大井川鐡道井川線に乗って その2 アプト式区間で活躍するED90電機について
大井川鐡道井川線の乗車記録、2回目は長島ダムの建設で水没する旧線に代わって登場した新線アプト式区間と、その区間で列車の推進、抑速を担当するED90形電気機関車についてです。
アプト式区間はアプトいちしろ駅から長島ダム駅間1.5kmで標高差は89mです。全線のうち、この区間のみ直流1500Vで電化されています。碓氷峠の67‰を超える90‰の勾配のためと、早期に建設をするためにラック式鉄道のアプト式が採用されました。
2015年に設置された横断幕?
1990年10月2日、アプトいちしろ - 接岨峡温泉間を新線に変更し、川根市代駅を移転してアプトいちしろ駅に、川根長島駅を接岨峡温泉駅に改称しました。長島ダム駅、ひらんだ駅、奥大井湖上駅が開業し、大加島仮乗降場、川根唐沢駅、犬間駅が廃止されました。
2017/3/11 アプトいちしろ
列車がアプトいちしろ駅に到着すると待機していたED90が後部に連結されます。アプト式区間ではDD20は無動力となり、ED90の推進・抑速だけで勾配を上下します。
ED90形は1989年に日立製作所で3両製造されました。
台車の上に見える3個の電動機 両側の2個が走行用、真ん中がラック歯車用かと思われます。
走行用にHS-2228形電動機(53kW)を4基、、ラック歯車駆動用にHS-22337形(175kW)を2基搭載しています。
制御方式は抵抗制御で、制動装置は多重系統とし、発電ブレーキを常用し、自動空気ブレーキ、保安空気ブレーキ、ラックホイール用ばねブレーキ、非常短絡発電ブレーキなどが装備されています。また過速度検知装置 (OSR) も装備されており、降坂時は19km/hを超過すると非常ブレーキが作動する仕組みとなっています。
ED90の車高がDD20などに較べていかに高いかがよくわかります。また、機関車の連結誘導は列車に乗務している車掌が行います。
ED90形の車体はDD20形ディーゼル機関車などと併結すると明らかなようにすごく縦長の形態をしていますが、これは狭小な車両限界において様様な機器を搭載するためと言われています。
3両のED90形が如何にしてアプトいちしろ駅まで運ばれたのか、途中のトンネルなどはどうやって通過できたのかは、こちらのサイトに写真があるように、車体と台車を切り離し、小径車輪を使用した仮台車に載せて回送されたとのことです。
車両基地はアプトいちしろ駅にあり、日常の検修はここで行われ、重要部検査、全般検査は車両区や外注先へ搬送して行われるそうです。
車両基地の1号機と3号機 屋根上のホイッスルの形態が違います。
金谷より1エンド側の警笛は3両それぞれに形態、音色が異なっているそうです。ED901はスイス連邦鉄道(スイス国鉄)のスイス国鉄Ae4/7形電気機関車に装備されていたものを譲り受け、(アプト式区間開業を祝って贈呈された)ものであり、ED902は名古屋鉄道の初代モ1010形に装備されていたドイツ製のものを使用、ED903は日本製(クラリオンAW2型)を使用しています。
ラックギアがレール上面から低い位置にあるため、ED90の走行する区間のポイントはギアとの干渉を避け、フログ部分だけでなくラックギアの位置と干渉するリード部分のレールも可動とした特殊な二段動作式のポイントを採用しているそうです。
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コメント
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こんばんは。
1990年に新線切り替えがあったのですか。それで全体的に新しい感じなんですね。知りませんでした。
投稿: MiO | 2017年3月15日 (水) 23時32分
MiOさま、おはようございます。
わたしもテレビの紀行番組などで観て、奥大井湖上駅などは随分新しいなと感じていたのですが、今回訪問してその訳が分かりました。百聞は一見に如かずですね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2017年3月16日 (木) 05時24分