貨物鉄道博物館の保存車 4 有蓋車
再び、いなべ市丹生川駅そばの貨物鉄道博物館の話題です。
国鉄・JR貨物の貨物列車が現在のコンテナ方式になって有蓋車とか無蓋車という言葉も殆ど死語となってしまいましたが、私たちの子供の頃はよく聞いたものでした。
有蓋車は「ワ」に積載量でムラサキをつけて、さらに緩急車の場合はフが付き、ワフ、ワサフなどをよく目にしました。さらに鉄側有蓋車(車体側面を鉄製)として「ス」、側面屋根を鉄製とした鉄製有蓋車に「テ」が付けられました。さらに用途に応じて冷蔵車「レ」、通風車「ツ」、家畜車「カ」、豚積車「ウ」、活魚車「ナ」、家禽車「パ」、陶器車「ポ」などが活躍しました。
蒲原鉄道用10トン積載の小型有蓋車として1929年に新潟鉄工で製造されたもので、当時は貨車も鋼鉄材料で製造されていましたが、地方小私鉄向けに躯体以外はすべて木材で構成された木造貨車が製造されていました。中小ローカル私鉄の貨車も沿線の産物や生活物資を積み、国鉄線に乗り入れて活躍しました。
蒲原鉄道では1923年に日本車輛製造において二軸有蓋車ワ1形1・2が新製され、1929年には二軸有蓋車ワ11形11・12、二軸有蓋緩急車ワフ1形、二軸無蓋車ト1形1・2の5両が新潟鉄工所で新製されました。ワ11は1985年6月20日付で廃車となっています。
北越鉄道用に1906年8トン積有蓋車として製造されました。大正時代に荷重を10トンにする改造を受け、国有化で各地で使用されましたが、戦後は近江鉄道に移籍しました。台枠から上は鋼製の柱に木製の板張り、引き戸も木製です。
テラ1形 146号
1965年協三工業製造で、上記のワと違って車内に木の内張を持たない鉄製有蓋車で水と反応して高熱を発する生石灰の輸送などのために開発された車両です。石灰鉱山を控えた岐阜県大垣市の美濃赤坂駅に配置され、石灰石の製品輸送に国鉄末期まで活躍しました。
ワフ21000形式は二軸客車改造の老朽車掌車(ヨ1形・ヨ1500形)の代替として、1933年から1939年にかけて、汽車製造、日本車輌製造本店・支店および鉄道省大井工場、大宮工場、鷹取工場、長野工場、土崎工場、苗穂工場、名古屋工場、吹田工場、小倉工場、五稜郭工場、盛岡工場で775両(ワフ21000 - ワフ21774)が新製されました。初の鋼製有蓋緩急車で、乗務員用設備を改善、車体の大きさは15t積有蓋車と同じですが、貨物室は2t 積と小さく、鮮魚など混載に不適な小口貨物に専ら用いられた。一方、車掌室は広く居住性も優れ、車掌室側には手ブレーキを設けた出入用デッキがあります。当初は電灯・ストーブともありませんでしたが、ストーブは1952年からの更新修繕の際に設置されました。
21120号は1934年汽車製造株式会社の製造です。
2名の車掌と2トンの貨物を積載可能で貨物室には貴重品類や鮮魚などの小口貨物が搭載されました。国鉄で1977年まで使用され、その後、西濃運輸に移りました。
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