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2017年3月30日 (木)

大井川鐵道 元近鉄16000系

16000系は近鉄南大阪線・吉野線(狭軌1067mm)向けに設計された特急用車両で1965年3月18日から大阪阿部野橋~吉野間で営業運転が開始されました。

16000_7603 1976/3 大阪阿部野橋

東海道新幹線の開業でそれまでの名阪特急を代表とする特急構成から狭軌のため他の線区の車両の乗り入れができない南大阪・吉野線にも大阪線に準じた特急車両を走らせることになり、南大阪線用通勤車6900系用の主電動機に特急用制御器、台車を組み合わせた狭軌線用の特急車として1965年3月18日
モ16000形+ク16100形 の2形式からなる2両編成2本が近畿車両で竣工しました。その後、1977年12月22日竣工の第9編成までが製造されました。第8編成はモ16050形サ16150形を中間に挟んだ4両編成となりました。

16000_7603_2 1976/3 樫原神宮

車種・形式は
モ16000形
    大阪阿部野橋方制御電動車 (Mc) 。
  車内販売準備室を設置。定員64名。
ク16100形
    吉野方制御車 (Tc) 。電動発電機と空気圧縮機を搭載。
  洗面所・トイレを設置。定員64名。
モ16050形
    中間電動車 (M) 。定員76名。
サ16150形
    付随車 (T) 。電動発電機と空気圧縮機を搭載。
  洗面所・トイレを設置。定員72名。

このため、必要に応じて、2,4,6,8両の編成を組むことができました。

16102_170312 2017/3/12 新金谷 モ16002 

車体は南大阪・吉野線の車両限界に合わせて最大幅を2,740mmに縮小し、側窓幅を20mm拡大して1,620mmとし、屋根高さをやや低く変更したため窓高さも50mm縮小して700mmとし、さらに妻面貫通扉窓の上下寸法を拡大しました、全長20m級鋼製車体としました。

16002f_170312 22017/3/12 川根温泉笹間渡 ク16102

客用扉は当時の近鉄特急車の標準であった750mm幅の2枚折戸を備え、モ16000形とク16100形およびサ16150形の車端部客用扉の外に置かれた側窓1枚分のスペースは、モ16000形が車内販売準備室、ク16100形とサ16150形が洗面所・トイレにそれぞれ割り当てられました。サ16150形については吉野方客用扉に隣接したスペースに補助席が4名分設けられました。

Dsc00123
座席はシートピッチ935mmの回転クロスシートで、1977年竣工の第9編成のみは当時淘汰が始まっていた10100系新ビスタカー」からの廃車発生品が流用されました。

新造時には全車とも車端部にデッキは設置されておらず、直接客用扉から客室へ入る構成となっていました。

特急標識は逆三角形の大型(1977年竣工の第9編成のみはホームベース型)のものを備え、塗装はオレンジと紺の近鉄特急車標準色です。

冷房装置は、冷凍能力4,500kcal/hの東芝RPU-1103ユニットクーラーを各車6基ずつ屋根上に搭載しています。

Dsc00122

特急車であるものの、主電動機については前述のように通勤車6900系(のちの6000系)と同一のものを使用しており、歯数比も同一としました。走行性能はMT比1:1の6000系と同等であり、起動加速度2.3km/h/s、平坦線釣合速度は125km/h、33‰勾配時の釣合速度は71km/hです。

主電動機は設計当時狭軌用WNドライブ対応電動機として最強を称した三菱電機MB-3082-A(端子電圧340V時1時間定格出力135kW)を電動車に4基ずつ搭載しました。低回転・強トルク特性ながら、高回転時の電機子反作用を界磁に付加した補償巻線で打ち消すことで弱め界磁制御による安定した高速特性を実現しました。

主制御器は日立製作所MMC-HTB-10F電動カム軸式自動加速制御器を電動車に搭載しました。

台車は全て近畿車輛製のシュリーレン式空気ばね台車です。

1977年
より、特急標識が増解結時に支障を来さない小ぶりなホームベース型の電照標識に取り替えられました。さらに前面帯の下辺も一直線から12000系に合わせた形状となりました。第1編成が竣工から20年を経過した1985年以降、内装を中心とした車体更新工事が開始され、化粧板の交換や座席の一斉自動転換式リクライニングシートへの交換、デッキの新設が順次施工されました。

1997年に後継車となる16400系が製造された際に、第1・第2編成の2両編成4両が代替廃車となり、これらは大井川鐵道へ譲渡されました。2002年に第3編成が廃車され、第1・2編成同様大井川鐵道に譲渡されました。

Img_7954 2017/3/12 第一橋梁

大井川鐡道では近鉄時代「特急」表示のあった電照式表示器部分に「金谷-千頭」との行先を表示しており、ワンマン運転対応改造に伴う最前部1列の座席の撤去とトイレ・洗面所・車販準備室の封鎖を実施した以外は、塗色をはじめ内外装ともほぼ近鉄時代そのものの状態で運用されています。

第1・2編成はリクライニングしない回転式シート、第3編成は座席のリクライニング機構もそのまま残されました。譲渡当初は急行列車に積極的に使用され、2003年の急行廃止後は普通列車の主力として活躍しています。

Img_8097
2014年3月のダイヤ改正により普通列車が減便され、同年9月頃から第1編成が運用を離脱。新金谷車両区に留置された後、十和田観光電鉄から譲渡された7200系と代替になるため2015年1月に大代側線で解体されました。

Dsc00079 2017/3/12 新金谷 ク16103

Img_7840 2017/3/12 新金谷 モ16003

16103Fはクとモに分かれて、新金谷の車両基地にいました。

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コメント

B767-281様お早うございます。近鉄特急いいですね。今日では当たり前になってきましたが、近鉄特急は所謂インフレナンバーのはしりのように思います。東の某会社など通勤電車を線区毎に千番単位で分けています。その点私が日々利用している京王は9000は越えず、番号的には先祖返りしています。さて、環状線ですが、時間の関係もあって323系は見るだけになりました。まあ、これから何時でも乗れるからいいかな、と思いました。奈良線の103系は元気です。

細井忠邦さま、おはようございます。

確かに現在、多くの大手私鉄は5桁の形式番号になっていますが、その嚆矢は近鉄でしたね。
東武などはそのうちに5桁もいっぱいになりそうな感じがしますね。
京王や東急はその点しっかり、2代目ナンバーで4ケタを守っていますね。その辺も各社ポリシーがあるのでしょうね。

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