2017年12月23日、E353系 スーパーあずさ営業開始
今上天皇の退位スケジュールも決まり、12月23日が天皇誕生日であることも、今年と来年の2回となった2017年12月23日土曜日、E351系の老朽化後継から次の世代の中央東線特急としてまずは「スーパーあずさ」下り1号、11号、23号、29号、上り4号、18号、22号、36号にE353系が投入されました。
2017/12/23 鳥沢~猿橋間 新桂川橋梁
下り一番列車は新桂川橋梁を通過するシーンを猿橋側から撮影しました。
E353系の量産先行車、基本編成(S101編成9両)と付属編成(S201編成3両)は総合車両製作所で製造され、2015年7月25日に出場しました。中央本線、篠ノ井線、大糸線、信越本線等で性能評価、技術検証試験が行われ、量産編成の製造が開始されました。
外観デザインは「伝統の継承」・「未来への躍動」をコンセプトとし、内外装ともにデザイン監修は奥山清行氏が担当しました。
車体
アルミニウム合金製の中空押出形材を用いたダブルスキン構造で、運転台は高運転台構造、先頭構体の屋根部と幌蓋部以外はFRPで構成されており、踏切事故対策のため、先頭構体と運転室出入り部がクラッシャブルゾーンとなっています。
E351系からの振り子機構はE353系では動揺防止制御装置(枕バネの空気バネに圧縮空気を出し入れして左右の空気バネの高さを変える方式)となりましたが、量産先行車では先頭車とグリーン車のみにフルアクティブ動揺防止装置が搭載され、それ以外の車両は車端、車体間ダンパーが搭載されいましたが、量産編成からは全車両にフルアクティブ動揺防止装置が取り付けられ車体間ダンパーは非搭載となりました。床は台枠上に粒状ゴム、アルミニウム板、ゴム床が構成された防音床構造とし、室内の静粛性が向上されており、グリーン車ではゴム床の代わりにカーペットが敷かれました。
車体塗色は「アルパインホワイト」(アルプスの雪)、「あずさバイオレット」の細帯、前面は「ストリームブラック」、側窓の周りは松本城の漆黒をイメージした「キャッスルグレー」となっています。
電源・制御機器
三菱電機製IGBT素子によるPWM制御インバータ1基で2両8基の主電動機を制御するVVVFインバータSC108と1C4M制御のSC109を搭載しています。主電動機は自己通風式MT75B、補助電源はDC1500Vから三相交流440V 60Hz (定格容量260kVA)を発生するSC110を3基(基本編成)と定格容量(210kVA)のSC89Bを1基(付属編成)に搭載、CPはスクリュー式MH3130-C1600S2(定格容量1,600L/min)を2号車を除く全車に搭載し、車体傾斜装置使用による圧縮空気の消費に対応しています。空調装置は集中式AU738を1両当たり1基搭載しています。
車体を傾斜させたときにも車両限界に収まるように、車体寸法や空調装置のサイズも考慮されています。
台車
軸梁式軸箱支持装置を備えたボルスタレス台車で電動台車はDT81(動揺防止装置付き)、DT82(アンチローリング装置付き)、動揺防止装置及びアンチローリング装置を省略したDT81Aを採用しました。付随台車は動揺防止装置および駐車ブレーキを備えたTR265、TR265から駐車ブレーキを省略したTR265A、動揺防止装置及び駐車ブレーキを省略したTR265Bを採用しています。
3両の付属編成は形式上は全てが電動車となっていますが、クモハE352形とクモハE353形は運転台側の台車が付随台車、中間車側の台車が動力台車の「0.5M0.5T」の構成となっており、編成単位では2M1Tとなっています。
駆動装置はCFRP製のたわみ板を採用した、TD平行カルダン駆動方式 TD282C-H で、歯車は、はすば歯車を用いた一段減速式で歯車比は96:17=5.65です。
上り一番列車はS203+S103編成で鳥沢側から撮影しました。
E353系の場合、編成番号はE259系と同じ、貫通扉のように見える(クモハE353 とクハE352-0の場合は非貫通)扉の右下に表示されています。
←東京
1 2 3
付属編成 クモハE353-0 モハE353-1000 クモハE352-0
CP VVVF CP, SIV
4 5 6 7 8
基本編成 クハE353-0 モハE353-500 モハE352-500 モハE353-2000 サハE353-0
CP VVVF CP CP SIV VVVF CP SIV CP
9 10 11 12
サロE353-0 モハE353-0 モハE352-0 クハE352-0
CP VVVF CP CP SIV CP
車内
普通車は、2+2列配置の回転式リクライニングシートが960mmのピッチで設置され、インテリアデザインは「活動的で明るい寒色」のライトグレーを基に車内全体を構成しており、腰掛は座面を黒色とし、背もたれ部分にはブルー系を基本をとした光沢感のある「みなも」のパターンを盛り込んだ配色としており、梓川の清らかな「水面のきらめき」を表現しています。グリーン車は、2+2列配置の回転式リクライニングシートが1160mmのピッチで設置され、インテリアデザインは「より上質な寛ぎ感のある暖色のベージュ」を基に黒と赤の色を効果的に配色しており、腰掛は座面をグレーとし、背もたれ部分には黒地に赤色を配置して、見る角度によってその割合が変化する表地を採用しており、「ハイテク・モダン」・「高揚感」・「機能感」を表現しています。
室内照明は在来線特急車両として初のLEDによる間接照明が採用されており、窓側の座席の上部にある荷棚の下部には、各座席の風向きと風量の調整が可能な個別吹出し式の空調装置を採用されました。グリーン車と普通車の全座席には、電源コンセントとパソコンなどを置くことができるテーブルを設置しており、車内案内表示器は2段表示のフルカラーLEDを採用しました。
E351系の「基本編成8両+付属編成4両」に対し、本系列は「基本編成9両+付属編成3両」となり、12両編成あたりの定員は674名で、E351系よりも若干減っています。
S101,S201編成は量産編成に合わせた改造工事に入っており、完了次第運用に入るそうです。来年3月に予定されているダイヤ改正では現時点でE351系で運用されている残りのスーパーあずさの運用にもE353系が投入され、ゆくゆくはE257系ののあずさ、かいじもE353系になるとの情報もあります。
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コメント
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B767-281様こんにちは。改めてこちらにお邪魔致します。あずさと言えば181系ですね。頭のライトは外されても帯しのクハを追いかけたものです。さて351系は波動用転用も噂されましたが、廃車になるようです。257の方は踊り子に転用?時代の流れは急ですね。関西3日目、先程通った吹田には20系オレンジが留置されていました。関西線への転用が進むようです。こちらも世代交代急です。
投稿: 細井忠邦 | 2017年12月28日 (木) 12時24分
細井忠邦さま、おはようございます。
181系「あずさ」が中央線に走り始めたとき、確か1966年昭和41年12月でしたが、私は小学校5年でした。
当時、荻窪から国立まで毎日中央線で通学しており、それまでEF13やEF64牽引の客車列車とスカ色の下駄電、165系、キハ58系の急行タイプばかりだった中央線長距離列車に白鳥が舞い込んだという感じがしました。
ただ東海道・山陽系の151系とは違って頭の上のライトが無く、帯があるのは少し残念な気がしたのも憶えています。
あれから50年以上が過ぎ、E351系もS2,22,S5,25編成は早くも戦列を離れ、廃車解体の様ですね。
E257系は踊り子ですか、確かに185系もそういう時期ですね。
投稿: B767-281(クハ415-1901) | 2017年12月29日 (金) 05時31分