四日市あすなろう鉄道 近鉄260系電車の登場前から活躍している車両
昨日の記事の書き出しで触れましたが、内部・八王子線近代化で260系が登場する前から活躍しており、260系登場後も活躍している車両とは、
ク110形・サ130改造のサ120形、そしてモニ220改造のサ120形です。
2017/8/6 四日市
ク115引退後、残された1両として活躍を続けるク114
まず、ク110形・サ130改造のサ120形は1950年代初頭に三重交通に在籍していた種々雑多な木造客車の代替・陶太を目的として1954年にサ360形半鋼製車体の付随車として製造されました(北勢線の記事で登場しました)。同形式は8両が製造されました。
ナニワ工機が開発した車両で丸みが多い準張殻構造の軽量車体で、同社は当時、奈良電気鉄道デハボ1200・1350形、下津井電鉄モハ102・クハ22など、日本各地の地方私鉄に車両を供給しており、同じ関西の帝国車輌と協力体制を確立して納期等の調整を行っていたことが伺われます。
構体は全溶接構造の鋼製ですが、窓下にウィンド・シルと呼ばれる補強用の帯板があり、内装および床板は木製です。
設計段階で将来の制御車への改造を想定して2位より(内部・八王子より)に乗務員室が設けられ、標識灯が妻面車掌台側窓下に1灯埋め込み式で取り付けられていたそうです。
側窓は上段Hゴム支持固定窓、下段上昇式の所謂、バス窓でした。屋根は雨樋を高い位置に設けた張り上げ屋根構造で側扉上部には水切りと呼ばれる小型の雨樋が設けられました。
座席は全車、ロングシート仕様です。
台車は住友金属工業の一体鋳鋼側枠装備の軸バネ式台車を履き、これは本来気動車用の台車で下津井電鉄のクハ22・23でも同様の台車が採用されたそうです。
1965年の三重電気鉄道の近畿日本鉄道への吸収合併でこれら8両はサ130形131-138に改番されました。
近鉄内部・八王子線には3両、北勢線に5両という配置になりましたが、サ131・133は従来の乗務員室部分を撤去し、260形に準じた構造の運転台ユニットが取り付けられ、四日市より妻面には貫通路が設置されました。
内装も260系に準じてメラミン樹脂化粧板とアルミ型材による近代的な仕様に全交換、側面幕板部への車外スピーカーの設置、HG-583Mrb電動発電機とDH-25空気圧縮機を搭載、ブレーキを中継弁付きのACA-Rへ交換、台車も新製のKD-219Eへ交換されるなど、構体を流用しただけでほとんど新造に等しい大改造が実施され、塗装が特殊狭軌線新標準色に変更されたこともあり、かろうじて側面窓がバス窓のまま残されている以外は面目を完全に一新しました。
ク110形115は2017年6月1日の営業運転をもって引退しました。
サ120形に関してはモニ220形から改造車とク110形への改造を漏れたサ132があり、同車はサ124に改造され編入されました。
この際の改造メニューは他形式に準じ、構体を残して総ばらしを行い、内装の軽合金製部品による不燃化、貫通路および車外スピーカーの設置、乗務員室撤去と乗務員扉部分の埋め込み、ブレーキのATA-R化などが実施されましたが、台車はオリジナルの住友金属工業製が残されました。
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