四日市あすなろう鉄道になった内部・八王子線の歴史
ナローゲージ続きで、今回からは現在は近畿日本鉄道と四日市市が主要株主で四日市市が第三種鉄道事業者、四日市あすなろう鉄道が第二種鉄道事業者として運行している内部・八王子線について触れようと思います。
2017/8/6 近鉄四日市駅高架下の空間にあるあすなろう四日市駅ホーム
いつものようにまずはその歴史から見てみます。
馬車鉄道やそれに準じる鉄道として公共の運輸を目的に道路に敷設する鉄道に適用される法律に軌道条例がありますが、これが制定されたのは1890年(明治23年)8月23日でした。1911年12月28日に設立された三重軌道は1912年10月6日、軌道条例に基づいて南浜田駅 - 日永駅間を開業しました。1913年5月16日には諏訪前駅 - 南浜田駅間、1915年12月25日には四日市市駅 - 諏訪前駅間が開業しました。
1916年7月19日、三重鉄道が新たに設立され、三重軌道が設置した上記の路線は廃止され、1910年4月21日に公布、8月3日から施行された軽便鉄道法(1900年から施行された私設鉄道法が厳格すぎて敷設出願がほとんどなかったため、手続等を簡略化し、地方鉄道の建設を推進するためとされています)に基づいて同区間は軽便鉄道として開業しました。鉄道を敷設営業する際に、何を根拠に営業しているかが重要なようで、軌道から鉄道への乗り換えには設置法に基づいた組織替えが必要なことが分かります。
1922年6月21日には鈴鹿支線として日永駅-内部駅間が開業、1928年1月29日には現在の近鉄名古屋線の前身である伊勢電気鉄道の桑名延伸(泗桑線)に際して、四日市市駅 - 諏訪駅間を廃止し、路線敷を伊勢電気鉄道に譲渡しました。
1944年2月11日、以前にも出てきましたが戦時統合で三重鉄道他6社が合併して三重交通が発足、湯の山線、八王子線を合わせて三重線となりました。内部線の名称が制定されたのは同年3月1日でした。
1956年に四日市市内でカーブが連続していた名古屋線海山道駅 - 川原町駅間の経路を変更した折、内部線の起点が諏訪駅から近畿日本四日市駅(現在の近鉄四日市駅)に変更されました。この時、かつて伊勢電気鉄道に譲渡した区間は、三重鉄道の後身の三重交通に返還されずに廃止となりました。その後、1964年2月1日、三重電気鉄道を経て1965年4月1日に近畿日本鉄道への吸収合併で同社の路線となりました。
経営状態が芳しくないことから近鉄は2012年8月21日四日市市などに対してバス転換、BRT:bus rapid transit方式を提案しましたが、四日市市は鉄道による存続を望み、2013年9月27日、公有民営方式での存続で合意しました。
2015年4月1日から四日市市が第三種鉄道事業者として鉄道施設や車両を保有し、新会社四日市あすなろう鉄道が第二種鉄道事業者としてそれらを同市から借用して運営しています。
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コメント
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こんばんは。
いろいろあった結果とはいえ、公有のナローゲージというものが存在するというのが驚きです。
インフラとしての鉄道の維持というのは地方において難しい課題になっているのだと思います。バスであれば道路は地方自治体が整備することを考えれば、鉄道の路線(運用では無く)を地方自治体が維持するというのは不思議ではないのかもしれませんね。
投稿: MiO | 2017年10月27日 (金) 01時09分
MiOさま、おはようございます。
同じ現在の近鉄四日市から分岐している、湯の山線が改軌されて今も近鉄の支線であるのに対して、内部・八王子線はナローのまま残されました。
ある意味、大企業の利潤に対する考え方が如実に見えているストーリーの流れかとも言えますが、ナローとして生き残っている以上、その特徴をアピールしてこれからも存続して欲しいものですね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2017年10月27日 (金) 05時51分