JAレジのA320 ANAが導入、一旦は737に機材統一されるも再び
ANAは1960年代に英国製のビッカース・バイカウントやオランダ製のフォッカー・F-27フレンドシップといった欧州製のターボプロップ機を導入し、JALのDC-4に対抗していた時代がありました。それが今日の繁栄の礎になっています。
それらが引退した後Boeing 737-200の時代が続き、737の更新時期となる1990年代初頭に導入する後継機の検討は1980年代半ばから開始され、150~160席クラスのAirbus A320、Boeing 737-400, McDonell Douglas MD-88の3機種に絞られ、1年間近く選定作業が行われました。
その結果、操縦性、先進技術の採用による信頼性、低騒音、快適性などからAirbus A320に決まりました。1986年12月に確定13機、オプション7機が発注され、ジェット化以降初めて欧州機が導入されることとなり、エンジンはCFM56が選ばれました(このときの選択肢にはV2500がありました)。
Airbus A320は1984年3月に開発がスタートし、アメリカ製の737やMD-80よりも後発であることから、新しい設計思想とテクノロジーが盛り込まれ、ハイテクが最大のセールスポイントでした。その代表がフライ・バイ・ワイヤ(FBW)システムで従来のケーブルで指令が伝達されるのに変わり、電気信号で操舵されることで、重量軽減、エラーの除去などから安全性の向上がアピールされました。さらに、737とキャパシティは同じながら、床下にコンテナを搭載できる点も大きなメリットとなっていました。
1998/5/3 CTS JA8382 Airbus A320-211 139
初号機JA8382は1991年2月9日に羽田に到着しましたが、トゥールーズからのルートは湾岸戦争で南回りルートが使えなかったために大西洋アゾレス諸島~ワシントンDC~ロサンゼルス~ホノルル~マジュロ~グアムを経由しました。
1998/12/1 NGO JA8387 Airbus A320-211 196
JA8387の他、JA8389, JA8390、JA8391などがANKタイトルになりました。
路線就航は1991年3月16日の羽田~山形線でした。エアーニッポンとの共同事業機として使用され、ユーロサルーンの愛称が与えられ、ANKのタイトルとなった機体も4機いました。
1996年1月には胴体延長タイプのA321を7機発注、1998年4月に就航となりますが、エンジンがV2500に選定されたため、グループの機種統一戦略から外れ、2008年には7機とも退役となったことは以前の記事で記述した通りです。
A320もBoeing 737NGへの機材統一で2005年度以降退役の方針が決定しましたが、国内ローカル線やソウル線などでその有用性が見いだされ、2007年にはオペレーティングリースで5機の追加導入が決定されました。
2009/10/18 PVG(上海浦東空港) JA205A A320-214 3099
このときに導入されたJA204A~JA208Aはビジネスクラス20席、エコノミークラス90席の2クラス・コンフィグとなりました。
2003/7/13 FUK JA201A 1973
実働わずか6年と短いANA機での活躍だったJA201A
2008年になると退役が始まり、3月にJA8381,5月にJA8383が去り、2009年にはリースで導入されたJA201A、JA202Aもフリートから離脱しました。2012年には5機の国際線仕様機がリースバックされ、2014年にはグループ会社のバニラエアに3機がリースと実働機数は最盛期の半数以下に減って行きました。
しかし2014年3月27日、ANAホールディングスの長期的機材計画でBoeing 777-9をはじめとして5機種70機の大量発注が発表され、A321neoが23機、A320neoが7機導入されることが明らかにされました。
2017/5/3 NRT JA211A Airbus A320-217N 7401
2016年12月に受領したA320neoのJA211A、既にJA212Aも就航しています。
Boeing737NGへの機材統一の方針を覆したのは、Boeing社だけではなく、競合する機体メーカの機体を導入することで機材投資額を抑制できるという世界的な潮流に乗った経営戦略判断の結果と言われています。
最後まで読んで戴きありがとうございます。
上のリンクをクリックされると面白い鉄道記事満載のブログ村。もしくは鉄道コムに飛ぶことができます。
« 日曜日は羽田空港でSpotting 2 日本の航空会社編 | トップページ | Boeing 787、開発から就航当初のトラブル その1 »
「旅客機 Airbus A318/A319/A320/A321」カテゴリの記事
- 2019/8/31 久しぶりの成田空港 その23 セブ・パシフィック航空 A320neo(2019.10.10)
- 2019/8/31 久しぶりの成田空港 その21 セブ・パシフィック航空 A320(2019.10.08)
- 2019/8/31 久しぶりの成田空港 その19 エアプサンのA321(2019.10.06)
- 2019/8/31 久しぶりの成田空港 その18 エアプサンのA320(2019.10.05)
- 2019/8/31 久しぶりの成田空港 その17 Air Seoul(2019.10.04)
コメント
« 日曜日は羽田空港でSpotting 2 日本の航空会社編 | トップページ | Boeing 787、開発から就航当初のトラブル その1 »
B767-281様お早うございます。全日空も日本航空もようやくアメリカの呪縛から抜け出したな、と思います。経営上からも安全性からも複数の会社の機体を持った方が良いと思います。是非はともあれA380も楽しみです。
投稿: 細井忠邦 | 2017年5月19日 (金) 06時15分
細井忠邦さま、おはようございます。
ライバル会社の製品を両方とも購入することで機材調達の費用を抑えるというやり方
航空会社ではルフトハンザなどでも見られますが、鉄道会社ではまだあまり聞いたことがないですね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2017年5月20日 (土) 05時41分
全日空のA320は、特に国際線に乗り継ぐわけでもないのに、中部=成田という路線で利用しました。
株主優待券消費のためだったかと思いますが、外見はキレイなのに意外と機内の座席が分厚く一昔前の旅客機、というような印象を受けたのを覚えています。
旧世代のA320は、とうとうシートを更新されずに引退を迎えるようですね。
投稿: にゃんきち | 2019年1月25日 (金) 23時20分
にゃんきちさま、おはようございます。
A320というのも思えばセールスの長い飛行機ですね。特に国際線用は再デビューという感じで出てきました。あのクラスだからなんでしょうね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2019年1月26日 (土) 05時53分