2018年3/10月の関西旅行 近畿日本鉄道編 その5 一般型車両 大阪線 1480系
近鉄・一般型車両の話題、今回から大阪線ですが、大阪線系統の新性能車の歴史は1952年から始まりました。ク1560形ク1564・1565を試験的にカルダン駆動方式に改造し、1450系とし、2両1ユニット方式、1C8M方式が試されました。いずれも我が国最初のものでした。
ク1560形は1952年ら1953年にかけて9両製造された20m片側3扉・ロングシート仕様、片運転台方式の車両で1928年から1949年にかけて製造された19-20m級3扉車体・150kW主電動機搭載の電動車2連に増結され、輸送力増強に貢献しました。1450系に改造されなかった7両のク1560形はその後1973年に名古屋線に転属、一部は運転台を撤去し、T車となり、最晩年は養老線で活躍し、前照灯2灯化も行われ1984年に全廃されました。
1450系に改造された2両はモ1451(旧1564)-モ1452(旧1565)となり、パンタグラフはモ1451に搭載されました。主電動機は高速軽量の三菱電機MB-3012-B(端子電圧375V時1時間定格出力80kW)が8台搭載され、端子電圧が下げられたことでフラッシュオーバーを抑制でき、高速域からの発電ブレーキも常用し易くなりました。このMM'ユニット方式は三菱と近鉄の卓越したアイデアで後の小田急2200形、1957年の国鉄101系、新幹線0系にも受け継がれました。
駆動方式はWNドライブでモーター重量をばね上支持とし、振動抑制、高速化、乗り心地の改善に寄与し、多段式・自動進段形単位スィッチ制御器(ABM)は弱め界磁も導入され、スムーズな加速と反応の速さがメリットでした。ブレーキは発電ブレーキが常用され、AR-D電空併用ブレーキ装置も装備され、大阪線の勾配区間走行に貢献しました。台車は以後近鉄で長らく採用されたスイスのシュリーレン社から技術導入して製作された円筒案内コイルバネ支持の「シュリーレン台車」が採用されました。従来の鋳鋼製の台車に較べて著しく軽量化されました。
1450系は1957年まで各種試験に用いられ、以後、他系列との併結が可能なように改造され、1975年には名古屋線に転属、末期は志摩線ローカルを任され、1985年に廃車となりました。
1957年3月21日の西信貴鋼索線再開、上本町~信貴山口間直通準急・普通用として登場したのが1450系の技術を受け継いで量産化された1460系でした。そして1959年には南大阪線6800系ラビットカー同様、片側両開き4扉、前照灯シールドビーム2灯式、奈良・京都線で紹介した8800系まで続いた通勤型のスタイルを確立した1470系2連5本が登場しました。
1470系は出力が小さく、上本町~河内国分間の普通に限定使用されていたため、1961年から1966年かけて、大出力車として増備されたのが1480系です。
主要諸元
編成定員 520名
車両定員 Tc車:170名 M車:180名 Mc車:170名
車体幅 2,740 mm
車体高 Tc車 (ク1580形):4,037mm Tc車 (ク1590形):3,990mm M車:4,037mm Mc車:4,150mm
台車 Tc車 (ク1580形):KD-30C Tc車 (ク1590形):KD-58A M車・Mc車:KD-36C/KD-30B
主電動機 MB-3020D
制御装置 ABFM-171-15MDHA
モ1480(偶数、Mc) モ1480(奇数、M)とし、これにク1580もしくはク1590(4連化時)を連結しました。ク1581~1583はトイレ付き落成したため、団体専用列車や長距離列車にも使用されました。
さらにモ1482-モ1481-ク1591の3両は1989年に2代目鮮魚列車に改造されました。ク1591にはトイレが設置されました。2001年に現行の2683Fに代替され、廃車となりました。
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