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2017年5月21日 (日)

Boeing 787、開発から就航当初のトラブル その2

2012年1月14日、ANAが受領した787が初の定期国際線として、羽田~北京間に就航しました。さらに1週間後の1月21日には羽田~フランクフルト間にも就航しました。

この時期、新型機につきもののトラブルは結構発生したようですが、777のときに較べれば少なかったとのことです。

Ja828j_boeing_787846_38438_70_17050 2017/5/1 HND JA828J Boeing 787-8 38438 70 
ボストンで火災を起こしたJA829Aはまだ遭遇していないのでJA828Aの写真を貼ります。

しかし、2013年1月7日、ボストン・ローガン空港でJAL008便で到着し、乗客172名・乗員11名が降機した現地時間の午前10時半頃ですが、駐機中だったの787(JA829J)の後部貨物室付近のAPU用のリチウムイオンバッテリーから火災が発生し、バッテリ-が激しく焼損し、周辺の機器類も損傷する事故となりました。幸い、機内にいた整備員、清掃作業員に負傷者等は出ず、FAAやNTSBによる事故調査が開始され、ボーイング社やJALも調査に協力しました。

787は電気飛行機と言われるくらい、エンジンの燃費効率を上げるため、従来エンジンから取り出していた高温高圧の空気、油圧ポンプの駆動を極力減らし、発電機を回し、そこから得られた電気でモータを回して従来のこういった動力に対応する方式となりました。

バッテリーは発電機が故障した際のバックアップのために用意され、トーイング中の電源、APU始動のための電源としての主バッテリーは前部電子機器室、APUバッテリーは後部電子機器室に配置されていました。また航空機用のバッテリーは従来はニッケル・カドミウムバッテリーでしたが、メモリー効果があるため、浅い充放電の繰り返しで容量が著しく減少する問題点がありました。リチウムイオンバッテリ-はこういった問題点を解消した理想的なバッテリーで自己放電率が低く、充放電を1000回以上繰り返せるメリットがありました。

炎上したリチウムイオンバッテリーは日本のGSユアサ製で電気システムはフランスのタレス社の設計でした。

Ja806a_boeing_787881_34515_40_17050 2017/5/3 NRT JA806A Boeing 787-8 34515 40
こちらもJA804Aに遭遇していないのでJA806Aの写真を貼っておきます。

ボストンの事故からわずか一週間余りの1月16日NH692便として山口宇部空港を離陸し、上昇中だった、ANAの787-8(JA804A)が8時27分頃、四国上空の高度37000ftにて、主電池の不具合を示す表示と共に操縦室内で異臭を感知、急遽目的地を羽田から高松に変更し、8時47分頃着陸し、同49分頃誘導路T4上で非常脱出を行うことになりました。この際、乗員7名乗客129名のうち、乗客3名が軽傷を負う事態となりました。

フライトレコーダの解析結果から、主電池の電圧は機体が高度32000ft通過後から低下しはじめ、その8秒後に31Vから11Vに低下したことが明らかとなり、主電池ケースのアース線が断線しているのも発見され、大電流が流れた可能性が考えられました。

2013年7月12日、夕刻、ロンドンヒースロー空港に駐機中のエチオピア航空の787-8(ET-AOP)の後部から火災が発生する事故が起きました。またもやリチウムイオンバッテリーの事故かと疑われましたが、これは航空機用救命無線機(ELT)の電池が原因と判明しました。

1月に相次いだリチウムイオンバッテリーの事故で787は運航停止となり、ボーイング社のリチウムイオンバッテリ-再発防止策
・バッテリーのセル間の隔壁を強化し、ひとつのセルの加熱が他のセルに伝達しないようにする
・隣接するセルへの延焼防止
・全セルが発火しても機体の内部構造、配線に影響が及ばないように電池全体を金属製の容器に収納し、適切な排気システムを装着
が提案されました。
今回の事故ではなぜ電池が過熱して熱暴走するに至ったかその根本原因は解明されておらず、上記の改善策は熱暴走した際の対処に過ぎないといった批判がありましたが、3月25日と4月5日に改修された電気ボックスを搭載した787の飛行試験が行われ、JALとANAの機体の運航が許可されました。運航再開は5月26日でした。

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旅客機 Boeing 787」カテゴリの記事

コメント

B767-281様お早うございます。真夏のような気候になりましたね。787の問題は実は根本的に解決されていない、と思います。所謂対症療法に過ぎず、またバッテリーが老化してきた頃が恐いなと思います。根っこはアメリカの技術力の低下ではないでしょうか。日本も含めて雇用が安定しなければいい製品はできないのではないでしょうか。政治の腐敗も嘆かわしいです。「共謀罪」もし通してしまったら私自身も危ないと思っています。大統領が汚職をはたらけば逮捕されるお隣や、不正をしたら弾劾まで行きそうな海の向こうのお国の方がまだまともかもしれません。なんとかしなければと思います。

細井忠邦さま、おはようございます。

仰る通り、787のリチウムイオンバッテリーのトラブルというのはトラブル自身が実験等で再現できていないため、なぜバッテリーが熱暴走するのか、原因は不明なんですね。
あくまでも熱暴走した際に、こうしておけば大丈夫という措置が講じられて今は飛行中という感じですね。

そもそもは燃費向上のために従来のエンジンから吸気したり、動力を取り出すのを極力減らすためにこうした電気システムを多用した訳ですが、その方向性が正しかったのかはAirbus社の進め方や今後のBoeing機の方向性で判断されるのでしょうね。

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