三岐鉄道北勢線の歴史
2017年8月の愛知・三重旅行の話題、前回は養老鉄道養老線について触れました。今回からは同じく近鉄傘下の時代を持つ三岐鉄道北勢線です。
同線は日本では数少なくなった762mm軌間のナローゲージの路線です。その歴史と現在、使用されている車両について形式ごとに触れて行こうと思います。
我が国では1909年(明治42年)に軽便鉄道法が公布され、全国で鉄道敷設の気運が高まりました。員弁川沿線の各町村においてもその気運が高まり、1912年には富田軽便鉄道と北勢鉄道が免許取得合戦を展開し、北勢鉄道が取得、1912年8月10日、会社が設立されました。
路線データ
路線距離(営業キロ): 20.4km
軌間: 762mm
駅数: 13駅(起終点駅含む)
複線区間: なし
電化区間: 全線(直流750V)
閉塞方式: 自動閉塞式
運転最高速度: 45km/h
1914年4月5日に大山田(現・西桑名)~楚原間14.5kmが762mmの軽便軌道で開業し、1915年には桑名町(後の桑名京橋)~大山田間0.7km、1916年には楚原~阿下喜東(後の六石)間4.6kmが開業しました。17年後の1931年7月に六石~阿下喜間が開通し、全通となりました。このときに電化も完成しました。
1934年6月に社名が北勢電機鉄道に改称、1940年の陸軍統制令の公布により、三重県下の自動車輸送事業、鉄・軌道運送事業の合併が推進され、1944年2月には三重交通が発足し、三重交通北勢線となりました。1964年2月に三重電気鉄道となり、1965年4月1日に近鉄との合併で近鉄北勢線となりました。
車両面では終戦直後、利用者増で電動車、付随車が多く投入され、近鉄時代には新造車が19両投入されました。
しかし、利用減が続き、近鉄は沿線自治体、県と協議し、沿線自治体から三岐鉄道による運行依頼を近鉄が受け入れ、2003年4月から「三岐鉄道北勢線」となりました。
鉄道事業だけでなくこうした関連グッヅの販売も力を入れています。
員弁川を挟んで左岸・右岸にほぼ並行して北勢線と三岐線が走っていますが、この2線の輸送量、かつては北勢線の輸送量が三岐線の輸送量より圧倒的に多かったそうです。これは北勢線の沿線開発の進み具合、起点駅、桑名と冨田の規模の差と思われていました。しかし、1975年以降、北勢線の輸送量は減少を続け、三岐線の輸送量の6~7割程度になってしまいました。これは三岐線が近鉄冨田に乗り入れたこと、列車のスピードアップ、冷房化、パークアンドライドの充実が功を奏したものとされています。北勢線ではこういった利用者増の取り組みが行われて来ませんでした。
1977年から78年にかけて新車導入、信号自動化、ATS新設、西桑名駅移転などの大規模近代化工事が実施されても輸送量の低下は止まりませんでしたが、三岐鉄道移管後、列車のスピードアップ、車両の冷房化、パークアンドライド施設の拡充がなされ、輸送量は2005年度以降、上昇傾向にあるそうです。
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