2017年10月の福岡旅行 4 直方市石炭記念館 その4
筑豊地方における石炭の産出は公式の記録では福岡藩が元禄末期の1700年初頭に遠賀、鞍手、嘉麻、穂波の4郡における石炭の産出状況を調査したもので、当時は農民が農業の片手間として石炭を採掘していました。1736年(元文元年)、福岡藩は石炭の藩外持ち出しを許可しました。
鉄道が開通する前の石炭の輸送は。もっぱら遠賀川を利用した川艜(かわひらた)という船によるものでした。これは石炭を積載する底の平たい船で、遠賀川は比較的水深の浅い川のため、石炭を載せた船を川に浮かべそれを両河岸で人間が引っ張って進む方式でした。
当初は遠賀川の河口の芦屋港まで運んでいましたが、1621年(元和7年)に堀川の掘削工事がが開始され、183年の歳月をかけて1804年(文化元年)、工事の完成で中間付近で分岐し、吉田、折尾を経由し、洞海湾にいたる水上ルートを使った輸送になりました。折尾付近は川たいら従事者の休憩場所となったそうです。
2010/3/19 折尾駅前の堀川
この河は遠賀川と洞海湾を結ぶ人工運河で、川沿いの店は川ひらたとともに発展しました。
1891年8月30日、筑豊興業鉄道により、若松~直方間25kmが鉄道で結ばれると、石炭輸送は鉄道による時代となりました。
やがて炭鉱は筑豊御三家と呼ばれる地方財閥が実権を握るようになりました。それらは「麻生家」「貝島家」「安川家」でした。さらに伊藤伝右衛門、堀三太郎を加えた5名が筑豊の炭鉱王と言われたそうです。それらが定期的に集まり会議を開いたのが、この石炭記念館の建物でした。
直方はそういった意味もあり、筑豊炭鉱の中心的な場所であり、水運時代から彦山川、犬鳴川が合流し、遠賀川となるポイントでもありました。
鉄道の時代になって直方駅は石炭輸送貨物列車の牽引機関車の機関庫が置かれ、貨物列車を仕立てる多くの線路、3つの転車台などを誇る駅になりました。
転車台のひとつは現在も筑豊本線に架かる跨線橋として記念館のそばにあります。
ちょっと見苦しい写真で恐縮ですが、炭鉱全盛期にはそこから石炭を積み出すために多くの支線が存在しました。それがヤマの閉山とともに鉄道も廃線となってしまいました。
以前、若松駅の記事で触れましたが、若松港が整備され、大型船が入港できるようになってからはこのように貨物列車から船に石炭が積み込まれて行きました。
石炭輸送に関わった蒸機の形式は結構多いですが、やはり一番長く、多くの両数が活躍したのは9600形式だそうです。
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