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2017年4月 3日 (月)

大井川鐵道 蒸気機関車 C56形式 44号機

大井川鐵道で活躍中の蒸機、今回はC56形式44号機です。

C56_44_170311_37 2017/3/11 千頭 C108号機と重連で千頭に到着後の入れ換え風景

日本仕様で営業運転に入ってから前面ナンバープレートの形式入りになったそうです。

映画やテレビドラマなどで蒸気機関車の登場するシーンでお馴染みのC11227号機1976年のSL復活運転から走り続ける同社の看板機関車ですが、今回はお目にかかる機会がありませんでした。

ということでC5644号機ですが、私も「世界の鉄道’72」で若い頃、C56形蒸機について初めて勉強した時に、全製造機のうち、1-90の90両は軍部により、供出され、タイ・ビルマに送られたと知りました。

C56形式はC10形~C11形~C12形とタンク機関車が簡易線向けに開発される中でタンク機で航続距離が不安になる比較的長距離の線区向けにC12形から水槽と炭庫をはずし、テンダー式に設計しなおしたのがC56形式でした。これはドイツにおける64形タンク機と24形テンダー機の設計手法を参考にしたとも言われているそうです。

C56_44_170311_27
簡易線で終端駅に転車台が設置されていないためにバック運転になる場合も後方視界が確保出来るようにテンダーの炭庫側面が大きく欠き取られているのもC56形式の特徴でした。ただ実際は従輪がないため、逆機運転での走行特性はあまり良くなく、脱線も多発したので入れ換え時以外の逆機運転はあまり行われなかったそうです。

1935年から量産され、

    1935年:C56 1 - 24(24両)
    1936年:C56 25 - 87(63両)
    1937年:C56 88 - 121(34両)
    1938年:C56 122 - 154(33両)
    1939年:C56 155 - 160(5両) 

5次に渡り、量産されました。

製造は

川崎車輌   22両  (6-11, 49-58, 89,90, 155-160)
汽車製造 24両 (12-14, 23-26, 59-67, 112-119)
日立製作所 40両 (1, 2, 15, 16, 68-73, 91-95, 102-106, 127-146)
日本車輛製造 27両 (17-19, 27-37, 74-78, 96-98, 120-122) 
三菱重工業 47両  (3-5, 20-22, 38-48, 79-88, 99-101, 107-111, 123-126, 147-154)

と5社が担当しました。これら以外に樺太庁鉄道C52形として4両(1-4)が日本車輛製造で、雄別鉄道の発注による1両(1001)を三菱重工業が製造しました。

軍部による供出では

・車輪のタイヤを特殊形状のものと嵌め換え、軌間を1mへ変更
・空気ブレーキを真空ブレーキに変更
・除煙板を撤去
・薪を燃料とするため、焚口を拡大し、炭水車の炭庫上部を柵で囲う
・連結器を交換

などの改造が施されました。

タイへ送られた機関車は泰緬鉄道の主力機関車として運用されましたが、太平洋戦争の激化により、爆撃・銃撃をうけた車両も多く、線路状況が悪かったため、橋から脱線転落した車輛や撤退に際して置き去りにされたり、ボイラーに爆薬が詰められ機関車とともに自決の運命を辿ったケースもありました。

戦後、泰緬鉄道の復旧でタイ国鉄700形(701-746)として1980年代前半まで使用されました。現在でも713(C5615)、715(C5617) がトンブリ鉄道工場で動態保存されているそうです。

C56_170311 2017/3/11 千頭
駅構内に保存されている泰緬鉄道~タイ国鉄時代のC5644号機が履いていたメーターゲージ動輪(第一動輪) 第二・三動輪は大阪共栄産業((株))に保存されているそうです。

1979年725(C5631)735(C5644)が日本に里帰りすることになり、31号機は靖国神社の遊就館にて静態保存、44号機は大井川鐵道で動態保存されることになりました。1067mmの動輪はC1293のものが使われたそうです。

沖田祐作氏の機関車データから同機の履歴を見てみると
C5644      三菱重工業神戸造船所=179          1936-03-06 S37.60t1CT(1067)
  車歴;1936-03-06 製造→ 納入;国鉄;C5644→ 配属;札幌局→ 配置;苗穂→
      1941-12-18 廃車;苗穂→ 陸軍供出→ タイ国鉄;735→1979-06-00 日本帰還→
      1979-06-29 大井川鉄道;C5644→1980-01-29 営業運転開始→2003-00-00 ボイラ不良休車→
      2007-02-00 復旧工事施行(ボイラをC12208 号のものと交換)→
      2007-09-04 火入式挙行→2007-10-07 営業運転再開

1936年3月6日に竣工し、供出前は札幌局札幌(苗穂)機関区に新製配置でした。1936年10月5日、恵庭市で開催された陸軍大演習では恵庭~札幌間でお召し列車を牽引した実績もありました。1970年代半ばにタイ国鉄で廃車となり、チュンポン駅で放置されていましたが、日本人研究家により発見され、1979年6月25日に帰還となりました。

C5644_170312_2 2017/3/12 新金谷

大井川鐵道では1980年1月29日から営業運転が開始されました。2000年には老朽化が著しくなったため大修理が行われましたが、2003年にはC11190号機の入線もあり、12月17日より、休車扱いとなり、一時千頭駅に保管もされました。2006年9月に、再整備が開始され、ボイラーはC12208のものが流用され、2007年、日本とタイの修好120周年を記念してタイ国鉄時代の姿に復元され、10月7日に再び営業運転を再開しました。2010年の定期検査で日本仕様に戻され、2011年1月29日から営業運転に復帰しました。2015年、2016年夏には機関車トーマスシリーズのジェームス号として運転されました。

C56_447e501_170312

2017/3/12 第一橋梁

単独では客車3両が牽引許容だそうですが、後部にE10形電機がサポートに就いているので客車7両の牽引が許されているようです。

    全 長:14.325m
    全 幅:2.936m
    高 さ:3.900m
    重 量:37.63t(空重量34.27t)
    炭水車重量:27.90t(空重量12.90t)

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