくくり(2024.09.05)
- 速報版 2024年晩夏 京都の旅 2日目 午前中は嵐電、午後は叡電を満喫(2024.09.04)
「電車681系」カテゴリの記事
- 2022年夏 名古屋遠征 特急「しらさぎ」 681系0番台、2000番台、683系8000番台の時代(2022.09.23)
- 速報版 愛知/三重の旅 1日目 豊橋から四日市へ(2017.08.05)
- 「はくたか」で活躍した681系、681系2000番台そして683系8000番台(2016.11.20)
- 千里丘、岸辺界隈での列車撮影 その6 681系「サンダーバード」 量産車(2016.10.10)
- 千里丘、岸辺界隈での列車撮影 その5 681系「サンダーバード」 量産先行車(2016.10.09)
« 千里丘、岸辺界隈での列車撮影 その4 281系「はるか」 | トップページ | 千里丘、岸辺界隈での列車撮影 その6 681系「サンダーバード」 量産車 »
コメント